ボイラー技士の資格概要

ボイラー技士の資格概要や
免許更新などをご紹介!
~合格のコツとは~

お湯を沸かすために必要なボイラーは、私たちの生活に必要不可欠なものです。そのボイラーを取り扱うためには、きちんと仕組みを把握しておかなければなりません。原理や仕組みなど基礎知識を身につけた「ボイラー技士」を取得した人は、ボイラーの取り扱いが可能となります。しかし、どのように資格を取得すれば良いのか、分からない方もいるでしょう。そこで、本記事では、ボイラー技士の基礎知識や種類・資格取得のポイント・講習や更新について説明します。

この記事を読むことで、ボイラー技士の資格を取得するために必要な知識を身につけることができます。受験を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

01. ボイラー技士について

資格取得を目指すために、まずは、ボイラー技士の基礎知識を身につけておきましょう。

1-1.定義

ボイラー技士とは、ボイラーを取り扱う資格を有する者のことです。国家資格の1つであり、ボイラーの取り扱いをするためには必要不可欠な資格と言っても良いでしょう。ボイラーは、燃料を燃焼することで生み出した熱を水に伝え、水蒸気やお湯にする熱源器です。ボイラーの設置や定期検査は、知識を有した者が行うからこそ機能を十分に果たすことができます。

1-2.準拠する法律

ボイラー技士は、労働安全衛生法に基づく国家資格です。労働安全衛生法は、労働者の安全と衛生についての基準を定めた日本の法律で、昭和47年に施行されました。労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準を確立しています。

1-3.主な職務・就職先

ボイラーの取り扱いから設置・定期検査などが、ボイラー技士の主な職務です。ボイラーの点検や安全管理を行うためには、専門的な知識を持っておかなければなりません。専門知識を持っているボイラー技士を求めている企業が増えています。主な就職先としては、ビル管理会社や設備会社・建設会社・大規模工場・プラント建設会社・病院・温泉施設などがあるでしょう。

1-4.必要性

水をお湯に換えることができるボイラーは、私たちの生活に必要な機器です。日常的に使用するものだからこそ、安心・安全な稼働を求めます。そこで、大活躍するのがボイラーにかんする専門的な知識を持つボイラー技士なのです。ボイラー技士は、ボイラーを安心・安全に使用するために必要な存在と言えるでしょう。

1-5.資格取得のメリット

ボイラー技士の資格を取得すれば、就職・転職に有利です。ボイラー技士の求人率は常に安定しているため、実績を積むほど大規模な工場や企業・施設へ務めることができるでしょう。
また、基本給とは別に、資格手当てを得ることができます。最初は、毎月数千円程度であっても、長く勤務するほど昇給が期待できるのです。

02. ボイラー技士の種類

ボイラー技士には、全部で3つの資格種類があります。それぞれの職務や違いについて詳しくチェックしておきましょう。

2-1.種類について

ボイラー技士の種類は、特級・1級・2級の3つです。それぞれ、取り扱えるボイラーの規模が異なるため、試験を受ける前に必ず確認しておかなければなりません。

  • 特級ボイラー技士:すべての規模のボイラー取扱作業主任者になることができる
  • 1級ボイラー技士:伝熱面積の合計が500㎡未満のボイラー取扱作業主任者になることができる
  • 2級ボイラー技士:伝熱面積の合計が25㎡未満のボイラー取扱作業主任者になることができる

2-2.それぞれの職務と違い

基本的に、資格の種類によって、ボイラー技士の職務に差はありません。ただ、取り扱えるボイラーの規模が異なるため、職場に大きな違いが現れるでしょう。たとえば、すべての規模のボイラーが取り扱える特級ボイラー技士は、大規模工場やプラント建設会社など幅広い業種で活躍できます。一方、1級ボイラー技士は中規模以上の工場、2級ボイラー技士はビル管理会社・設備会社など、下位資格になるほど範囲も狭まるのです。

03. ボイラー技士の資格取得について

ボイラー技士の受験資格・試験概要・試験内容・難易度と合格率・注意点について説明します。

3-1.受験資格

2級ボイラー技士に受験資格はありませんが、特級と1級ボイラー技士はあります。実務経験の年数もそれぞれ異なるため、事前にチェックしておきましょう。

<特級ボイラー技士の受験資格>

  • 1級ボイラー技士免許を取得している者
  • 大学などでボイラーにかんする学課を修了し、2年以上の実地研修を受けた者
  • エネルギー管理士(熱)の免許保持者で、2年以上の実地研修を受けた者
  • 海技士免許(機関1・2級)を受けた者
  • ボイラー・タービン主任技術者(1種・2種)の免許保持者で、伝熱面積の合計が500㎡以上のボイラーを取り扱った経験がある者

<1級ボイラー技士の受験資格>

  • 2級ボイラー免許を取得している者
  • 大学などでボイラーにかんする学課を修了し、1年以上の実地研修を受けた者
  • エネルギー管理士(熱)の免許保持者で、1年以上の実地研修を受けた者
  • 海技士(機関1・2・3級)の免許を受けた者
  • ボイラー・タービン主任技術者(1種・2種)の免許保持者で、伝熱面積の合計が25㎡以上のボイラーを取り扱った経験がある者
  • 汽関係員試験に合格した者で、伝熱面積の合計が25㎡以上のボイラーを取り扱った経験がある者

3-2.試験概要

ボイラー技士の試験日時・場所、受験料、申し込み方法について説明します。

3-2-1.日時・場所

ボイラー技士の資格試験は、「公益財団法人安全衛生技術試験協会」が実施しています。試験日時は種類によって異なり、特級が年に1回、1級が年に7回程度、2級が月に1回程度です。試験場所は、北海道・東北・関東・中部・近畿・中国四国・九州各地の安全衛生技術センターとなります。詳細はこちら(公式ホームページ)をチェックしてください。

3-2-2.受験料

ボイラー技士の受験料は、全共通で6,800円です。受験申請書にとじこまれている払込用紙を使って、最寄りの郵便局または銀行で払いこんでください。受験申請書をセンター窓口へ直接持参する場合は、その際に現金で支払うこともできます。

3-2-3.申し込み方法

申し込み方法は、希望地の安全衛生技術センターに持参するか、郵送の2つです。受験申請書は、センターへ請求しなければなりません。申込期限が決まっているので、出し忘れのないように気をつけましょう。

3-3.試験内容

ボイラー技士の資格試験は、実地試験がなく、筆記試験だけとなります。試験科目と試験時間は以下のとおりです。

<試験科目>

  • ボイラーの構造にかんする知識
  • ボイラーの取り扱いにかんする知識
  • 燃料および燃焼にかんする知識
  • 関係法令

<試験時間>

  • 特級ボイラー技士:各科目1時間で合計4時間
  • 1級ボイラー技士:午前と午後に分かれて合計4時間
  • 2級ボイラー技士:4科目で合計3時間

3-4.難易度・合格率

ボイラー技士の試験は、国家資格において「やや易しい」となっています。近年の合格率を見てみると、特級が約20~30%、1級と2級が約50~60%です。ただし、上位資格である特級ボイラー技士は、試験範囲も幅広く難易度が高いのが分かります。地道に勉強を続け、実務経験を積めば合格できる範囲内でしょう。

3-5.注意点

ボイラー技士の試験に実地試験はありませんが、3~4時間という長時間の筆記試験を乗り越えなければなりません。集中力を十分に養う必要があるでしょう。また、体調管理にも注意が必要です。きちんと体調を整えておかなければ、試験の途中で気分が悪くなることもあります。日ごろから規則正しい生活と栄養バランスの整った食事を心がけてくださいね。

04. ボイラー技士の講習について

ボイラー技士の免状を得るためには、試験合格のために実務経験が必要となります。ただし、2級ボイラー技士の受験者は、ほとんどが初心者なので実務経験がありません。その場合は、法定講習を受けなければならないのです。それでは、講習について説明します。

4-1.受講資格

ボイラー技士の実技講習は、あくまでも2級ボイラー技士免許の交付要件を満たすための講習です。受験資格は、2級ボイラー技士の国家試験に合格した人だけとなります。2級ボイラー技士の国家試験に合格しても実務経験がない方は、免状取得のために講習を受けなければなりません。

4-2.講習概要

ボイラー技士講習の日時・場所、受講料、申し込み方法について説明します。

4-2-1.日時・場所

ボイラー技士の講習を実施しているのは、「一般法人日本ボイラ協会」です。平日の3日間を利用して実施されており、開催場所は都道府県労働局長登録講習機関となります。詳細は、こちら(公式ホームページ)でチェックしてください。

4-2-2.受講料・申し込み方法

ボイラー技士講習の受講料は、21,600円です。ただし、講習で使用する教材費が別途必要になるので注意してください。また、申し込み方法は、窓口・郵送・FAXのいずれかです。詳細にかんしては、こちら(公式ホームページ)をチェックしてください。

4-3.講習内容

講習は平日の3日間続けて行われます。最初の2日間は学科、最後の1日は実習です。講習科目は、以下のとおりとなります。

  • 点火(1時間)
  • 燃焼の調整(7時間)
  • 附属設備および附属品の取り扱い(6時間)
  • 水処理および吹き出し(1時間)
  • 点検および異常時の処理(5時間)

05. ボイラー免許・更新について

ボイラーの免許交付や更新について詳しく説明します。

5-1.免許交付について

国家試験に合格して、免許交付の資格を得ることができたら、東京労働局免許証発行センターの東京労働局長宛てに交付の申し込みをしなければなりません。その際に必要となる書類が、免許申請書・免許試験合格通知書・免許用の写真・そのほかに指定を受けた書類です。これらの書類を、センター宛てに郵送で出してください。交付料金として、免許申請書に1,500円分の収入印紙を貼りつけましょう。

5-2.免許交付資格について

ボイラー技士免許の交付資格は、資格種類によって異なります。特級・1級・2級それぞれの交付資格は以下のとおりです。

<特級ボイラー技士>

  • 1級ボイラー技士試験免許を受けた後、5年以上ボイラーを取り扱った経験がある者。または当該免許を受けた後、3年以上ボイラー取扱作業主任者としての経験がある者で特級ボイラー技士免許試験に合格した者
  • ボイラーおよび圧力容器安全規則第101条第1号口、または、ハに掲げる者で、特級ボイラー技士免許試験に合格した者

<1級ボイラー技士>

  • 2級ボイラー技士試験免許を受けた後、2年以上ボイラーを取り扱った経験がある者。または当該免許を受けた後、1年以上ボイラー取扱作業主任者としての経験がある者で、1級ボイラー技士免許試験に合格した者
  • ボイラーおよび圧力容器安全規則第101条第2号口、または、ハに掲げる者で、1級ボイラー技士免許試験に合格した者

<2級ボイラー技士>

  • 2級ボイラー技士免許試験に合格した者で、6か月以上ボイラーの取り扱いの実地修習を経た者など。(詳細はこちらをチェック)

5-3.実務経験証明書について

ボイラー技士の免状を取得するためには、実務経験証明書を提出する必要があります。実務経験証明書を提出しなければならないのは、以下に当てはまる方です。

  • 受験資格が「1級ボイラー技士免許を受けた者」で、特級ボイラー技士試験に合格した方
  • 受験資格が「2級ボイラー技士免許を受けた者」で、1級ボイラー技士試験に合格した方

実務経験証明書は、勤め先に申請すれば得ることができます。

5-4.免許更新について

基本的に、ボイラー技士の免許は更新する必要がありません。1度取得すれば、永久的に持ち続けることができる資格です。ただし、結婚で氏名が変わったり、本拠地を変更したりする場合は、書き換えの申請が必要となります。更新が必要な場合は、免許証・書き換え申請書・更新用の写真など必要な書類を準備して、申請先の都道府県労働局の安全課・健康課に郵送しなければなりません。

5-5.注意点

試験に合格しても、免状資格に当てはまらない場合は取得できません。受験する前に、受験資格だけでなく、免状取得要件もきちんと確認しておきましょう。計画的に資格を取得するためには、事前の情報収集や確認が必要ですよ。

06. ボイラー技士にかんしてよくある質問

ボイラー技士にかんしてよくある質問を5つピックアップしてみました。

6-1.ボイラー技士の年収はいくらぐらいか?

ボイラー技士の平均年収は、約400万円です。一般的なサラリーマンよりも低めですが、実務経験を積んでいる人ほど、大企業で働くことができます。昇給・昇格を目指せる資格でもあるのです。ただし、高収入を得るためには、2級よりも特級ボイラー技士という上位資格を取得したほうが良いでしょう。

6-2.ボイラー取扱技能講習修了とは?

ボイラー取扱技能講習修了は、ボイラー技士資格やボイラー実技講習とは異なるものです。別名・ボイラー取扱者と呼ばれており、小規模ボイラー・小型ボイラーにかんする一定の作業を行うことができます。ボイラー取扱技能講習を修了した者、または小型ボイラー取扱業務特別教育を修了した者を指す通称です。

6-3.おすすめの勉強法が知りたい

スクールや独学など方法はさまざまですが、仕事と勉強の両立が難しい方は「通信講座」がおすすめです。通信講座は自分のペースで勉強でき、空(あ)いた時間も勉強に充てられるでしょう。テキストやDVDがセットになっているものもあります。

6-4.ボイラー免許の交付資格に年齢制限はあるのか?

満18歳以上の者に交付資格が与えられます。つまり、満18歳になってからでないと、免状を取得することはできませんので注意してくださいね。

6-5.ボイラー技士以外に取得したほうが良い資格は?

ビル管理技術者・電気主任技術者などの資格を取得しておけば、仕事の幅が広がります。どちらもオフィスビル・工場などの施設で活躍できる資格です。スキルアップを目指している方は、実務経験を積みながらもほかの資格に挑戦してみてはいかがでしょうか。

07. まとめ

いかがでしたか? ボイラー技士は、ボイラーの取り扱い・設置・点検作業に必要不可欠な資格です。ボイラーは私たちの生活に必要な機器なので、求人数も安定しています。ただし、ボイラー技士の資格を取得するためには、国家試験に合格して、免状交付の条件を満たさなければなりません。免状交付の資格の中には、実務経験もあるので注意してくださいね。試験を受ける前に、受験資格や免状交付条件などの基礎知識を身につけましょう。

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