ファイナンシャルプランナーとは、収支や負債・資産などに基づき結婚・教育・老後などの資金計画を考え、アドバイスをしてくれる職業のことです。生き方が多様になるにつれて、人生のどこにどのくらいお金をかけるのか、という計画もより重要になってきました。ファイナンシャルプランナーに相談をすれば、お金の貯め方や負債の減らし方、さらに将来に備えてためておきたい資金の目安までアドバイスしてくれます。また、ファイナンシャルプランナーを目指す方も増えているのです。
そこで、今回はファイナンシャルプランナーの職務や資格を取得する方法・ファイナンシャルプランナーが活躍する職場などをご紹介しましょう。
この記事を読めば、ファイナンシャルプランナーの資格を取得するための勉強方法なども分かります。資格取得にチャレンジしたいという方も、ぜひ読んでみてくださいね。
01. ファイナンシャルプランナー
の基礎知識
はじめに、ファイナンシャルプランナーの職務や就職先をご紹介します。どのような場所で活躍しているのでしょうか?
ファイナンシャルプランナーとは?
ファイナンシャルプランナーとは前述したように、依頼者の収支や資産・負債などを元にライフプランニングに沿った資金計画のアドバイスを行ってくれる資格です。
いろいろな働き方や生き方ができるようになった現在では、それぞれ人生に必要なお金の総額や必要になる時期が違います。これまでもざっくりとしたライフプランに沿った資金計画モデルはありましたが、より詳しい計画を立てたいという方は増えているのです。そのため、ファイナンシャルプランナーの需要は今後も高まっていくと考えられています。
ファイナンシャルプランナーが活躍できる場所とは?
ファイナンシャルプランナーは、保険会社や銀行などに勤めてライフプランに沿った保険やローンの組み方をアドバイスしたりすることもあれば、一般企業に勤めて社員のライフプランの相談に乗ることもあるでしょう。
また、独立も可能です。企業に勤めながら経験を積んで人脈を広げ、独立する方もいます。働く場所をいろいろと選べるのも、ファイナンシャルプランナーの魅力です。
ファイナンシャルプランナーになるには?
ファイナンシャルプランナーは、1986年に民間資格からスタートしました。2002年に国家検定である技能士にファイナンシャル・プランニングが1級~3級まで追加されます。これ以後、ファイナンシャルプランナーとは、ファイナンシャル・プランニングの技能検定合格者を指すようになりました。
現在、企業でファイナンシャルプランナーとして働く場合や独立する場合は、国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士を取得する必要があります。
また、民間資格として日本FP協会が主催するAFPという資格がありますが、これを取得するには、2級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得した後で申請を行って研修を受けて取得するか、認定教育機関(資格の専門学校など)でAFP認定研修を受けて取得しなければなりません。ですから、ほとんどの方は2級ファイナンシャル・プランニング技能試験に挑戦し、取得した後でAFPを取得します。AFPを取得すれば世界で通用するファイナンシャルプランナー資格であるCFP®資格審査試験の受験資格が得られるのです。
ファイナンシャルプランナー資格の種類
ここで、もう一度ファイナンシャルプランナーに関する資格の種類を整理しておきましょう。ファイナンシャルプランナーに関する資格には、国家試験であるファイナンシャル・プランニング技能士と、民間資格であるAFPとその上位資格であるCFPがあります。
ファイナンシャル・プランニング技能士には1級~3級までの3種類があり、3級だけは受験資格がいりません。2級は、3級を取得した方やファイナンシャルプランナー業務を2年以上行った方、1級は、2級合格者やCFPを取得された方・ファイナルプランナー業務を5年以上行った方が受験資格を得られます。
なお、ファイナンシャルプランナーの業務自体は無資格でも行うことが可能です。ですから、2002年より以前にファイナンシャルプランナーに関する民間資格を取得し、ファイナンシャルプランナーとして働いてきた方の中には、初めから1級にチャレンジする方もいるでしょう。
全く知識がない状態から資格を取得する場合は、まず3級ファイナンシャル・プランニング技能士の取得を目指しましょう。
02. ファイナンシャルプランナーの
資格取得方法
この項では、ファイナンシャルプランナーの資格取得方法や、試験の内容をご紹介します。ぜひ、参考にしてくださいね。
ファイナンシャル・プランニング技能検定について
ファイナンシャル・プランニング技能検定は、日本FP協会と金融財政事情研究会の2つが主催している国家資格です。ファイナンシャル・プランニング技能検定試験には、学科試験と実技試験があり、それぞれ科目ごとに実施している団体が異なります。とはいえ、2級・3級を受ける場合はどちらかの団体に試験を申し込み、同一の日に受験を行うのでそれほど気にする必要はありません。
1級を受験する方のみ、注意が必要です。1級の試験は学科試験を金融財政事情研究会が主催し、実技試験のうち、「資産設計提案業務」を日本FP協会が担当します。1級の場合、学科試験に合格しなければ実技試験には進めません。ですから、まず金融財政事情研究会に受験を申し込み、実技試験で資産設計提案業務を選択する場合は、日本FP協会へ申し込みが必要です。少々ややこしいですが、覚えておきましょう。試験内容については、次の項でもう少し詳しく説明します。
試験内容について
ファイナンシャル・プランニング技能検定は、学科試験と実技試験があります。学科は、ファイナンシャルプランナーとして働くならば、必ず知っておかなければならない知識が問われる試験です。実技試験は、ファイナンシャルプランナーとして実際に業務を行う場合に、必要な知識が問われます。たとえば、確定申告での控除額の計算・相続税の計算・キャッシュフロー表の作成などです。学科試験も実技試験もマークシート方式ですから、実務経験がなくても答えられる内容となっています。
実技試験は、
- 資産相談業務
- 資産設計提案業務
- 個人資産相談業務
- 中小事業主資産相談業務
- 保険顧客資産相談業務
などです。この中から1教科を選択して解答します。複数の教科を解答することも可能で、この場合、合格すればその旨が合格証書に記載され、箔がつくでしょう。ファイナンシャルプランナーが相談を受ける内容は多岐にわたりますので、いろいろな業務の実技試験に合格した方ほど、転職や就職に有利に働きます。ちなみに、学科試験は2つの団体が協力して作成し、(1級だけは金融財政事情研究会が作成)、実技試験はそれぞれの団体が独自に作成するのです。
難易度・合格率について
学科試験は6割以上の得点率で合格となります。実技試験は、日本FP協会の試験は全40問で100点満点中60点以上で合格です。金融財政事情研究会が実施する試験は、全5問で50点満点中30点以上で合格となります。
どちらの試験を選ぶかは、個人の自由です。過去問や模範解答がそれぞれの団体のホームページ上で公開されていますので、それを見てから決めてもよいでしょう。
技能検定の合格率は、1級は学科が10%前後、実技が80%前後・2級は学科・実技共に45%前後・3級は学科・実技共に80%前後となっています。1級の学科試験を除き、高い合格率となっていますが、受験者の多くが実務経験者であることを考えると、決して易しい試験ではありません。心して勉強しましょう。
試験の免除について
学科試験と実技試験のどちらかだけ合格していた場合、2年間に限って合格を持ち越すことができます。たとえば、2級の学科試験にだけ合格していた場合、翌年は実技試験だけを受ければよいのです。1級の場合は、CFPの資格を取得していれば学科試験が免除になります。ですから、2年かけて合格する方もたくさんいるのです。
申し込み方法や試験の日程など
ファイナンシャル・プランニング技能検定の申し込みは、日本FP協会と金融財政事情研究会から行えます。電子申請も行えますのでパソコンから申し込みをすれば便利でしょう。1級の場合は、まず研究会に学科試験の申し込みをしてください。受験料は級によって異なり、学科と実技それぞれに必要です。詳しくは協会と研究会のホームページをご覧ください。
試験は、2級・3級が年に3回・1級は年に1回行われます。2級・3級は同日に行われ、同時受験はできません。そのかわり、3級に合格した場合は、同年に2級にチャレンジすることが可能です。2級・3級の試験は5月・9月・1月に行われ、1級は毎年9月に試験が行われます。開場は各都道府県の大学などが指定されるため、受験票が届いたらよく確認しましょう。
AFPやCFPについて
AFPは日本FP協会が主催する民間資格です。2級ファイナンシャル・プランニング技能検定試験に合格すれば、講習と届出のみで取得できますので、取得しておくとよいでしょう。
CFPは2級ファイナンシャルプランニング技能検定以上に合格した方で、3年以上の実務経験がある方が受験資格を得られます。試験科目は6科目で科目ずつ受験することができ、合格資格は消滅しません。ですから、コツコツと合格実績を積み上げていくこともできるでしょう。取得すれば前述したように1級ファイナンシャル・プランニング技能検定の学科試験が免除されるので、資格取得をしておくとよいですね。
03. ファイナンシャルプランナー
の勉強方法やコツ
ファイナンシャル・プランニング技能検定試験の勉強方法としては、独学・通信教材の利用・専門学校などの講座利用の3種類があります。ファイナンシャルプランナーとして働きたいという人だけでなく、自分でライフプランに基づいた資金計画を立てたいという方も受験するため、参考書もたくさん出ているのです。
すでにファイナンシャルプランナーとして働いている方や、知識がある方は独学でも大丈夫でしょう。全く知識がない状態から勉強を始める場合は、通信教材や専門学校の講座を利用した方が、合格する可能性が高くなります。インターネットを利用して自宅のパソコンで専門学校の講義を聞くことも可能です。ですから、近くに専門学校がないという方も問題ありません。通信教材ならば、全国どこでも利用可能です。
独学で勉強する場合は、参考書を読んで予想問題集を解きましょう。技能検定試験は過去問題と似たような問題が出ることはほとんどありません。ですから、予想問題集を解いた方が勉強になります。余裕があるなら試験の雰囲気をつかむために、過去問にチャレンジしてみましょう。なお、過去問題は年度によっては専門学校が解説付きで公開していますので、それを読んで勉強するのがおすすめです。
04. ファイナンシャルプランナー
に関するよくある質問
Q.無資格ですがファイナンシャルプランナーの仕事がしたい場合は、どこに就職すればよいのですか?
A.保険会社や損保会社・銀行・証券会社などに就職すれば、業務の一環で行えることが多いでしょう。
Q.実務経験がないと、資格を取得しても就職は難しいのですか?
A.難しいこともありますが、未経験でもよいという職場はあります。探してみましょう。
Q.いきなり独立は無理ですか?
A.実務経験がない場合は難しいでしょう。実務経験を積んでください。
Q.女性と男性、どちらが活躍できる資格ですか?
A.どちらも同じように活躍できるので、性差はあまりありません。
Q.3級を取得してすぐに2級を受験することは可能でしょうか?
A.もちろん可能です。
05. ファイナンシャルプランナー
まとめ
いかがでしたか? 今回は、ファイナンシャルプランナーの資格についていろいろとご紹介しました。主催団体が複数ある試験というのは珍しいですが、それぞれの団体が作る試験ごとに特徴があります。どちらか得点しやすい方を選択しましょう。また、男性には男性の、女性には女性のファイナンシャルプランナーの方が相談しやすい内容もあります。ですから、性差なく活躍したい方にも向いている資格です。