「多重無線設備の資格を取得したいが、どんな準備をすればいいのだろう」「資格取得の方法やコツを知りたい」などとお考えではありませんか。多重無線設備の資格のうち、特に人気があるのが第一級陸上特殊無線技士です。資格取得により、転職・就職が有利になるなど大きなメリットがあります。
今回は、多重無線設備の資格について詳しく解説しましょう。
この記事を読むことで、多重無線設備の資格についてよく分かり、効率よく試験準備ができます。まずは、記事を読んでみてください。
1.多重無線設備の操作には資格が必要
最初に、多重無線設備の資格について見ていきましょう。
1-1.多重無線設備では複数の情報を送信可能
多重無線設備とは、ひとつの伝送路で複数の情報(画像や音声など)を送信可能な通信設備のことで、テレビ局の中継局や携帯電話の基地局などがあります。多重無線通信を行うためには、広い周波数帯幅が必要です。多重無線設備は、現在はマイクロ波帯が主に使用されており、コストパフォーマンスに優れる・地震などの災害の影響を受けにくいなどが主なメリットになります。
1-2.多重無線設備の操作は陸上特殊無線技士資格が必要
多重無線設備の操作は、陸上特殊無線技士資格を持っている人が行うことになっています。平成元年の規則改正により、以下のように名称が変更されました。
- 特殊無線技士(多重無線設備)から第一級陸上特殊無線技士へ
- 特殊無線技士(無線電話乙)から第二級陸上特殊無線技士へ
- 第三級陸上特殊無線技士を新設
- 特殊無線技士(国内無線電信)から国内電信級陸上特殊無線技士へ
陸上特殊無線技士には、上記のように第一級・第二級・第三級・国内電信級の4種類がありますが、すべての多重無線設備を操作できるのは、第一級陸上特殊無線技士だけです。従って、多重無線設備を取り扱う仕事に就きたい場合は、第一級陸上特殊無線技士の資格取得を目指しましょう。
2.第一級陸上特殊無線技士はどんな資格?
第一級陸上特殊無線技士の資格について詳しく解説します。
2-1.陸上の多重無線設備全般を操作できる資格
第一級陸上特殊無線技士は、陸上で使用する無線局(30MHz以上・500w以下)の多重無線設備を操作することができます。たとえば、テレビ局の中継局・携帯電話の基地局など多重無線通信設備の操作が可能です。特に、携帯電話・スマホの普及に伴い、基地局の設置の急増に伴い、第一級陸上特殊無線技士の需要も高くなっています。なお、第一級陸上特殊無線技士はアマチュア無線設備の操作はできません。
2-2.放送局や携帯電話会社などで活躍できる
第一級陸上特殊無線技士が活躍できる職場には、以下のようなところがあります。
- 携帯電話会社
- 移動通信サービス会社
- 放送局(テレビ・ラジオ)
- 電話局
就職後は、各企業の無線設備の点検・メンテナンス業務を主に行うことになるでしょう。特に、携帯電話の基地局や中継局は設置後も、点検・メンテナンスをこまめに行う必要があるため、多数の求人があります。
2-3.転職・就職に有利で年収アップにつながる
第一級陸上特殊無線技士の資格取得者は、多重無線設備全般の操作ができることから、企業から引く手あまたの状態です。就職・転職の際は、有利に働くことでしょう。また、転職せずとも、資格手当が支給されたり年収アップにつながったりする可能性があります
2-4.合格率は35%程度でやや高い難易度
第一級陸上特殊無線技士は、35%程度の合格率です。10人中3~4人程度の合格となるため、難易度はやや高いと言えます。しかし、早めに試験対策を始めれば、十分に取得可能です。まずは、直近の試験日程を調べ、試験に向けて早めに学習計画を立てることが必要でしょう。
3.第一級陸上特殊無線技士の資格取得方法
第一級陸上特殊無線技士の資格取得について詳しく解説します。
3-1.受験資格はなく未経験者でも受験可能
第一級陸上特殊無線技士には、受験資格はありません。国籍・性別・学歴・年齢に関わらず、誰でも希望すれば受験できます。実務未経験でもチャレンジできるため、就職・転職のために資格取得を目指すことも可能です。資格取得方法には、国家試験に合格・養成課程の修了の2つがあります。養成課程の講習は9日間行われ、費用が69,460円必要です。また、定員があるため、希望しても必ずしも受講できるとは限らないので注意しましょう。
3-2.国家試験は年3回実施
第一級陸上特殊無線技士の試験概要は、以下を参考にしてください。
- 試験日:6月・10月・12月の年3回実施
- 受験地:東京・札幌・仙台・長野・金沢・名古屋・大阪・広島・松山・熊本・那覇
- 受験料:5,362円
- 申し込み方法:受験申請書を郵送もしくは直接持参
なお、より詳しい内容は、公益財団法人日本無線協会の国家試験案内ページをご覧ください。
3-3.マークシート方式で2科目32問の筆記試験
第一級陸上特殊無線技士の試験内容は、以下のとおりです。
- 試験時間:3時間
- 試験科目:筆記試験(無線工学24問・法規8問)
- 実地試験:なし
- そのほかの注意事項:筆記試験はマークシート方式
3-4.基礎知識を学び過去問で回答力を上げる
第一級特殊無線技士の試験は、筆記試験だけとなります。無線工学は24問中7~8割・法規は8問すべてが知識問題です。従って、基礎知識を学ぶことが合格の近道と言えるでよう。ただし、確実に合格を手にするためには、無線工学の2~3割を占める計算問題も侮ることができません。基礎知識を市販のテキストや教材で学んだ後は、問題集や過去問を繰り返し解いて回答力を上げていきましょう。
4.多重無線設備の資格に関するよくある質問
最後に、多重無線設備の資格に関する質問に回答します。それぞれ参考にしてください。
Q.第一級陸上特殊無線技士に科目合格制度はある?
A.ありません。不合格だった場合は、次回改めて2科目とも受け直すことになります。
Q.第一級陸上特殊無線技士の合格基準は?
A.合格基準は、以下のとおりです。
- 無線工学:120点満点中75点以上
- 法規:60点満点中40点以上
なお、いずれかの科目が基準に満たない場合は不合格となります。
Q.第一級陸上特殊無線技士と同時取得するといい資格は?
A.第三種電気主任技術者をおすすめします。第一級陸上特殊無線技士と同様、企業から需要の高い資格で、仕事の幅が広がるからです。
Q.第一級陸上特殊無線技士には更新義務がある?
A.更新義務はありません。1回免状を取得したら、半永久的に有効です。
Q.学生でも受験できますか?
A.可能です。社会人よりも自由な時間が多いことから、むしろ試験対策がしっかりできます。就職活動前に取得できれば、ライバルたちに差をつける切り札となることでしょう。
まとめ
今回は、多重無線設備の資格について詳しく解説しました。携帯電話やスマホの普及が広まり、無線局や基地局の設置・点検・メンテナンスが可能な、第一級陸上特殊無線技士の需要が高まるばかりです。資格取得により、転職・就職に有利になるほか、年収アップも期待できることでしょう。受験資格がないため、未経験者でも受験可能ですから、ぜひチャレンジしてみてください。