仕事をしながら土木施工管理技士の勉強をするのは、想像以上にとても大変なことです。「一体どのくらい勉強すれば合格できるのか?」と、勉強のスケジュール計画で悩んでいる方が多いのではないでしょうか。土木施工管理技士の合格に必要な時間を把握しておけば、試験科目に合わせた割り振り方ができるようになります。
そこで、本記事では、土木施工管理技士の勉強時間について解説しましょう。
この記事を読むことで、土木施工管理技士の効率的な勉強方法などが分かります。気になっている方はぜひチェックしてください。
1.土木施工管理技士合格に必要な勉強時間は?
最初に、土木施工管理技士の合格に必要な勉強時間や合格率・難易度などをチェックしておきましょう。
1-1.学科試験は合格率が50%以上、実地試験は30%以下
土木施工管理技士は学科試験と実地試験の2種類に分かれて試験を行うことになります。マークシート方式の学科試験に合格すれば、実地試験に進めるという流れです。また、1級と2級に分かれており、1級のほうが優位資格となります。合格率と難易度は1級と2級で異なりますが、どちらも学科試験の合格率は約50%を上回っているのが現状です。最近の合格率では、実地試験は約30%を下回っています。難易度は1級のほうが難しいと言えるでしょう。
1-2.最低でも2~3か月の勉強時間が必要
1日どのくらいの時間を勉強にあてることができるかによって大きく異なりますが、最低でも2~3か月の勉強時間が必要だと言われています。特に、2級よりも1級のほうが試験範囲が幅広く難易度が高いため、せめて3か月前から勉強を始めたほうがいいでしょう。平日、仕事が忙しいという方は「土日まとめて勉強しよう」と思うかもしれませんが、毎日30分でも勉強を続けたほうが必要な知識を身につけることができます。毎日勉強時間があてられない方は、早めに勉強を始めましょう。
1-3.工事の規模・受験資格の実務経験年数が異なる
土木施工管理技士1級と2級の大きな違いは、工事の規模が異なることです。もちろん優位資格である1級のほうが幅広い仕事を請け負うことができ、監理技術者の資格要件となっています。一般的に、下請けに出す請け負い金額が4,000万円以上の工事を行う場合は、監理技術者が必要です。一方、2級は主任技術者の資格要件となっています。また、受験資格に必要な実務経験年数が異なるのも大きな違いです。土木施工管理技士の試験を受けるためには実務経験が必要ですが、1級のほうが年数が増えます。
2.土木施工管理技士の試験科目と勉強時間
ここでは、土木施工管理技士の試験科目と勉強時間について解説します。
2-1.試験科目の概要
前述したように、土木施工管理技士の試験は学科試験と実地試験の2種類があります。学科試験はマークシート方式なので答えと思った番号を選ぶだけですが、実地試験では記述式です。自分の実務経験や考えを踏まえた上で回答を記載しなければなりません。最初に受けることになる学科試験では、1級・2級それぞれ以下のとおりとなります。
- 1級:土木工学・施工管理法・法規
- 2級:施工管理法・鋼構造物塗装施工管理法・薬液注入施工管理法のいずれから選択
学科試験をクリアしなければ実地試験にすすむことができないので注意が必要です。
2-2.マークシート方式の学科試験合格を目指す
1級・2級ともに、まずはマークシート方式の学科試験合格を目指すことが大切です。学科試験の場合、1級が全部で96問、2級が61問となっており、正解率が60%以上でなければなりません。試験時間は1級は午前:2時間30分、午後:2時間と分かれていますが、2級は2時間10分で終了します。時間内に回答しなければならないため、教科書で基本知識を理解した後に過去問を実際の試験と同じ時間で解いてみましょう。初めて試験を受ける方は、早めに勉強を始めマークシート方式に慣れておく必要があります。
2-3.自分が解けそうな問題を把握する
土木施工管理技士の学科試験をクリアするためには、自分が解けそうな問題をしっかりと把握することが大切です。以下に、1級と2級それぞれの具体的な分野と出題数をピックアップしました。
1級
- 午前の部:土木一般(15問)、専門土木(34問)、法規(12問)
- 午後の部:共通工学(4問)、施工管理法(31問)
2級
- 選択問題:土木一般(11問)、専門土木(20問)、法規(11問)
- 必須問題:共通工学(4問)、施工管理法(15問)
1級は問題数がとにかく多いので、時間内に解かなければなりません。特に、施工管理法は31問と大半を占めており、必要回答数も同じ31問となっています。何度も問題を解き、自分が得意とする分野は必ず点数を獲得して、苦手な分野をいかに対策できるかが合格のポイントと言えるでしょう。
3.土木施工管理技士の実地試験と勉強時間
ここでは、土木施工管理技士の実地試験と勉強時間について解説します。
3-1.実務経験で得た自分の考えを記入する実地試験
実地試験が学科試験よりも合格率が低いのは、自分の経験を踏まえた上で回答を書かなければならないからです。問題をしっかりと理解して、自分の考えを書く記述式となっています。2級の実地試験は出題数が9問ですが、1級になると11問と増えるので注意が必要です。それぞれの試験内容に関しては以下のとおりとなります。
1級
- 必須問題:施工経験記述(1問)
- 選択問題:土木・コンクリート・品質管理・安全管理・施工管理・建設廃棄物
2級
- 必須問題:施工管理経験記述(1問)・土木(2問)・コンクリート(2問)
- 選択問題:施工管理法(4問)
3-2.実地試験合格のためには実務経験が必須
実地試験を合格するためには、実務経験が必要不可欠となります。もともと、土木施工管理技士の受験資格には実務経験がなければなりませんが、実地試験は特に自分がどのような経験をしてきたかによって回答が大きく異なるからです。学科試験を合格したらすぐに実地試験の勉強・対策を始めてください。記述すべきことや書き方は、ある程度決まっているので参考書をお手本に記載するといいでしょう。
3-3.余裕を持って勉強を続けることが大事
まずは、学科試験をクリアしなければならないので学科試験の勉強に時間を費やしがちですが、実地試験にも勉強時間を割く必要があります。そのため、余裕を持って勉強を続けることが大切なポイントです。特に、2級は学科試験と実地試験を同日に行います。学科試験に合格するとすぐに実地試験となるため、同時進行で勉強を続けていかなければなりません。初めて受験した方の中には、半年~1年前から勉強をコツコツ始めていた方もいます。
4.土木施工管理技士の勉強時間を減らすコツ
より効率的な勉強ができるように、土木施工管理技士の勉強時間を減らすコツやポイントなどについて解説します。
4-1.1日の勉強時間を踏まえてスケジュールを立てる
勉強のスケジュールを立てるときは、自分が1日にどのくらい勉強できるのか考えることが大切なポイントです。毎日仕事で忙しくしている方は、疲れ具合を考えると1日30分もできないかもしれません。そんなときは、移動時間や空き時間を勉強に使うのもポイントです。できるだけ毎日勉強を続けてほしいので、無理のない自分が続けやすいスケジュールを立ててください。土日で一気に勉強するという計画はおすすめしません。
4-2.参考書で基本を理解してから過去問に挑戦する
まずは、参考書で基本をきちんと理解することが大切です。基礎知識を身につけ、土木施工管理技士の内容を理解していなければ問題が解けません。参考書を何度も読み直してから過去問に挑戦するという流れが一般的な勉強法となります。理解するまでに時間がかかる方は、参考書を何度も読み解く必要があるでしょう。何度も試験を受けておりある程度理解している方なら、早めの段階で過去問に挑戦するのも方法の1つです。勉強のやり方は、人それぞれで異なります。自分が続けやすい勉強法を見つけるのも合格のポイントです。
4-3.参考書は1冊にしぼって何度も読み返す
「参考書は複数購入したほうがいい」「評判がいい参考書を選んだほうがいいのか?」など悩んでいる方が多いと思いますが、参考書は1冊にしぼって何度も読み返したほうが効率的です。何度も読み返したほうが、試験に必要な知識だけ頭の中に入れることができます。また、参考書などの教材を選ぶ際は、評判に惑わされずに自分が理解できる内容のものを選ぶことが大切です。試験の合格ポイントが記載されているのはもちろん、内容が理解しやすい参考書を1冊選んで活用してください。
5.土木施工管理技士に関してよくある質問
土木施工管理技士に関する質問を5つピックアップしてみました。
Q.学科・実地試験それぞれの試験対策は?
A.学科試験は参考書を読み問題練習を重ねることで十分に対応できます。問題のほとんどが基本的なことばかりなので、専門用語の意味や基礎知識を身につけておくといいでしょう。なお、実際の現場で知識を使い学んだことを大切にすれば、実地試験対策につながります。実地試験では、何に気をつけたか・現場での役割・工事のポイントなどが問われるため、現場で何をやったのか自分で把握しておかなければなりません。常に意識しながら実務経験を積んでいきましょう。
Q.1級は勉強時間を十分に確保しておいたほうがいいのか?
A.前述したように、1級は試験範囲が幅広く問題数も多くなり難易度もグッとあがります。そのため、1日1時間勉強を続けたとしても約半年の勉強時間が必要になるでしょう。平日に1時間、土日に3時間の勉強時間が確保できれば4か月でも合格できる範囲内です。ただし、平日は30分、土日に2時間の勉強時間と短くなると勉強時間は半年以上必要となります。計画どおりにいかないことがほとんどなので、半年は目安に勉強をコツコツと続けるべきです。
Q.独学で勉強しても合格できるのか?
A.実際に合格者の中には、独学で勉強したという方もいます。独学は自分の好きなタイミングやペースで勉強できる・講習会や通信講座よりもお金がかからないメリットがありますが、分からないことは自分で調べるしかありません。また、モチベーションがあがらないときは、なかなかうまくいかないでしょう。自己管理が合格の重要ポイントとなるため、しっかりと自分のモチベーションが管理できる人なら独学でも合格できます。
Q.試験勉強のモチベーションを保ち続けるコツは?
A.リフレッシュ時間を作ることです。毎日勉強を続けることが大切だと言いましたが、リフレッシュする時間も作ってください。たとえば、平日に毎日30分~1時間ほど勉強をしているなら、休日は午前中だけ勉強して、午後は自由な時間と決めておきます。「勉強しなければならない」と思うほどモチベーションがあがらなくなるので、たまには自分が好きなことをする時間を作りましょう。
Q.毎日仕事が忙しい人におすすめの勉強法は?
A.独学・スクール通学・通信講座などさまざまな勉強法がありますが、仕事と勉強を両立させたい方は通信講座がおすすめです。通信講座なら、自分の好きな時間に教材を使って勉強することができます。また、通信講座の中にはDVD学習ができるタイプもあるため、移動時間や休憩時間などのすき間時間も活用できるでしょう。
まとめ
土木施工管理技士は、1級・2級ともに学科試験の合格率が50%を超えていますが、実地試験になると合格率がグッと下がってしまいます。実地試験は記述式となるため、自分の経験を踏まえて記入しなければなりません。合格するためには、できるだけ毎日勉強を続けることが大切ですが、忙しい方はなかなか勉強時間が確保できないと思います。試験の2〜3か月前から勉強をするのが理想だとしても、勉強時間がなかなか確保できない方は半年前から勉強を始めてください。余裕を持って勉強を続けることが合格への近道です。