コンセントが適切な位置にないので、部屋自体が使いにくくなっている。そんな悩みを抱えている人は意外と多いのです。コンセントの数や位置は、家具や家電の配置にも関係してきます。そのため、コンセントを複数口のものに交換したり、増設工事を行ったりしたいと思っている人もいるでしょう。
そこで、今回は、コンセントに関する工事を行うために必要な資格について解説します。
この記事を読めば、電気工事に関する資格についてもよく分かるでしょう。電気工事士を目指している人も、ぜひ読んでみてください。
01. コンセント工事とは
どのようなもの?
はじめに、コンセント工事とはどのような工事なのかということを説明します。工事をするとどのようなメリットがあるのでしょうか?
1-1.コンセントの役割
コンセントは家電などを使用するため、配線にコードを接続する差し込み口のことです。現在は、ワンルームでも複数のコンセントがあります。家を新築する場合は、コンセントの位置を考えることを忘れてはならないと言われるほど、コンセントの位置は重要です。コンセントの位置が悪ければ、家具・家電の配置も思うようにできず、住みにくい家になるでしょう。
1-2.コンセント工事とは?
コンセント工事には、
- コンセントの位置を変える
- コンセントの口数を増やす
- コンセントの数を増やす
- 壊れたコンセントを修理する
といったものがあります。築年数が経過している家ほど、コンセントの数は少なく、口数も1つしかないものが多いのです。ですから、リフォームを行うついでにコンセント工事をする家もあります。また、築浅の家でも「ここにコンセントがあれば便利」と思うことは珍しくありません。延長コードが届く場所ならよいのですが、そうでないならば、工事が必要です。
1-3.コンセント工事は素人でも行えるの?
結論から言うと、コンセント工事を行うには「電気工事士」という資格が必要です。無資格では行うことはできません。増設工事だけでなく、コンセントに不具合があった際の修繕工事も電気工事士の資格が必要です。無資格で電気工事を行った場合、漏電などの危険があります。
02. 電気工事士とは
どのような資格?
この項では、コンセント工事をはじめとする電気工事全般を行うことのできる電気工事士について解説します。どのような資格なのでしょうか?
2-1.電気工事士とはどのような資格?
電気工事士とは、文字どおり電気工事を行うために必要な国家資格です。水道工事やガス工事の場合は、有資格者の監督下ならば無資格者でも工事を行うことができます。しかし、電気工事だけは資格を取得しないと行えません。ちなみに、電気工事とは家電のコンセントやアースを繋ぐ以外、すべての電気に関する作業のことを指します。たとえば、電気の配線を少しだけ伸ばすような工事も、資格がないと行えません。
2-2.電気工事士の種類
電気工事士には、以下のような種類があります。
- 第一種:第⼆種が行える電気工事・最大電力500Kw以内の電気工事を行える
- 第⼆種:600V以下で受電する設備の電気工事を行える
また、電気工事士の資格を取得して一定の実務経験を得れば、非常用予備発電装置の電気工事を行える認定電気工事従事者や、ネオンサインなどの工事を行える特種電気工事資格者の資格も、認定講習を受けることで取得することも可能です。
2-3.資格取得のメリット
電気工事は、建築工事や土木工事を行う際にも必要です。また、電気設備を管理するビルメンテナンス業務を行う会社やリフォーム会社などからも需要があります。実務経験を積めば、電気工事を個人で請け負うことも可能です。全国どこでも一定の需要があるので、転職や就職に大変便利でしょう。また、資格手当をつける会社も多いですし、昇給や昇進にも有利です。
03. 電気工事士の
資格取得方法
この項では、電気工事士の資格取得方法や受験勉強のコツなどを解説します。ぜひ、参考にしてください。
3-1.電気工事士の資格を取得するには?
電気工事士の資格を取得するには、電気技術者試験センターが主催する試験を受けて合格することが基本です。ただし、第二種は経済産業省が認定校に指定した専門学校や大学・職業訓練校・工業高校などに入学し、所定の単位を収めても取得できます。工業高校や工業大学の電気科が代表的な認定校です。なお、第一種は学校を卒業するだけでは取得できませんので注意しましょう。
電気工事士の資格試験を受けるのに、資格等は定められていません。年齢・性別・学歴・職歴に関係なく受験することができます。ただし、第一種は5年以上の実務経験(大学・短大・専門学校・高校で電気に関する単位を取得していれば、3年)がなければ、試験に合格しても免状が交付されません。ですから、無資格・無経験から資格取得を目指す場合は第二種から挑戦しましょう。
ちなみに、第一種の試験に一度合格すれば、免状の交付資格を失効することはありません。ですから、第二種・第一種と続けて試験に合格し、第二種の資格を活用して実務経験を積んでから第一種の免状を都道府県知事に申請し、交付してもらう人もいます。
3-2.試験の概要
電気工事士の資格試験は、以下の2科目です。第一種・第二種の違いはありません。
- 学科試験:電気工事や電気にかんする法令・配線図などの択一式問題
- 技能試験:実際に配線図を元に電気工作物を工具を使って作成する
学科試験に合格しなければ、技能試験は受けられませんので注意しましょう。なお、学科試験に合格した場合は翌年に限り、電気主任技術者の資格を取得している場合はずっと学科試験が免除になります。
合格の条件は、学科試験が6割以上の得点を得ること、技能試験がミスなしで工作物を完成させることです。技能試験の採点方法は2017年度より変更され、以前は認められていた軽微なミスが認められなくなったので、注意してください。
試験の合格率は第一種が40%前後、第二種が30%前後と国家試験の中では高いほうです。しっかりと勉強していれば、比較的合格しやすいでしょう。
3-3.試験の申し込み方法など
電気工事士の試験は、第一種が年に1度、第⼆種が年に2度実施されています。しかし、第⼆種でも受験できるのは年に1度だけです。試験は毎年6月と10月に実施されます。電気技術者試験センターのホームページから電子申請が行えますので、詳しい日程と共に確認しておきましょう。受験料は第一種・第二種共に9,300円です。試験は全国で行われますので、受験票が届いたら試験会場の確認を忘れないようにしてください。
なお、学科試験に合格し、技能試験を受けるには以下の工具が必要になります。
- ペンチ
- ドライバー(マイナス・プラス)
- ナイフ
- スケール
- ウォーターポンププライヤー
- リングスリーブ用圧着工具
これらの道具は電気工事士として仕事をしていくうえでも必要です。インターネットショップなどでもセット販売が行われていますので、思いきって良いものをそろえておきましょう。
3-4.学科試験の勉強方法
学科試験は、暗記と簡単な計算問題が中心です。電気工事士は人気の資格のため、第一種・第二種ともにたくさんの参考書や過去問題集が販売されています。最も人気が高いのは、ツールボックス社から刊行されている、「すい~っと合格シリーズ」です。どの参考書を選んでよいか分からない場合は、まずこの参考書を手に取ってみましょう。絵が多く、初心者向けです。参考書を読んで過去問を解く、という勉強法を行っていれば、合格に必要な知識を身につけられます。
独学では自信がないという場合は、通信教材を利用してみましょう。市販の参考書よりも作りが丁寧ですし、メールで質問ができるサービスを行っているところもあるのです。
3-5.技能試験の勉強方法
技能試験では
- 配線図を作成する力
- 工事に必要な材料を判断する力
- 工事に必要な技術力
の3つが問われます。無資格・無経験で第二種を受験する場合は、工具の扱いを覚えて工作物を組み立てるのに必要な技術を身につけるところからはじめなければなりません。そのため、まずは配線図の書き方を覚えましょう。なお、技能試験は試験日より前に問題が複数公開されており、本番ではそのうちの一題が実際に出題されます。ですから、問題の予想が非常に立てやすいというメリットもあるのです。
技能試験は模擬問題集と練習キットがセットになって販売されていますので、購入して繰り返し練習しましょう。なお、写真で手順を確認するよりDVD付き参考書などを購入し、映像で手順を見ながら練習したほうがおすすめです。工具も使い慣れておきましょう。本番でいきなり新品の道具を使用してもうまくいきません。
第一種を受験する場合は、いかにミスをしないように工作物を完成させるかが課題となります。過去問題集を1冊用意し、解答を見て、ミスしやすいところをチェックしておくとよいでしょう。
04. コンセントの工事資格に
関するよくある質問
Q.電気工事士と電気主任技術者の違いはなんですか?
A.電気主任技術者は、事業用電気工作物の保安監督業務を行う資格であり、電気工事を行うことはできません。
Q.電気工事士の資格なしに工事を行った場合、何らかの罪に問われますか?
A.電気工事士法の違反となり、罰金刑などが科せられるでしょう。
Q.電気工事士はどのくらい勉強すれば資格取得が可能ですか?
A.知識にもよりますが、物理の授業で電気に関して学んだ程度の場合は、3か月以上は勉強しましょう。
Q.電気工事士の技能試験では、道具のレンタルはできますか?
A.できません。ですから絶対に工具の忘れ物をしないようにしましょう。
Q.電気工事士の資格を取得していれば、経験がなくても工事ができるのですか?
A.第二種の範囲内でしたらできます。
05. まとめ
いかがでしたか? 今回はコンセントの工事についていろいろと解説しました。コンセント工事自体はさほど難しいものではありません。しかし、無資格者では工事を行えませんので、注意しましょう。電気工事士の資格は、難易度の割に需要が高く、取得しておいて損はありません。