エアコンは、室温を快適に保つために必要な家電です。最近は、猛暑などのために、エアコンなしに過ごすことが難しくなってきましたよね。さて、エアコンを取り付けたいと考えたときに、自分だけで作業をしてもいいのか・資格が必要なのか、よくわからないことがあるものです。そこで、今回は、エアコンの取り付け工事に必要な資格について詳しく解説します。
この記事を読むことで、エアコンの取り付け工事に必要な知識が身につき、資格取得のために適切な方法で準備を進めることができます。まずは、記事をじっくり読んでみてください。
01. エアコンの取り付けについて
最初に、エアコンの取り付けに関する基本を学びましょう。
1-1.エアコンの原理
エアコンは、室内の空気を取り込み、内部の冷媒により設定温度に調整してから排出する機能を持っています。エアコンは、室内機(本体)・室外機・配線によって成り立っており、いずれが欠けても機能を果たすことができません。正しく配置、接続することで、エアコンの機能を確実かつ安全に使用することができるのです。
1-2.エアコンの取り付け工事とは
エアコンの取り付け手順に関しては、以下を参考にしてください。
- 室外機の取り付け予定場所を掃除する
- 室外機の取り付け作業を行う
- 室内機と室外機をつなぐ接続線および冷媒配管を設置する
- アースを設置する
- ドレンホースを接続する
- 真空引きを行う
- 室内機を設置する
- 最後に正常に運転できるか確認して完了
02. エアコンの取り付けは資格なしで可能?
エアコンの取り付けは、資格なしでもできる場合があります。できないことの確認を含め、詳しく解説しましょう。
2-1.エアコンの取り付けはDIYでもできる?
DIYが得意な人なら、自分でエアコンの取り付けができるのではないかと考えることでしょう。確かに、一部の作業はDIYでも行うことができます。ただし、無資格では作業内容が限られるので注意しましょう。誰も見ていなくても無資格で電気工事を行うと法律違反となります。電気工事は、資格保持者だけが行うことができるものなので絶対に手をつけないでください。
2-2.エアコンの取り付けで無資格でもできる作業は?
エアコンの取り付け作業でも、以下のものは無資格でも行うことができます。
- 室外機・室内機の設置作業だけ
- 室外機・室内機の化粧カバーの取り付け
- アース線の取り付け
- 電気コンセントへの接続(配線は除く)
このほかにも、真空引き(エアコンのパイプ内部から空気を抜く作業)も無資格で行うことができます。ただし、真空引きはコツが必要なので、不安な場合は無理をせず、業者に依頼したほうがいいでしょう。
2-3.エアコンの取り付けに必要なもの
エアコンの取り付けには、主に以下のものが必要です。このほかにも必要なものが出てくる場合があります。詳しくは、エアコンの使用説明書などを参考にしてください。
- ドレンパイプ(ドレンホース):室内機から出る水を排出するためのもの
- ペアコイル(冷媒(れいばい)管):室内機と室外機をつなげるためのもの
- VVFケーブル:室内機から室外機への電源供給用に使用するもの
- シールパテ:冷媒管などをとおした後の穴をふさぐためのもの
- プラブロック:室外機を設置するときの足台
- ビニールテープ
- 配管保護テープ
- 軍手
- ドライバー
- ぞうきん・古新聞紙など
2-4.できないことも確認しておこう
無資格では、できないことも多くあります。たとえば、以下は電気工事士だけが行うことができる作業です。
- 防護装置の取り付け作業
- 内外接続線を直接壁などに固定する作業
- 600Vを超えて使用するエアコンの設置作業(業務用とみなすため)
- 電気コンセントの増設や移設工事
- アース接地極への接続作業もしくは地面に埋める作業
- 内外接続電線同士の接続など
2-5.エアコンの取り付けを無資格で行うときの注意点
エアコンの取り付けを無資格で行うときは、安全に十分配慮することが大切です。たとえば、濡(ぬ)れた手で電源や電線に触れると感電事故を起こすので気を付けましょう。無資格であることは、電気の危険を知らないままにエアコンの取り付けを行うことと同じです。電気工事にかかわることがなくても、気をつけて作業を進めてください。
03. エアコンの取り付けで資格が必要な場合とは?
エアコンの取り付けで、資格が必要な工事について学びましょう。どんな資格が必要かも解説します。
3-1.エアコンの取り付け工事ができる資格とは?
エアコンの取り付け工事は、電気工事士の資格があると可能です。エアコンは、電気の力によって動くため、電気配線がないと困ります。たとえば、古い家で、今までエアコンを使用していなかった状況では、新たに電気の配線工事が必要となるでしょう。配線工事を行うことができるのは、電気工事士の有資格者です。
3-2.資格があるとどんなことができるか?
電気工事士の資格があると、エアコン設置にあたって以下のようなことを行うことができます。
- 電気配線の延長
- コンセントの位置変更
実際に、エアコンの取り付けを行おうとしたときに、適切な位置に配線やコンセントがないことはよくあります。電気工事資格取得者なら、状況に応じて必要な工事を行うことができるのです。
3-3.エアコン取り付けは電気工事
エアコン取り付けは、配管工事もありますが、主となる部分は電気工事となります。そのため、電気配線や接続を伴う場合は電気工事の扱いとなり、電気工事士が行う必要があるのです。無資格者が行うことはできないので注意してください。
04. 電気工事士資格について学ぼう
電気工事士について、どんな資格か・主な職務や必要性・資格取得のメリットなどを解説します。
4-1.電気工事士とはどんな資格?
電気工事士には、第一種電気工事士および第二種電気工事士があります。それぞれの取り扱い可能範囲については、以下を参考にしてください。
- 第一種電気工事士:第二種の範囲および最大電力500キロワット未満の工場やビルなどの工事を行うことができる
- 第二種電気工事士:一般住宅や店舗など、600ボルト以下で受電する設備の工事を行うことができる
4-2.電気工事士の職務や必要性
電気工事は、正しい知識の元に行わないと想定外の事故につながります。電気工事士には、必要な電気工事を安全かつ確実に行うという職務があるのです。私たちが快適に生活を送るためには、さまざまな場所で数多くの電気設備が存在しており、電気工事士も必要不可欠な存在と言えます。
4-3.電気工事士資格取得のメリット
電気工事士の資格取得には、以下のようなメリットがあります。
- 電気関連の専門職として仕事の幅が広がる
- 就職・転職に有利になる
- 昇進・昇給のきっかけとなる
- 経験を積んで独立開業もできる
05. 電気工事士資格の取得について
電気工事士資格の取得に必要なことを学びましょう。試験の受験資格や試験概要・試験内容難易度や合格率のほか、おすすめの勉強法についても解説します。
5-1.電気工事士の受験資格
第二種電気工事士および第一種電気工事士は、受験資格がありません。そのため、希望者は誰でも試験を受けることが可能です。ただし、第一種電気工事士の免状を受けるためには、5年以上の実務経験があるなどの指定があります。詳しくは、一般財団法人電気技術者センターの免状公布ページを参考にしてください。
5-2.電気工事士の試験概要
電気工事士の試験概要は、以下のとおりです。受験を希望するときは、主催の情報をこまめにチェックしておきましょう。
- 主催(試験の情報入手先):一般財団法人電気技術者試験センター
- 試験地:第一種・全国10地区の指定会場、第二種・全国47都道府県の指定会場
- 試験日時:第一種は一次試験年1回10月上旬(二次試験12月上旬)・第二種は一次試験年2回6月上旬(二次試験7月下旬)もしくは9月下旬(二次試験12月上旬)
- 受験料:第一種・10,900円(郵送11,300円)、第二種・9,300円(郵送9,600円)
- 申込期間:試験日の約3か月前から申し込み開始
- 申し込み方法:インターネット経由もしくは郵送による
5-3.電気工事士の試験内容
電気工事士の試験内容に関しては、以下を参考にしてください。
- 試験科目:第一種の試験科目・第二種の試験科目
- 試験時間:第一種合計2時間20分・、第二種合計2時間
- 実地試験:筆記試験合格者にだけ二次試験として実地試験を行う
- そのほかの注意点:筆記試験は四者択一のマークシート方式
5-4.電気工事士の難易度や合格率は?
電気工事士試験の平成28年度の合格率は、以下のとおりです。第二種でも10人受験して半数以上が不合格となるため、難易度は高めと考えていいでしょう、
- 第二種電気工事士:合格率約40%
- 第一種電気工事士:合格率約29%
なお、合格基準は、正答率が60%以上となります。
5-5.電気工事士の勉強方法について
電気工事士資格を取得するためには、まずは、資格試験に合格することが条件となります。資格試験は、過去問を活用して出題傾向をつかみ、効率よく学習することがおすすめです。過去問や回答は、一般財団法人電気技術者試験センターの過去の問題と回答ページからダウンロードできます。
06. エアコンの取り付けと資格に関するよくある質問
最後に、エアコンの取り付けと資格に関するよくある質問に回答します。それぞれの内容を確認し、不安を残さないようにしましょう。
Q.故障したエアコンを取り外す作業も有資格者に依頼したほうがいいですか?
A.エアコンは、想像以上にいろいろな配線や配管が関連しているため、取り外しも業者に依頼することをおすすめします。冷媒(れいばい)の取り扱いや、配管内部の水抜きなど、専門知識を持った人に依頼したほうが、安全で確実に進めることができるからです。自己判断で取り外さないようにしましょう。
Q.エアコンのメンテナンスには資格が必要ですか?
A.クリーニングや結露取りなどのメンテナンスに関しては、資格は不要です。電気関連にかかわる部分は、電気工事士の資格が必要となります。故障などで、何をするべきかよくわからない場合は、業者に作業を依頼したほうが賢明です。
Q.第二種電気工事士試験を年2回受験することは可能ですか?
A.第二種電気工事試験は、1年に2回の実施がありますが受験は2回のうち1回だけとなります。したがって、両方の試験を受けることはできません。いずれか都合のいい日程を指定して、受験準備を進めてください。
Q.試験地は好きなところを選んで申し込みできますか?
A.電気工事士の試験地申し込みに関しては、特に制限はありません。自宅や会社に近いところを選ぶのも、都会の受験地を選ぶのも自由です。ただし、土地勘のない試験地を選んだばかりに、当日遅刻をする可能性もあります。試験前に下見をするなどして、開始時間に遅れないように準備しておきましょう。
Q.電気工事士の試験合格後に免状の取得期限はありますか?
A.試験合格後の免状に、取得期限はありません。従って、取得したいときに申請すればいいのです。ただし、電気工事士としての職務を行うためには、免状の所持が必要不可欠になります。そのため、試験に合格した後には、速やかに免状の取得手続きを行ってください。なお、免状の受け取りまでに申請後2か月程度必要となることもあります。
07. エアコン取り付け工事の資格
まとめ
今回は、エアコンの取り付けと資格について詳しく解説しました。実際の作業は、資格が必要ないものもあれば必要になるものもあります。仕事に活用するためには、電気工事士の資格取得がおすすめです。電気工事士になれば、電気工事を伴うエアコンの取り付け工事ができるため、就職や転職にも有利に働きます。試験は難易度が高めですが、最初からあきらめずにコツコツと準備を進めれば問題ありません。過去問や自分に合った教材などを活用して、チャンスをつかんでください。