電気工事士とは、一般住宅や様々な施設で電気工事を行うことができる資格です。電気工事士の有資格者でなければ、どんな小さな電気工事も行うことはできません。電気工事士の資格を取得することができれば、建築現場などで働けるのはもちろんのこと、ビルメンテナンス業界などでも活躍できます。特に、第二種電気工事士は受験資格がいらないので、全く畑違いの分野で働いている方も挑戦可能です。
そこで今回は、電気工事士の資格を取得する方法と試験対策についてご紹介しましょう。
電気工事士の試験対策をしっかりとすれば、より合格しやすくなります。電気工事士の試験に興味がある方や試験にチャレンジしようと思っている方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。
01. 電気工事士とは
どのような資格?
はじめに、電気工事士の資格概要や就職先や取得するメリットなどをご紹介します。取得することでどのような電気工事ができるようになるのでしょうか?
電気工事士の資格概要
電気工事士とは、建物や屋外設備の配線設備工事や配線の修理工事・メンテナンスなどを行うことができる資格です。電気の配線工事は、建物を建てるときやリフォームする場合は必ず行われます。また、電気設備のメンテナンスも重要です。ですから、電気工事士の資格を取得していると、建築関係の仕事や電気設備関係の仕事、さらにビルのメンテナンス業界でも活躍できます。
電気工事士の種類
電気工事士には、一種と二種があります。二種は、一般用電気工作物の電気工事に従事できる資格であり、一種はそれに加えて最大500キロワット未満の需要設備の電気工事作業を行うことができる資格です。
電気工事士は一種・二種とも受験資格がありません。性別・年齢・国籍問わずに受験を受けることができます。ただし、受験に合格した後に交付手続きが必要です。その際、第一種電気工事士は電気工事の実務経験が5年以上ないと交付されません。ですから、試験に合格しても未経験者では第一種電気工事士として働くことはできないのです。そのため、未経験者が第一種電気工事士を取得したい場合、第二種電気工事の資格を取得してから実務経験を積み、第一種電気工事士の資格を取得することになります。
電気工事士を取得する方法
電気工事士の資格を取得する方法は、大きく分けて2つあります。1つは試験を受けて合格する方法。もう一つは、第二種電気工事士の場合、経済産業大臣認定を受けた電気工事士二種の養成学校を卒業する方法です。また、電気関係の大学や短大・専門学校で定められた単位を取得した場合、第一種電気工事士の交付を受けるための条件である実務経験が5年から3年に短縮されます。
資格を取得するメリット
電気工事を無資格者が行うのは違法です。ですから、電気工事を行っているすべての場所で需要があります。また、建築業界で働いている場合、電気工事士の資格を取得すればできることが増えて所得アップにつながるでしょう。ビルメンテナンス業界では、電気工事士の資格を持っている方を優先して採用する会社もたくさんあります。また、電気工事士の資格を習得して実務経験を積むと、認定電気工事従事者や特殊電気工事資格者などの認定を受けることができ、仕事の幅も広がるでしょう。
02. 電気工事士の
試験や講習について
この項では、電気工事士の試験内容や資格取得後の講習についてご紹介します。試験内容はどのようなものなのでしょうか?
試験内容について
電気工事士の試験は、筆記試験と技能試験があります。筆記試験は、電気に関する基礎理論や配電理論・配線設計・ 電気工事の施工方法・電気工事に関する法令など、電気工事を行う上で必要不可欠な知識を問われる内容です。技能試験は、実際に工具を用いて配電図を参考に支給された材料を使って工作物を完成させます。
なお、電気主任技術者の資格を持っていたり高校や専門学校・大学などで所定の単位を取得していたりすれば、筆記試験は免除になりますので、該当する方は確認が必要です。昨年筆記試験に合格し、技能試験に不合格だった方の場合も、翌年の受験に限り筆記試験が免除になります。
申し込み方法や受験日など
電気工事士の試験は、一般財団法人電気技術者試験センターによって執り行われています。第一種は年1回・第二種は年に2回試験が行われますが、1年に2回受験することはできません。受験会場は、各地区ごとに実施されますので、試験会場がない県もあります。たとえば関西地区の場合は大阪府にだけ試験会場が設置されるため、京都・兵庫・滋賀・奈良在住の方は大阪まで行くことになるのです。申し込みは一般財団法人電気技術者試験センターのホームページから行えますので、受験を考えている方はブックマークをつけておくとよいでしょう。試験日程や試験会場などもすべてここから確認ができます。
なお、技能試験には工具の持ち込みが必要です。最低限必要な作業道具はペンチ・ドライバ(プラス・マイナス)・ナイフ・スケール・ウォータポンププライヤ及びリングスリーブ用圧着工具(JIS C 9711:1982・1990・1997適合品)となっています 。工具を忘れた場合でも、試験会場で借りることはできませんので注意してください。
難易度や合格率について
電気工事士の試験は、筆記試験が全体の6割、技能試験は軽微な欠陥2個以下で合格できます。技能試験は施行上の重大な欠陥があった場合、その時点で不合格になるので製作する際は気を付けましょう。第一種の合格率は約50%、第二種の合格率は約70%と、比較的高くなっています。
資格を取得した後の講習について
第一種電気工事士の交付を受けた場合は、5年ごとに大臣が指定した講習機関が実施する定期講習が義務付けられています。これが実質上の更新講習となりますので、資格を取得したら電気工事士の資格が必要でない仕事をする場合でも必ず受験しましょう。
03. 電気工事士合格のための
勉強法
この項では、電気工事士取得のための勉強方法をご紹介しましょう。ぜひ参考にしてくださいね。
電気工事士の試験勉強
電気工事士の難易度はそれほど高くありません。第一種・第二種とも参考書や過去問題集が書店でたくさん販売されています。また、通信教材も充実していますので、自分に合ったものを選択しましょう。技能試験用の練習キットも、インターネット通販で販売されています。それらを利用して練習を行えば、独学でも合格できるでしょう。なお、工具は事前に使いなれておくことが大切です。本番で新品の工具を使うと、思わぬアクシデントが起こるかもしれません。
独学のコツ
独学で勉強する場合は、まず自分に合った参考書や過去問題集を買いましょう。Amazonなどのインターネット書店でも参考書はたくさん販売されていますが、できれば実際に内容を確かめてから購入するのがおすすめです。特に、電気の知識が全くない方の場合は、できるだけ図が多い物の方が理解もしやすいでしょう。練習キットは、どこのものを購入しても大差はほぼありません。
電気工事士の記述試験は暗記科目が多いため、参考書を読んだら過去問を解く、という方法をくり返しましょう。本当に理解ができていれば、過去問は解けるはずです。なお、電気技術者試験センターのホームページからも過去5年間の過去問と回答が閲覧できますので、チェックしてみてください。
おすすめの参考書など
電気工事士すい〜っと合格シリーズ
オーム社から発売されている参考書のシリーズです。電気工事士の参考書では最も有名で評判も高いシリーズで、これを利用している方もたくさんいます。絵や図が豊富なので初心者向けです。なお、このシリーズは過去問題集も出ていますので、併せて使用してみましょう。
すい~っと合格コミック
こちらは、すい~っと合格シリーズの著者が監修をしている漫画です。全く知識がない状態ですといきなり参考書を読んでも理解ができない方もいるでしょう。この漫画は、そんな方のための入門書としてぴったりです。まずこれを読んで電気関係の知識を得て参考書を読んでおくことで理解が深まります。
04. 電気工事士の試験に関する
よくある質問
Q.電気工事士は、学生でも受験可能ですか?
A.二種の場合は受験できます。
Q.大学や専門学校以外で、第二種電気工事士の資格が取れる学校はあるのでしょうか?
A.一部の職業訓練校で、第二種電気工事士の資格が取得できますが、毎回人気のため、受講者を抽選で選ぶところもたくさんあります。
Q.女性でも電気工事士の資格を取得すれば就職先はあるでしょうか?
A.女子寮や女子だけが利用する施設はたくさんありますので、需要は豊富です。
Q.電気工事士二種を取得せずに電気工事の実務経験を得る方法はありますか?
A.電気主任技師の資格を取得し実務経験を積むと、その一部が第一種電気工事士の受験資格として認められます。
Q.中高年でも電気工事士の資格を取得すれば、再就職に有利でしょうか?
A.ビルメンテナンス業界は中高年の方が向いている業界といわれていますので、資格取得は有利に働きます。
05. 電気工事士
まとめ
いかがでしたか? 今回は電気工事士の試験についていろいろとご説明しました。電気工事士の2種は受験資格がいりませんので、全く無関係の分野で働いている方でも取得しやすいものです。思わぬことで役に立つこともあるでしょう。また、「電気主任技術者の試験を受けたいけれど電気に関する知識が全くない」という場合は、電気工事士二種の試験から挑戦すると知識が深まり、合格しやすくなります。ある程度の物理や数学の知識があれば決して難しい試験ではないので、ぜひチャレンジしてみてください。