ビル施設管理の仕事に就きたい!仕事内容や必要な資格は?

ビル施設管理の
仕事に就きたい!
仕事内容や必要な資格は?

オフィスビルや大規模な商業施設・病院・学校・ホテルなどの建物は、不特定多数の方が長時間利用します。ビル施設管理とは、これらの設備に備えつけられている電気設備・空調設備・給排水設備などが正常に作動し続けるよう、点検や整備をする仕事です。これらの仕事は24時間体制で行い、専門の資格を必要とする仕事もあります。

今回は、ビル施設管理の仕事内容や、仕事に就くために必要な資格などを解説しましょう。

  1. ビル施設管理の仕事とは?
  2. ビル施設管理に必要な資格
  3. 資格取得の方法
  4. ビル施設管理に関するよくある質問

この記事を読めば、資格取得の方法や勉強のコツもよく分かりますよ。ビル施設管理の仕事に興味がある方や、必要な資格取得を目指している方も、ぜひ読んでみてくださいね。

01. ビル施設管理の
仕事とは?

はじめに、ビル施設管理の仕事内容や必要な資格などを解説します。どのような仕事を行うのでしょうか?

ビル施設とはどのようなもの?

オフィスビルや大規模商業施設などは、不特定多数の方が長時間利用します。人々が安全で快適に施設を利用できるように、電力設備や給水設備・空調設備・エレベーターをはじめとする機械設備・ボイラー設備などが、備えられているのです。ビル施設が故障すれば、ビルの利用者に迷惑がかかります。また、ビル施設に不具合があれば、利用者に健康被害が出ることもあるでしょう。そのため、施設を管理する専門家が必要です。

ビル施設管理の仕事とは?

ビルの施設管理とは、前述のとおり、ビルの設備が問題なく作動し続けるよう、点検や整備をする仕事になります。また、ビルの警備や清掃も施設管理の一環です。これらの仕事をまとめてビルメン(ビルメンテナンス業務)といい、その仕事を専門とする会社もたくさんあります。

現在は技術の進歩により、エレベーターをはじめとする機械設備や空調設備などは、専門の業者が遠方からコンピューターを利用し、管理ができるようになりました。しかし、日々のこまごまとした点検や整備は現場で行う必要があります。そのため、24時間の勤務体制管理を行っているビルも珍しくありません。

ビル施設管理の具体的な仕事内容

  • 電力設備管理:高圧な受電設備の定期点検や、ビル内の電気設備の整備・操作・修理などを行う
  • 空調設備管理:空調機器の整備・点検・操作・ビル内の空気の定期的な測定
  • 給水設備管理:受水槽や排水にかんする設備の定期点検や、清掃の手配などをする。水質検査も業務の一環
  • 機械設備管理:エレベーターやエスカレーターなどの機械設備の整備点検・専門業者に定期点検の依頼をする
  • ボイラー管理:ボイラー施設のあるビルでは、ボイラーの運転や管理をする
  • 清掃・警備:ビル内の清掃や定期点検・夜間警備など
  • その他:コスト削減や修繕計画を立てて、オーナーに提案する

すべてのビルでこのような仕事を行うわけではありませんが、大きなビルほど施設管理の仕事内容は増えていきます。

ビル施設管理の仕事に就く方法

ビル施設管理の仕事は、専門の業者が行っています。自社ビルをいくつも所有している会社は、ビル管理専門の部署や子会社を作って、ビル管理をしているところも珍しくありません。また、いろいろなビル施設の管理を請け負っている会社もあります。
ビル施設管理の仕事というと、一昔前までは定年後の再就職先というイメージが強いものでした。しかし、現在はビル設備にかんする専門知識や資格が必要な仕事になっています。単に管理室に座っているだけでいい、という職場はほとんどないでしょう。また、ビル施設管理だけでなくテナントとの折衝やクレーム処理も仕事の一環になっている職場もあります。

ビル施設管理の仕事の給与は300万円~が相場ですが、取得している仕事によってはもっとアップすることもあるでしょう。求人はハローワークのほか、求人サイトなどでも定期的に行われています。

ビル設備管理の仕事は多岐に渡るのですね。
はい。ビル管理の仕事の中で何をしたいかを明確にしてから就職・転職活動を行いましょう。

02. ビル施設管理に
必要な資格

この項では、ビル施設管理の仕事をするために必要な資格を解説していきます。どのような資格が必要なのでしょうか?

電力設備管理に必要な資格

ビルのような高圧受電設備がある施設は、定期的に電気主任技術者による電気工作物の自主点検が必要です。また、電気設備に軽微な故障が認められた場合は、電気工事士が工事を行います。そのため、電気主任技術者や電気工事士の有資格者を求めているビルメン会社は多いでしょう。資格手当を多めにつける会社もあります。特に、電気主任技術者は難易度が高い資格なので、取得していれば重宝されるでしょう。

空調設備管理に必要な資格

ビルに設置されている大型の空調設備の操作や保安業務を行いたいという場合は、冷凍機械責任者の資格を取得するのがおすすめです。冷凍機械責任者は高圧ガス保安責任者の資格区分の一種で、高圧ガスを使って冷凍や冷蔵を行う機械の保安業務を行うことができます。
現在は、冷凍機械責任者の資格がなくても保安業務を行える空調設備が増えましたが、専門的な知識を持つ有資格者を求めているところも多いのです。
冷凍機械責任者は第一種~第三種までありますが、ビル施設管理の仕事に就くために取得する場合は、三種取得を目指しましょう。

ボイラーにかんする資格

ボイラーを備えているビルでは、ボイラー技士の有資格者を求めています。ボイラー技士は文字どおりボイラーの取り扱いや点検・管理を行うことのできる資格です。また、ボイラーが設置されていれば、燃料として重油なども貯蔵しておく必要があるため、危険物取扱者の資格も取得しておくといいでしょう。ボイラー技士には特級~二級までありますが、ビル施設管理のために取得するならば、二級を取得しておくだけでも役に立ちます。

ビル設備管理にかんする資格

ビル施設管理を行うためには、各設備にかんする専門的な知識や資格を持つ人のほか、統括管理を行う人が必要です。そのための資格が、ビル設備管理技能士と建築物環境衛生管理技術者(通称・ビル管理士)になります。この2つの資格は名前がよく似ていますが、ビル設備管理技能士は技能士の資格区分の一種であり、ビル設備の管理にかんする技能を証明する資格です。
建築物環境衛生管理技術者は、建築物衛生法に基づいて床面積が3,000㎡以上ある建物(特定建築物)に選任が義務づけられています。
建築物環境衛生管理技術者のほうが難易度が高く、建築物環境衛生管理技術者が選任されている職場では、ビル設備管理技能士は特に必要ではありません。しかし、床面積が3,000㎡未満のビルではビル設備管理技能士がビル施設管理の統括者になっているところもあります。
どちらの資格も、取得するためには一定の実務経験が必要です。ビル施設管理を一生の仕事にする場合は、ぜひ取得を目指しましょう。

資格を取得しておけば、仕事の幅が広がるんですね。
はい。それに加えて資格手当などで昇給も期待できます。

03. 資格取得の
方法

この項では、それぞれの資格取得方法を簡単に解説します。資格取得を目指している方は、参考にしてください。

電気系統の資格

電気工事士や電気主任技術者の資格を取得するには、電気技術者試験センターの試験を受けて合格する方法が一般的です。電気工事士には一種と二種があり、電気主任技術者には、第一種~第三種の3種類の資格区分があります。難易度は電気工事士のほうが低いので、無資格無経験から挑戦する場合は、まず第二種電気工事士の資格からチャレンジしましょう。
なお、電気工事士の資格試験には実際に電気工作物を組み立てる技能試験があり、電気主任技術者の試験は、4科目の学科試験になります。
電気主任技術者の試験は、電気関係の資格の中で最も難易度の高いものの一つです。合格率はここ数年10%未満を推移しており、数年かけて合格する方も珍しくありません。ビル施設管理の仕事に就くために資格を取得するならば、第三種を目指しましょう。
なお、電気工事士も電気主任技術者も受験資格は定められていませんが、第一種電気工事士の免許を交付してもらうためには、一定の実務経験が必要です。

冷凍機械責任者

冷凍機械責任者は、高圧ガス保安協会が主催する試験を受けて合格すれば取得可能です。また、協会では講習会も行っており、受講すると試験の一部が免除になります。受験資格は定められていませんので、誰でも受験可能です。第三種は最も難易度が低い試験ですが、電気にかんする知識がないと合格は難しいでしょう。中学や高校の物理で電気を勉強しただけという人は、時間をかけて試験勉強をするか、講習会に参加するのがおすすめです。

ボイラー関係の資格

ボイラー技士は、安全衛生技術試験協会が主催する試験に合格し、一定の実務経験があれば取得できます。資格区分には二級・一級・特級の3種類があり、二級はボイラー実技講習を受講すれば実務経験なしでも取得可能です。ですから、無資格無経験から試験に挑戦する場合は、まず二級を目指しましょう。

ビル設備管理にかんする資格

ビル設備管理技能士は、全国ビルメンテナンス協会が主催する試験に合格すれば取得できます。1級と2級があり、2級は2年以上、1級は7年以上の実務経験が受験資格です。なお、1級を受験するために必要な実務経験は、2級を取得していれば2年に短縮されますので、先に2級を取得して1級を目指してもいいでしょう。実技試験と学科試験があり、実技試験では日常点検や点検の計画書作成などの課題が出題されます。

建物環境衛生管理技術者は、2年以上の実務経験を得た後、日本建築物環境衛生管理教育センターが主催する試験を受けて合格するか、一定の資格を取得するなどした後で103時間の講習を受ければ取得可能です。ちなみに、第三種電気主任技術者の資格を取得し、2年以上の実務経験があれば、講習の受講資格を得ることができます。こちらの試験は学科試験だけですが、試験科目が7科目あるので、しっかりと勉強しなければ合格できません。

資格を取得するには試験を受けて合格する方法が多いんですね。
はい。まずは受験資格が定められていないものから挑戦するのがおすすめです。

04. ビル施設管理に
関するよくある質問

Q.無資格無経験では、ビル施設管理の仕事に就くのは難しいでしょうか?
A.新卒で就職する場合は、無資格でも大丈夫です。転職する場合は、資格を取得しておいたほうが有利になるでしょう。

Q.複数ある資格の中で、どれから取得していけばいいですか?
A.受験資格が定められていない資格がよいでしょう。電気工事士や冷凍機械責任者・ボイラー技士などをまずは目指しましょう。

Q.ビル設備管理技能士の選任義務はありますか?
A.いいえ。ビル設備管理技能士の選任義務がある建物はありません。

Q.女性でもビル施設管理の仕事に就けますか?
A.はい。女性が多く利用する施設で需要が高まっているので、おすすめです。

Q.ビル設備管理の仕事には、夜勤はありますか?
A.はい。24時間体制で管理している施設では、3交代制で働くことが一般的です。

05. ビル施設管理
まとめ

今回はビル施設管理の仕事内容や必要な資格などについて解説しました。ビルの施設管理は、大都市ほど職場が多い仕事です。また、技術者として資格を活用して働きたいという人の転職先としても選ばれています。仕事をしながら資格を取得すれば、出世の道もひらけるでしょう。

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