「電験3種を取得したいけど、勉強時間は何時間必要なのだろう」とお考えですか? 電験3種(第3種電気主任技術者の略称)は難易度が高く、簡単に取得できる資格ではありません。したがって、多くの勉強時間が必要になります。しかし、最短で合格を目指すなら、限られた時間を活用して効率よく学習することが大切です。
そこで今回は、電験3種の勉強時間について詳しく解説します。
この記事を読むことで、電験3種の合格に必要な勉強時間や効率よく勉強するコツがよく分かります。電験3種の合格を目指す人は、記事を読んでみてください。
1.電験3種合格に必要な勉強時間は?
最初に、電験3種に合格するために必要な勉強時間について見ていきましょう。
1-1.近年の合格率が9.1%で最難関レベル
2018年度の電験3種の合格率は、9.1%でした。100人受験して9人だけが合格を手にした計算になりますから、試験の難易度は最難関クラスと言えるでしょう。電験3種の難易度が高い理由の一つに、高校レベルの数学や理科の知識が必要になることが挙げられます。たとえば、数式や回路図などを見ただけで拒否反応が出てしまう人には、特に難しい試験となるからです。
1-2.約1,000時間の勉強時間が必要
電験3種の合格に必要な勉強時間は、約1,000時間と言われています。約1,000時間となると、1年間毎日3時間ずつ勉強してやっと合格できるかどうかです。苦手な科目がある人は、多くの時間を必要とすることもあるでしょう。電験3種の合格を目指すのは、生半可な気持ちでは無理なことが分かります。
1-3.文系と理系で必要な勉強時間が異なる
文系と理系でも、電験3種の合格に必要な勉強時間が異なります。勉強時間に差が出るのは、数学や電気関連の知識・実務経験の有無が理解度に大きく影響するからです。具体的には、以下を参考にしてください。
- 文系で数学が得意ではない:1,000時間以上
- 高卒・理系で電気科以外:800~1,000時間程度
- 高卒・理系で電気科:700~800時間程度
- 大卒・理系で電気科:500~700時間程度
- 大卒・理系で電気科かつ電気設備関連の実務経験あり:400~500時間程度
2.電験3種の試験科目と勉強時間
電験3種の試験科目やそれぞれの勉強時間について詳しく解説します。
2-1.試験科目は4科目
電験3種の試験科目は、理論・電力・機械・法規の4科目です。各科目とも、合計100点満点になります。
理論
- 出題範囲:電気理論、電子理論、電気計測、および電子計測に関するもの
- 配点:A問題14問×各5点、B問題3問(選択問題を含む)×各10点
- 試験時間:90分
電力
- 出題範囲:発電所・変電所の設計および運転、送電線路(屋内配線を含む)の設計および運用、および電気材料に関するもの
- 配点:A問題14問×各5点、B問題3問×各10点
- 試験時間:90分
機械
- 出題範囲:電気機器・パワーエレクトロニクス・電動機器応用・照明・電熱電気化学・電気加工・自動制御・メカトロニクスならびに電力システムに関する情報伝達・処理に関するもの
- 配点:A問題14問×各5点、B問題3問(選択問題を含む)×各10点
- 試験時間:90分
法規
- 出題範囲:電気法規(保安に関するものに限る)および電気施設管理
- 配点:A問題10問×各6点およびB問題2問×各13点およびB問題1問×14点
- 試験時間:65分
2-2.理論の勉強時間と学習方法
理論では、主に直流回路・交流回路・電磁力・静電気に関する法則や公式を覚えるのがコツです。約8割が計算問題で、正誤判定問題や穴埋め問題が約2割の割合で出題されます。したがって、計算問題を中心に過去問や類似問題を多く解いて出題形式に慣れておきましょう。また、正誤判定問題や穴埋め問題は確実に得点できるようにしてください。
- 学習時間の目安:200~250時間程度
2-3.電力の勉強時間と学習方法
電力は、4科目の中でも比較的攻略しやすい科目と言えます。まずは、発電に関する問題や送電・配電に関する問題をしっかり勉強しておきましょう。また、計算問題と論説問題がそれぞれ半分程度の割合で出題されます。難問が出題される可能性が低く、類似問題が出る確率も高めなので、過去問を中心に対策するといいでしょう。
- 学習時間の目安:150~200時間程度
2-4.機械の勉強時間と学習方法
機械は出題範囲が広いため、試験の出題傾向に沿った分野を重点的に勉強することがおすすめです。特に、電気機器(直流機・変圧器・誘導機・同期機)に関する内容をマスターしておきましょう。なお、計算問題が半分、正誤判定問題・穴埋め問題半分程度の出題となります。
- 学習時間の目安:250~300時間程度
2-5.法規の勉強時間と学習方法
法規は、4科目中最も難易度が高いと言えます。法規は計算問題も出題されるものの、暗記力が基本なので、電気事業法・電気工事・電気設備の設置基準・電気施設管理などの頻出項目を確実に暗記することが大切です。また、数値も同時に暗記しておきましょう。試験直前には、頻出項目にざっと目を通しておき、本番での得点アップにつなげてください。
- 学習時間の目安:150~200時間程度
2-6.文系の人は数学の基本的な勉強も必要
文系の人は、最初に中学・高校レベルの数学を勉強することも必要です。電験3種は、計算問題が多く出題されるため、数学が苦手だと何を言っているのか理解できずに面食らうことになります。大体50時間を目安にして、中学・高校レベルの数学を勉強してください。特に、数学が苦手な人は、早めに克服することが合格をつかむカギとなるでしょう。
3.電験3種合格に向けた勉強スケジュール
電験3種に合格するためには、きちんとスケジュールを立てて勉強することが大切です。
3-1.最初に勉強スケジュールを立てることが重要
難関資格である電験3種に合格するためには、最初に勉強スケジュールをきちんと立てておくことが重要です。試験当日をゴールとして逆算し、1日当たり何時間勉強する必要があるか割り出してみてください。その後、試験科目ごとに勉強時間を割り振りましょう。
3-2.体調が悪い日は無理をしない
長期にわたって試験勉強をしていると、体調が悪い日も出てくるでしょう。調子が悪いと感じたときは、無理をせずに体を休めることを優先してください。スケジュールを予定どおりこなすのも大切ですが、無理をしたために体調が悪化すればもっと遅れてしまいます。電験3種の試験勉強は、長期戦です。試験当日にベストを尽くすためにも、体調不良の日は休むことを第一に考えましょう。
3-3.毎月2日程度フリーの日を設定するのもおすすめ
勉強スケジュールを作成する際、毎月2日程度フリーの日を設定するのもおすすめです。フリーの日を設定しておく主なメリットには、以下のようなものがあります。
- 心身のリフレッシュを図ることができる
- 急用などで勉強できない日の代替日にできる
- 計画遅れが発生したときにリカバリーできる
途中で挫折するのを防いでモチベーションを維持するためにも、フリーの日を設定しておくようにしましょう。
4.電験3種の勉強時間を減らすコツは?
電験3種の勉強時間を減らすコツを詳しく見ていきましょう。
4-1.理論から勉強し始めると効率がいい
電験3種に向けて勉強するときは、理論から手を付けるといいでしょう。理論は4科目の基本となる科目だからです。次に、電力と機械、最後に法規を学ぶことをおすすめします。なお、法規は暗記する部分が多いため、早い時期に勉強しても内容を忘れてしまうことがあるので注意してください。また、得意科目ばかり勉強せず、苦手科目もバランスよく進めましょう。
4-2.市販の試験対策教材を活用する
市販の試験対策教材を活用すると、効率よく勉強が進みます。試験対策教材では、過去問の出題内容を分析し、今後出題される可能性が高い内容や問題を勉強できるため、勉強時間が少なくても効率よく進むのです。たとえば、試験対策用の参考書で基礎を学び、問題集で応用力を身に付けることができます。さらにおすすめなのが、通信教材です。最近では、DVDや音声データを活用するなど、より効率よく実力を高められる教材が出ているのでチェックしてみるといいでしょう。
4-3.メリハリを付けて勉強する
メリハリを付けて勉強することも大切です。いくら電験3種が難関資格で長時間の勉強が必要であっても、中身が薄いのでは意味がありません。たとえば、3時間勉強する場合は、1時間ごとに10分程度の休憩を挟みながら進めていきましょう。人の集中力には、限界があります。3時間続けて勉強した場合、徐々に脳が疲労してくるため、後半は学習効率が落ちるのです。長時間勉強したはずなのに今一つだ、ということがないようにメリハリを付けましょう。
4-4.疑問点はその場で解決しておく
電験3種の試験勉強中、何らかの疑問点が出てくることがあります。疑問点があるときは、必ずその場で解決しておきましょう。理解があやふやな部分を残したままにすると、今後同じ箇所でつまずくことになり、時間を大幅にロスしてしまうからです。効率よく勉強を進めるためにも、疑問点をその場でクリアしておくことを心がけてください。
5.電験3種の勉強時間に関するよくある質問
最後に、電験3種の勉強時間に関する質問に回答します。それぞれ参考にしてください。
Q.電験3種の勉強時間を確保する方法は?
A.毎日のすき間時間を活用するといいでしょう。すき間時間を合計すると、1時間程度になることもあります。たとえば、起床後・帰宅後・通勤時間などを利用し、基礎知識の補強に努めるといいでしょう。
Q.未経験者の受験でも長時間勉強すればカバーできる?
A.確かに、時間をかけて勉強すれば必要な知識が身に付くことでしょう。しかし、勉強時間が長くても見当違いな内容を学んでいるのでは意味がありません。試験の出題傾向を踏まえて頻出ポイントを中心に勉強し、なるべく時間をかけずに得点力を高めることをおすすめします。
Q.平日は仕事でクタクタなので休日に集中して勉強してもいい?
A.構いません。ただし、平日の疲れを休日に残さないようにしましょう。疲れが残ったままでは集中して勉強できず、効率が下がってしまいます。
Q.電験3種の試験勉強に集中するコツは?
A.勉強するのにふさわしい環境を作りましょう。自室で勉強するときは、室温20~25℃程度・湿度60%以下に設定すると快適な環境になります。雑誌やゲームなど、周囲に気が散るものを置かないことも大切です。また、集中力をキープするためにも、1~2時間勉強したら必ず休憩を入れましょう。
Q.苦手な科目を勉強するとやる気がダウンするのですが?
A.苦手意識が強過ぎることが大きな原因です。苦手科目を勉強するときは、なるべく簡単な問題を解いて、小さな達成感を積み上げるようにするといいでしょう。少しずつでも進んでいることを実感できれば、徐々にやる気が出てきます。また、得意科目を短時間勉強して勢いを付けた後、苦手科目に手を付けるのも効果的です。
まとめ
今回は、電験3種の勉強時間について詳しく解説しました。難関資格の電験3種に合格するためには、文系の人で1,000時間程度の勉強時間が必要と言われています。数か月~1年程度の準備期間を設定し、毎日コツコツと勉強していくことが大切です。ただし、やみくもに手を付けるのではなく、勉強スケジュールをきちんと立てて、効率よく実力を高めるようにしましょう。市販の試験対策教材をフル活用し、適度に心身をリフレッシュしながら、試験当日までに合格できる実力を養ってください。