電気通信工事

電気通信設備工事担任者って
どんな資格?
試験のコツや勉強法も伝授!

今は、インターネット全盛期とも言える時代です。インターネットの通信技術向上は、私たちのくらしを便利で楽しいものにしてくれています。インターネットを快適に使うことができるのも、電気通信設備の設立やメンテナンスが適切に行われているからなのです。今回は、電気通信設備工事に深くかかわりのある「電気通信設備工事担任者」について、詳しく解説します。電気通信設備工事担任者として働くことや、資格取得を考えている人は、必見です。

この記事を読むことで、電気通信設備工事担任者にかんする基本が身につき、資格取得に向けて適切な準備を進めることができるようになります。まずは、記事をじっくり読んでみてください。

01. 電気通信設備工事担任者とは

最初に、電気通信設備工事担任者の基礎知識を学びましょう。どんな資格かをはじめ、関連法律や必要性について解説します。

1-1.電気通信設備工事担任者とはどんな資格か

電気通信設備工事担任者は、電気通信設備にかんする工事に必要な知識を持ち、工事の実施や保全を行うための資格です。工事担任者と略して呼ぶこともあります。通信インフラの目覚ましい発展にともない、昭和60年にできた資格です。電気通信設備工事担任者は、今後も通信ネットワーク技術を裏で支える立場として期待が高まっています。

1-2.電気通信設備工事担任者に関連する法律

電気通信設備工事担任者は、電気通信事業法に基づいた資格です。電気通信事業法は、電気通信事業にかんする決まりごとを定めた法律で、通信回線の公共性を考え、利便性の向上や技術の発達・正しい運用を促進する目的があります。細かな内容にかんしては、時代背景に即して随時改定が入るため、適宜チェックし対応できるようにしましょう。

1-3.電気通信設備工事担任者の必要性

企業や一般家庭においては、電話回線やインターネット回線にかんして、適切な配線および設備の設置や保守を行うことができる人材が必要です。間違った配線を行うと通信不可になり、大きな影響や不便を与えます。電気通信設備工事担任者は、高い専門知識を有し、通信インフラを快適な状態に整え、維持するために必要性が高い資格なのです。

02. 電気通信設備工事担任者の職務について

電気通信設備工事担任者の職務や種類、ほかの電気通信関連資格との違いについて解説します。

2-1.電気通信設備工事担任者はどんなことができる? 職務は?

電気通信設備工事担任者は、以下のことができます。

  • 電話回線・CATV・光回線などの配線工事や設備の設置
  • 上記の配線工事監督業務
  • 各通信回線の運用・保守業務

電気通信設備工事担任者、通信回線を正しく設置し、滞りなく利用できるようにすることが主な職務です。

2-2.電気通信設備工事担任者の種類

電気通信設備工事担任者には、7種類の区分があります。それぞれの担当範囲を簡単にまとめました。それぞれの違いを理解し、受験する種類を決めましょう。

2-2-1.AI第一種

  • アナログ伝送路設備に端末設備および自営電気通信設備を接続するための工事が可能
  • 総合デジタル通信用設備に端末設備を接続するための工事が可能

2-2-2.AI第二種

  • アナログ伝送路設備に端末設備を接続するための工事が可能
  • ただし、端末設備に収容される電気通信階数の数が50以下・内線の数が200以下を条件
  • 総合デジタル通信用設備に端末設備を接続するための工事が可能
  • ​ただし、総合デジタル通信回線の数が64kbps換算で50以下が条件

2-2-3.AI第三種

  • アナログ伝送路設備に端末設備を接続するための工事が可能
  • ただし、端末設備に収容される電気通信回線の数が1のものだけが対象
  • 総合デジタル通信用設備に端末設備を接続するための工事が可能
  • ただし、総合デジタル通信回線の数が基本インターフェイスで1のものだけが対象

2-2-4.DD第一種

  • デジタル伝送路設備に端末設備を接続するための工事を行うことができる
  • 総合デジタル通信用設備に端末設備を接続するための工事は担当外

2-2-5.DD第二種

  • デジタル伝送路設備に端末設備を接続するための工事を行うことができる
  • ただし、接続点におけるデジタル信号の入出力速度が100Mbps以下
  • 総合デジタル通信用設備に端末設備を接続するための工事は担当外

2-2-6.DD第三種

  • デジタル伝送路設備に端末設備を接続するための工事を行うことができる
  • ただし、接続点におけるデジタル信号の入出力速度が1Gbps以下
  • インターネットに接続するための回線だけが対象
  • 総合デジタル通信用設備に端末設備を接続するための工事は担当外

2-2-7.AI・DD総合種

  • アナログ伝送路設備およびデジタル伝送路設備に端末設備を接続する工事ができる

2-3.ほかの電気通信関連資格との違いは?

電気通信設備工事担任者の関連資格としては、無線従事者や電気通信主任技術者を挙げることができます。無線従事者は、無線設備の操作や監督で電波法に準拠した資格です。また、電気通信主任技術者は、事業用電気通信設備の工事・維持・運用の監督を行う資格で、電気通信事業法に準拠しています。希望する仕事内容を踏まえ、いずれの資格取得が有利か考えてみるといいでしょう。

03. 電気通信設備工事担任者のメリット

電気通信設備工事担任者のメリットについて、詳しく解説します。主な職場や求人状況・手当てや収入についても目をとおしておきましょう。

3-1.電気通信設備工事担任者の資格取得のメリット・有用性

電気通信設備工事担任者の資格取得の主なメリットは、以下をご覧ください。

  • 専門性が高い仕事に就くことができる
  • 就職・転職に有利になる
  • 収入アップにつながる(資格手当ての支給・昇給のきっかけになるなど)

同じ職種でも、資格取得者はより高度な仕事を担当する機会が増えます。将来性を考えると、有用性があると言えるでしょう。

3-2.電気通信設備工事担任者の職場や求人について

電気通信設備工事担任者は、主に以下のような職場で働くことができます。

  • 電気通信会社
  • 通信設備工事会社
  • 電気設備工事会社
  • 通信機器販売会社

通信インフラの整備・保全業務は、現在のようなインターネット社会において必要不可欠です。電気通信設備工事担任者の求人は安定しており、就職や転職で有利な状況は今後も続くことでしょう。

3-3.電気通信設備工事担任者の手当て・収入について

電気通信設備工事担任者の年収は、平均400万~500万円程度です。マネージメント業務が入ってくると、600万円以上も可能になります。高収入を目指すならば、大手企業への就職・転職を狙いましょう。なお、資格手当てについては、毎月数千円程度の支給がある・資格取得時に数万円程度の支給があるなど、企業によって待遇が異なります。

3-4.電気通信設備工事担任者のキャリアアップ

電気通信設備工事担任者としてキャリアアップするためには、無線従事者や電気通信主任技術者の資格取得で仕事の幅を広げる方法があります。担当範囲が広がれば、できる仕事も増え、企業にとってもより重要な人材と認められることでしょう。また、転職でさまざまな企業の業務を経験してスキルアップする方法もあります。仕事の専門性や収入アップを目指すためにも、新しい知識を吸収し、実務経験を積みましょう。

04. 電気通信設備工事担任者の資格取得について

電気通信設備工事担任者の資格取得について、受験資格・試験概要・試験内容・難易度・おすすめの勉強法を解説します。

4-1.電気通信設備工事担任者の受験資格

電気通信設備工事担任者には、受験資格がありません。希望する人は、性別・年齢・学齢・国籍を問わず挑戦できます。実務経験を問わないため、未経験者でも受験可能です。ただし、簡単に合格できるものではありません。特に、未経験者で受験する場合は、試験準備を早めに計画し、着実にこなしていきましょう。

4-2.電気通信設備工事担任者の試験概要

電気通信設備工事担任者の試験概要は、下記を参考にしてください。

  • 試験日程:年2回実施(5月中旬・11月下旬)
  • 試験地:旭川~那覇まで全国39会場
  • 試験手数料:8,700円
  • 申し込み方法:インターネットまたは試験申請書の郵送

なお、より詳しい情報は、一般財団法人日本データ通信協会電気通信国家試験センターの案内ページを参照ください。

4-3.電気通信設備工事担任者の試験内容

電気通信設備工事担任者の試験内容にかんしては、以下のとおりです。筆記試験だけとなり、実地試験などの2次試験はありません。

  • 試験時間:受験する種類や科目数によって異なる(詳しくはこちら
  • 試験科目:受験する種類や免除科目の有無によって異なる(詳しくはこちら
  • 実地試験:なし
  • そのほかの注意点:自分が受験する種類や条件に対応した試験時間・試験科目を確認しておくこと

4-4.電気通信設備工事担任者の難易度

電気通信設備工事担任者の合格率は、平成28年度5月中旬のもので34.2%でした。10人受けて4人だけが受かる計算ですから決して難易度が低い試験ではありません。合格基準は、各試験科目の得点が100点満点中60点以上必要です。1科目でも基準に達しない場合は、不合格となります。なお、科目合格制度や免除制度などを利用し、少ない受験科目で合格を目指すことも可能です。免除制度の詳細にかんしては、こちらをご覧ください。

4-4.おすすめの勉強法について

電気通信設備工事担任者試験に確実に合格するためにも、効率よく勉強を進めることが重要です。試験の傾向をつかみ、重点的に練習問題を解くことで実力を上げることができます。試験の過去問を解くことは、出題傾向をつかむためだけでなく、本番の試験形式に慣れておくという意味もあるので積極的に活用しましょう。過去問は、一般財団法人日本データ通信協会電気通信国家試験センターの工事担任者試験問題・解答ページよりダウンロードできます。週末など、まとまった勉強時間があるときに本番の試験と同様の時間をかけて解いてみてください。間違えたりわからなかったりした分野が、弱点となるので試験当日までに克服しましょう。すき間時間を利用して、暗記ものをこなすのも効果的です。そのほかにも、市販のテキストや問題集・DVD教材などを活用し、問題をたくさん解くことをおすすめします。

05. 電気通信設備工事担任者にかんするよくある質問

最後に、電気通信設備工事担任者にかんするよくある質問をまとめました。それぞれの内容を確認し、試験突破に向けて万全に整えておきましょう。

5-1.受験地は自分の好きなところを選ぶことができますか?

電気通信設備工事担当者の試験は、全国39地区の会場から好きな地域を選んで受験できます。自宅から最寄りの会場を選ぶだけでなく、都市部の会場を選べば公共交通機関を使って通いやすいのでおすすめです。ただし、土地勘がない地域での受験は、試験前日までに移動のシミュレーションをしておきましょう。余裕を持って会場に到着できれば試験も実力を発揮しやすくなります。

5-2.科目合格や免除制度を利用して受験する方法は?

電気通信設備工事担当者の試験は、科目合格制度を採用しているため、以前不合格になっても合格した科目は免除を受けることができます。また、すでに所持している資格の種類や実務経験の内容によっても、科目免除を受けることができる場合があるので調べてみましょう。受験の負担を軽くすることで、残りの科目に集中して取り組めるため、合格可能性を高めることができます。ただし、受験申し込みの時点で忘れずに免除申請してください。申請がないと、免除制度を利用できません。

5-3.電気通信設備工事担任者で複数の種類を同時受験することは可能ですか?

電気通信設備工事担任者は、1日で時間帯をずらして全種類の試験を実施しています。そのため、試験科目が同じ時間にならなければ、複数の種類の同時受験も可能です。特に、科目免除制度を受けることができる場合は、挑戦しやすいでしょう。ただし、計画を立てて準備を進めないと中途半端に終わり、いずれも不合格となりがちなので気をつけてください。

5-4.電気通信設備工事担任者の資格は更新義務がありますか?

電気通信設備工事担任者には、更新義務がありません。従って、資格取得後は半永久的に保持できます。ただし、資格者証を受けた後で、結婚・離婚などによる氏名の変更があった場合は、資格者証の更新が必要です。また、更新義務がなくても、通信設備関連の新しい知識を常に吸収していく姿勢が望まれています。

5-5.電気通信設備工事担任者として独立開業は可能ですか?

電気通信設備工事担任者の仕事は、必ずしも企業に属して行う必要はありません。従って、独立開業し、個人事業者として企業と契約後、仕事をすることもできます。ただし、未経験者が資格取得をしただけでは、仕事が入ってくることはありません。まずは、企業に就職などをし、実務経験を積みながら人脈を開拓しましょう。独立を果たした後で、仕事を回してもらうことができるようになります。

06. まとめ

今回は、電気通信設備工事担任者について詳しく解説しました。電話回線・CATV回線・光ファイバー回線などは、通信インフラが適切に設置・維持できていることで、安定した品質を保証できるのです。電気通信設備工事担任者の資格を取得することで、通信設備にかんする深い知識を身につけ、現場で活躍できます。就職・転職に有利なだけでなく、将来性もあり、スキルアップをし続けることが可能です。通信設備関連で専門性の高い仕事をしたい人は、ぜひ資格取得を目指してください。

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