電気管理技術者とはどのような資格? 取得する方法とメリットは?

電気管理技術者とは
どのような資格?
取得する方法とメリットは?

電気管理技術者とは、電気主任技術者の資格を有しており、自家用電気工作物の保安に関する業務を行うことができる個人事業者のことです。電気主任技術者の資格を活用した働き方の一つであり、電気管理技術者を目指している方もいることでしょう。

そこで、今回は電気管理技術者が行うことのできる仕事や、電気管理技術者になるための条件を紹介します。

  1. 電気管理技術者の基礎知識
  2. 電気管理技術者に転職するメリット
  3. 電気主任技術者の資格取得方法
  4. 電気管理技術者に関するよくある質問

この記事を読めば、電気監理技術者になるメリットなどもよく分かることでしょう。電気主任技術者の資格取得を目指す方も、ぜひ読んでみてくださいね。

01. 電気管理技術者の
基礎知識

はじめに、電気管理技術者の仕事内容や申請方法・なるための条件を解説します。資格を取得すれば、どのようなことができるのでしょうか?

電気管理技術者の概要

前述したとおり、電気管理技術者とは電気主任技術者の資格を取得して、自家用電気工作物の保安業務を行う個人事業主のことです。電気主任技術者の資格を取得して事業用電気工作物の保安業務を行っていても、電気保安法人などに雇用されている場合は、電気管理技術者ではありません。

なお、自家用電気工作物とは事業用電気工作物の一種で、電気事業法第38条で規定されている電気工作物のことです。一例をあげると、600Vを超えて受電する需要設備などが上げられます。

事業用電気工作物を設置している施設の所有者は、保安業務のために電気主任技術者の選任が義務づけられているのです。しかし、施設によっては選任が難しいところもあります。そのため、電気事業法施行規則第52条2において、限られた自家用電気工作物は保安業務を外部委託できると規定しているのです。

電気管理技術者が保安業務を行える自家用電気工作物のある施設とは、

  • 7000V以下で受電する需要設備
  • 出力1000kW未満の発電所(原子力発電所を除く)
  • 600V以下の配電線路を管理する事業場

以上のようなものです。これ以外の事業用電気工作物を備えている施設では、電気主任技術者を選任しなければなりません。

電気管理技術者と電気保安法人の違い

電気管理技術者は電気主任技術者の資格を持ち、個人事業で電気保安業務を行っている人のことです。電気保安法人とは、電気保安業務を請け負う会社になります。前述のとおり、電気保安法人に雇用されている電気主任技術者は電気管理技術者とは呼びません。しかし、行う仕事は同じです。

電気保安法人に勤めていた方が、独立して電気管理技術者となることも珍しくありません。

電気管理技術者へ業務委託をする方法

自家用電気工作物の保安業務を電気管理技術者へ委託したい場合は、各地方にある産業保安監督部に申請を行います。書類に必要事項を記入し、申請を行いましょう。必要な書類は各地の産業保安監督部のホームページからダウンロードができます。なお、申請をする場合は事前に予約が必要です。申請には時間がかかることもありますので、時間に余裕をもって申し込みましょう。

電気管理技術者になる方法

電気管理技術者になるには、電気主任技術者の資格を取得し、電気保安業務の実務経験を積む必要があります。必要な実務経験期間は取得している資格区分によって異なり、第1種:3年・第2種:4年・第3種:5年です。なお、電気主任技術者の資格取得以前に電気保安業務に携わっていた場合は、年数×0.5が実務経験期間として認められます。たとえば、資格取得以前に保安業務を4年間行った場合は、2年間の実務経験として換算されるのです。

また、保安管理業務に必要な以下の器具類を保有していなくてはなりません。

  • 絶縁抵抗計
  • 電流計
  • 電圧計
  • 低・高圧検電計
  • 接地抵抗計

これ以外にも、発電所の保安業務を行う場合は騒音計・振動計・回転計などの器具も必要です。ただし、保安業務を委託された施設にこれらの器具が備え付けてある場合は、所有していなくてもかまいません。

必要な実務経験と器具類がそろったら、各地方にある産業保安監督部に申請を行います。こちらも、書類をホームページからダウンロードして必要事項を記入してください。この際、電気主任技術者の免状の他、実務経験証明書や委託を受けた事業所の一覧表などを添付書類として提出します。なお、1人の電気管理技術者が委託を受けることができる事業所は、32か所までです。さらに、別の仕事をしながら副業として電気管理技術者の仕事を行うことはできません。

電気管理技術者は、電気主任技術者の有資格者がなることができるんですね。
はい。まずは資格取得を目指しましょう。

02. 電気管理技術者に
転職するメリット

電気管理技術者になれば、自分のペースで仕事を行うことができます。たとえば、「定年を超えたがまだ働けるので、月に数日だけ保安業務を行いたい」という働き方も可能です。逆に、仕事をたくさん請け負えば電気保安法人に勤めるよりも収入が多くなることもあるでしょう。

また、電気管理技術者は営業を行って新規顧客を開発する、ということはほとんどありません。大抵は電気保安法人と業務委託を結び、法人が受注した電気保安業務を電気管理技術者が行います。そのため、個人事業主になったからといって仕事がなくて困るということはないでしょう。

転職すれば働き方の幅が広がるんですね。
はい。また、定年を超えて働きやすくなります。

03. 電気主任技術者の
資格取得方法

この項では、電気主任技術者の資格を取得する方法を解説します。資格取得を目指す方は、ぜひ参考にしてください。

電気主任技術者の種類

電気主任技術者は、第1種~3種までの3種類があります。

  • 第1種:すべての事業用電気工作物
  • 第2種:電圧が17万V未満の事業用電気工作物
  • 第3種:電圧が5万V未満の事業用電気工作物(出力5千kW以上の発電所を除く)

以上のように、保安業務を行うことのできる事業用電気工作物の種類が資格区分によって異なりますので、覚えておきましょう。なお、電気管理技術者として働くならば、第3種を取得しているだけで十分です。

電気主任技術者を取得する方法

電気主任技術者の資格を取得するには、2つの方法があります。1つは、認定校を卒業後に電気保安業務に対する一定の実務経験を積み、経済産業省の認定を受ける方法です。これは時間がかかる方法なので、実務経験がある方でも利用する人は少なくなってきています。もう1つは、電気技術者試験センターが主催する資格試験を受験し、合格する方法です。受験資格は定められていませんので、学歴や性別・職歴・年齢問わず受験することができます。そのため、電気主任技術者の資格を取得する方法としては、こちらの方がメジャーです。

なお、電気主任技術者の試験は、第3種が工業高校の電機科を修了する程度、第2種が電気系の専門学校を修了する程度、第1種が大学の工学部電気科を卒業する程度の知識が必要と言われています。ですから、全く無資格無経験な方が資格取得にチャレンジする場合は、まず第3種から挑戦しましょう。

試験科目などについて

電気主任技術者の試験科目は、法規・理論・電気・機械の4科目の学科試験です。第3種は4科目合格すれば資格が取得できます。第1種・第2種の場合は、学科試験に合格した後もさらに「電力・管理」と「機械・制御」の2次試験があるので、かなりの難易度です。

ちなみに、法規・理論・電気・機械の4科目は科目合格の持ち越しが3年間できます。つまり、3年以内に4科目を合格すれば資格が取得できるのです。ただし、2次試験に科目合格はありません。

試験日・試験の申し込み方法など

電気主任技術者の試験は、年に1度行われます。詳しい日程等につきましては電気技術者試験センターのホームページを確認してください。毎年9月上旬に行われています。試験の申し込みは、センターのホームページから電子申請を行うのが便利です。試験費用は、第1種・第2種が12,400円・第3種が4,850円になります。

試験は全国で行われるので、受験票が届いたら必ず試験会場を確認してください。

試験の難易度などについて

電気主任技術者は、電気関係の資格試験の中では最も難しいものです。1科目につき6割以上の得点率で合格になりますが、平均点が極端に低い年は5割台でも合格になることもあります。総合合格率は、第3種でもここ数年は10%を切る年も珍しくありません。第1種・第2種の合格率は数%とさらに低くなっています。

なお、電気主任技術者の試験は、大部分が公式を利用した計算問題です。しかも、公式を丸暗記すれば解ける問題はほぼ出題されません。ですから、電気の知識だけでなく数学のセンスも必要です。

試験勉強のコツ

電気主任技術者の試験勉強は独学・通信教材の利用・講習会の受講などがあります。電気主任技術者の参考書はたくさんの種類が販売されており、中でも電気書院から刊行されている「これだけシリーズ」は人気です。4科目がすべて一緒になった参考書と、科目ごとの参考書がありますが、科目ごとの参考書の方が解説が詳しいので初めて試験にチャレンジする方には使いやすいでしょう。ただし、電気と数学の知識が全くない方ですと、参考書に書かれていることも理解できない可能性があります。その場合は、電気数学の勉強から始めてください。電気数学の参考書も販売されています。

通信教材は市販の参考書よりも詳しいので、初心者向けです。メールで質問を受け付けてくれるところもありますので、分からないところがそのままになってしまうこともないでしょう。模擬問題を送付すれば、添削もしてくれます。

講習会は、電気保安や電気工事の協会が主催しているものや、自治体が主催しているものがありますので、調べてみましょう。職業訓練校(ポリテクセンター)で講座が開設されている自治体もあります。人気が高いので、募集が始まったらすぐに申し込みましょう。

なお、電気主任技術者試験の過去問題は公開されていますが、過去問と同じ問題が出ることはほとんどありません。しかし、試験問題に慣れるためにも5年間分ほど解いておきましょう。過去問が自由自在に解けるようになったら本番でも問題ありません。

電気主任技術者の試験は科目合格が認められているんですね。
はい。かなりの難試験なので、しっかり勉強して試験にのぞみましょう。

04. 電気管理技術者に関する
よくある質問

Q.電気管理技術者は、何歳でもなることはできますか?
A.はい。50代以降でなる方も珍しくありません。

Q.電気管理技術者は、自宅を事務所にする形で開業するのでしょうか?
A.そのような方もいます。従業員が複数いる場合は、事務所を借りてもよいでしょう。

Q.保安業務に必要な器具以外に、持っておかなければならない道具などはありますか?
A.器具を積んで移動するので、自動車は必須です。

Q.電気管理技術者の勤務形態はどうなっていますか?
A.人によってさまざまです。土日中心に働く方もいれば、夜間に働く方もいるでしょう。

Q.電気主任技術者として5年以上働いていれば、すんなり電気管理技術者になれますか?
A はい。大きな問題を起こしていなければ大丈夫です。

05. 電気管理技術者
まとめ

今回は、電気管理技術者になる方法について詳しく解説しました。電気管理技術者は、60代・70代の方も働ける資格です。電気主任技術者の資格を取得したら、ぜひ活用して働いてみましょう。仕事の幅も広がります。

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