電気工事士とは、電気工事を行うことのできる国家資格です。水道工事やガス工事とは異なり、電気工事は有資格者しか工事を行うことはできません。そのため、常に建設会社から一定の求人があります。転職や就職に有利な資格として、学生だけでなく社会人にも人気です。
そこで、今回は電気工事士の就職や転職について解説しましょう。
この記事を読めば、電気工事士のキャリアアップ方法もよく分かりますよ。電気工事士の資格取得を目指している方も、ぜひ読んでみてくださいね。
01. 電気工事士を
求めている職場は?
電気工事士の職場というと、電気工事を行っている電力会社や建設会社に就職して工事を行うというイメージを持っている方も多いことでしょう。もちろん、電力会社や建設会社で働いている電気工事士の方もたくさんいますが、この他にも、
- 家電量販店で家電の取り付け工事を行う
- ビルメン(ビルメンテナンス業務)で、電気設備の修理や整備を行う
- 独立して幅広い電気工事を請け負う
といった仕事をしている方もいます。つまり、ビルメンの会社や家電量販店などからも有資格者の求人があるでしょう。また、実務経験を積むと監督業務などを行えるようになります。すると、昇進や昇給も期待できるでしょう。
02. 電気工事士の
転職について
この項では、電気工事士の転職状況について解説します。どのような時に転職をすれば有利なのでしょうか?
電気工事士が転職する時
前述したように、電気工事士の需要はいろいろな場所であります。特に、実務経験豊富な電気工事士は引っ張りだこということもあるでしょう。また、電気工事士は独立することも可能ですから、十分に実務経験を積んで独立という形の転職をする方もいます。さらに、電気主任技術者や電気工事施工管理技士などの資格を取得し、それを活用できる職場に転職する方も珍しくありません。
転職の成功例と失敗例
電気工事士の転職は珍しくありませんが、すべての方が転職に成功するわけではありません。電気工事士の転職で武器になるのは資格と実務経験です。たとえば、実務経験が豊富な方は仕事だけでなく、監督業務も任せることができます。特に、主任電気工事士を務めたことのある方は、転職にも有利に働くでしょう。また、電気関係の資格は電気工事士だけではありません。次項でもう少し詳しく説明しますが、電気にかかわる資格を取得すれば仕事の幅が広がるため、活躍できる職場も同じように広がるでしょう。
逆に、満足な実務経験を積まないままで転職しても、以前の職場より条件のよい職場に転職できる可能性は低くなります。また、転職をくり返し過ぎても、マイナスイメージがつくでしょう。独立を考えている場合は、実務経験もさることながら、仕事を受注できる人脈などを築いておく必要があります。
転職に有利になる資格は?
電気工事士が転職する際は、
- 電気工事施工管理技士
- 認定電気工事従事者
- 特殊電気工事資格者
- 電気主任技術者
などの資格を取得しておくとより有利です。なお、認定電気工事従事者・特殊電気工事資格者は、電気工事士の資格を取得していれば、講習などを受けることによって取得できます。
電気工事施工管理技士は、電気工事を行う現場で監督業務などを行える資格です。電気工事について経験と知識があることの証明にもなります。
電気主任技術者は、事業用電気工作物の保安監督業務を行うことができる資格です。試験は難しいですが、取得しておけば仕事の幅が広がります。
キャリアアップを効率よく行う方法
電気工事士は、第一種と第二種があります。受験資格は定められていませんが、第一種の免状を交付してもらうためには、3~5年の実務経験が必要です。ですから、第二種を取得したら実務経験を積んで第一種を取得しましょう。5年の実務経験があれば電気工事施工管理技士の受験資格も得られますし、認定電気工事従事者や特殊電気工事資格者も取得することができます。
仕事の幅が広がれば、転職にも有利でしょう。ですから、電気工事士の資格を取得して就職する際、最低でも3年は勤められそうな職場を選ぶことが大切です。また、電気工事士の実務経験に該当する仕事については、都道府県ごとに解釈が異なります。都道府県によっては、家電の設置工事は電気工事に該当しないとしているところもあるので、気をつけましょう。建築工事や配線工事の仕事につけば、実務経験にかんしては問題ありません。また、会社によっては資格取得を奨励しているところもあります。
03. 電気工事士の
資格取得方法
この項では、電気工事士の資格を取得する方法や受験勉強のコツなどを紹介します。ぜひ参考にしてください。
電気工事士の種類と取得方法
電気工事士には第一種と第二種があり、資格試験に合格すれば取得できます。前述したように両方とも受験資格はありません。性別・年齢・学歴問わずに受験することができます。また、第二種電気工事士は経済産業省が認定した高校・専門学校・大学・職業訓練校などを卒業しても取得することが可能です。
第一種電気工事士は、専門学校や大学で電気関係の学部を専攻した場合は3年、それ以外の方は5年で免状交付資格を得られます。ただし、試験を受けることは可能なので、試験に合格してから実務経験を積んで免状の交付申請をする方もいるでしょう。
電気工事士の試験は、電気技術者試験センターが主催しています。資格を取得したい方は、まず協会のホームページをチェックしましょう。
試験科目など
電気工事士の試験は、第二種が年に2度、第一種が年に1度行われます。ただし、試験を受けることができるのは年に1回だけです。第二種を年に二回受験することはできませんので、注意しましょう。第一種の試験は毎年10月、第二種の試験は6月と10月に行われます。詳しい日にちはセンターのホームページを確認してください。
電気工事士の試験は、筆記試験と技能試験があります。筆記試験は択一式選択問題です。なお、高校や大学で経済産業省が定める電気工学の課程を修めて卒業した場合は、筆記試験の一部が免除されます。また、電気主任技術者の資格を取得している方は、筆記試験がすべて免除になるので、受験を申し込む際に申請しましょう。
技能試験は、実際に工具を使って電気工作物を組み立てる試験です。筆記試験を合格しなければ技能試験を受けることはできません。技能試験だけ不合格になった場合は、1年に限り筆記試験がすべて免除になります。
試験は、筆記試験が6割以上の得点で合格です。技能試験は小さなミスが2~4個以内で合格になります。
試験の申し込み方法
電気工事士の試験は、電気技術者試験センターのホームページから電子申請が可能です。受験料は第二種が9,300円・第一種が10,900円になります。ただし、電気主任技術者や電気工学の課程を卒業した方が筆記試験の免除申請をしながら受験を申し込む場合は、郵送のみの受け付けです。願書は、全国各地にあるセンターの支部や電力会社などで配布していますし、郵送も受け付けています。
試験は全国各地で行われるので、受験票が届いたら必ず会場を確認しましょう。
なお、技能試験を受ける場合には、工具が必要です。センターのホームページや受験案内に必要な工具が記載されていますので、必ず準備をして試験にのぞみましょう。工具を忘れた場合でも、試験会場で貸与は行われません。また、ネットショップでは電気工事士の試験に必要な工具のセットも販売されています。
勉強方法のコツ
電気工事士の勉強法には、独学や通信教材・講習会の利用などがあります。筆記試験は第一種も第二種も、独学で合格可能です。ツールボックス刊の「すいーっと合格シリーズ」などが人気の参考書になっています。参考書と過去問題集を購入し、参考書で知識を覚えたら、過去問題を解いて確認してみましょう。過去問題は最低でも過去5年間分は解いておくと安心です。
技能試験は、全く知識のない状態でチャレンジする場合、独学で合格するのはかなり難しいでしょう。参考書も販売されていますが、写真だけで工作の手順を覚えるのはかなり大変です。どうしても独学で勉強したい場合は、DVD付き参考書などで工作手順を映像で見ながら勉強していきましょう。
なお、技能試験の時だけ講習会や通信教材を利用する方法もあります。講習会は、電気工事に関係する各団体で行われており、1日で試験のポイントを抑える講習が一般的です。通信教材は、工作の課程が丁寧に解説しているDVDがついているものも多いでしょう。書店で販売している参考書よりも初心者が分かりやすいようにつくられています。
勉強と仕事を両立したい場合は、週末に何時間も勉強するよりも毎日30分でもよいので勉強しましょう。また、技能試験は最初から工作物を組み立てる練習をするより、図面のかき方・材料の加工方法などをまず練習し、最後に組み立ての練習をするとよいですね。
04. 電気工事士への転職に
関するよくある質問
Q.電気工事士の資格だけでは転職は難しいでしょうか?
A.実務経験があれば、電気工事士の資格だけでも大丈夫です。しかし、今回ご紹介したような資格を取得していれば、より有利でしょう。
Q.第二種電気工事士の資格だけでは、転職は難しいのですか?
A.はい。できれば第一種を取得しておきましょう。
Q.電気工事士の独立とはどのようなものですか?
A.自分で、電気工事の請け負いをします。大手電力会社や建設会社の下請けになることもあるでしょう。また、家電量販店と契約を結び、電気工事を請け負う方もいます。
Q.ビルメン業界に就職したい場合は、第二種を取得していれば大丈夫でしょうか?
A.求人は第二種の有資格者を求めているものが多いですが、第一種を取得していればより有利です。
Q.無経験でも、電気工事業界に就職できますか?
A.はい。年代が若ければ若いほど、無経験でもよしという会社はたくさんあるでしょう。
05. 電気工事士への就職・転職
まとめ
いかがでしたか? 今回は、電気工事士の就職や転職について解説しました。第二種電気工事士は、資格を取得している方もたくさんいるので、第一種や他の電気関係の資格を取得していた方が、より転職には有利でしょう。また、実務経験も大きな武器になります。資格を取得したら、まずは一つの職場で3年以上実務経験を積み、それから転職を考えるとよいですね。