給油取扱所とは、車などに危険物を給油する施設であり、一般的にはガソリンスタンドと呼ばれています。ガソリンスタンドで働きたいので危険物取扱者の資格を取得したい、という方もいることでしょう。危険物取扱者の資格試験には、給油取扱所についての問題も出題されます。
そこで、今回は給油取扱所の基準や危険物取扱者の資格取得方法などを解説しましょう。
この記事を読めば、危険物取扱者の試験対策もバッチリです。危険物取扱者の資格取得を目指している方は、ぜひ読んでみてくださいね。
01. 危険物とは
どのような物質?
危険物とは、消防法で貯蔵方法や取り扱い方法が規制されている物質の総称です。物質そのものが強い可燃性だったり(可燃物)、酸素供給源になって火災をより大きくする恐れがある物質だったりして(支燃物)、以下のような6種類に分類されています。
- 酸化性固体
- 可燃性固体
- 自然発火性物質および禁水性物質
- 引火性液体
- 自己反応性物質
- 酸化性液体
危険物にはそれぞれ「指定数量」が定められており、それを超える量を扱ったり貯蔵したりしている施設では、危険物取扱者の資格が必要です。また、自治体によっては独自の条例によって、指定数量未満でも危険物取扱者の選任を義務づけているところもあります。
02. 給油取扱所に
ついて
この項では、給油取扱所について解説します。どのような設置基準などが法律で定められているのでしょうか?
給油取扱所とはどんな施設?
前述のとおり、給油取扱所とは車にガソリンをはじめとする危険物を給油する施設です。ガソリンスタンドと呼んだ方が分かりやすいのですが、設置基準などを定めている消防法では給油取扱所となっているので、覚えておきましょう。取扱所にはこのほか、
- 一般取扱所
- 販売取扱所
- 移送取扱所
がありますが、その数は給油取扱所ほど多くありません。また、給油取扱所は、危険物取扱者の資格を活用して働くことのできる代表的な施設です。
給油取扱所の設置基準
給油取扱所の設置基準には、以下のようなことが消防法によって定められています。
- 給油・危険物の詰め替え・点検・整備・洗浄などができる作業場や事務所、店舗や展示場が設置できる
- 関係者の住居や飲料を販売する自販機なども設置できる
- 間口10m以上・奥行6m以上の給油空地(給油や自動車の出入りに必要な空地)を設置する必要がある
- 専用タンクの容量は無制限
- 廃油タンクの容量は10,000l以下
- 給油取扱所の周囲には、耐火構造や不燃材料でできた高さ2m以上の塀や壁を設置する
ほかの取扱所との違い
給油取扱所は、主に給油をする施設です。灯油も販売していますが容器に入った危険物は基本的に販売されていません。ガソリンや灯油を購入したい場合は、基本的に専用の容器を持参して購入します。それに対して販売取扱所は、容器入りの危険物を販売している場所です。
移送取扱所とは石油パイプラインなどのことで、日本では設置している場所は多くありません。一般取扱所とは、今までご紹介したどの取扱所にも当てはまらない場所であり、ボイラーなどの燃料のために危険物を貯蔵している場所などが該当します。
給油取扱所と危険物取扱者
給油取扱所では、必ず危険物取扱者の選任が必要です。現在はセルフサービスで給油するタイプのガソリンスタンドも増えていますが、そのような店舗で監督者として危険物取扱者の選任が必要になります。
給油取扱所で危険物取扱者の資格を活用して働くには、甲種・乙種4類・丙種が必要です。ただし、丙種は危険物を取り扱う際の監督業務を行うことはできませんので、資格を活用できる給油取扱所には限りがあります。
03. 危険物取扱者の
資格取得方法
この項では、危険物取扱者の資格区分や取得方法について解説します。ぜひ、参考にしてください。
危険物取扱者の種類について
危険物取扱者には、以下のような資格区分があります。
- 甲種:すべての危険物の取り扱いや保安監督業務を行うことが可能。
- 乙種:1~6類に分かれており、取得した類の危険物の取り扱いや保安監督業務を行うことが可能
- 丙種:危険物第4類に指定されている引火性液体のうち、ガソリンや灯油など一部の物質の取り扱いができる。ただし、保安監督業務は行えない
この3つの資格区分のうち、甲種のみ一定の条件を満たさないと資格試験を受けることができません。条件には、
- 大学や短大・専門学校などで化学に関する学科に進学し、卒業した
- 大学・短大・専門学校等で化学に関する単位を15以上取得している
- 危険物取扱者乙種を取得し、2年以上の実務経験を得た(取得した種は問わない)
- 危険物乙種の単位を4種類以上取得した(実務経験は問わない)
- 化学に関する修士・博士の学位を取得済み
などがあります。詳細を知りたいという方は、消防試験研究センターのホームページを確認してください。
資格取得方法
危険物取扱者の資格を取得するには、消防試験研究センターが主催する試験を受け、合格する必要があります。特定の学校を卒業したり、講習を受けたりして取得することはできません。前述したとおり、甲種以外は受験資格が定められていないので、学歴・職歴・性別・年齢問わず試験を受けることができます。工業高校などでは、学校ぐるみで受験するところもあるでしょう。
試験科目や免除条件について
危険物取扱者の試験は、以下のような3科目の学科試験です。
- 危険物に関する法令
- 物理および化学 (丙種のみ、燃焼および消火にかんする基礎知識)
- 危険物の性質やその火災予防および消火の方法
各科目、6割以上の得点で合格になります。また、乙種を取得した人が別の類を受ける場合は、法令と物理・化学が免除されるほか、特定の資格を取得していても試験科目に一部が免除になるので、詳しくは消防試験研究センターのホームページを確認しましょう。ただし、丙種を取得した方が乙種を、乙種を受験した方が甲種を受験する場合、科目免除はありません。
試験日や申し込み方法
危険物取扱者の試験日は、都道府県ごとに異なります。前期と後期があるため、どの都道府県でも最低年に2回は試験日があるのです。また、東京などの大都市では毎月試験が行われています。年に何度試験を受けてもかまいませんし、どの都道府県で試験を受けても大丈夫です。たとえば、大阪で試験を受けた翌月に京都で試験を受けてもかまいません。ただし、試験問題の持ち帰りは禁止されており、発覚した時点で不合格になるので注意しましょう。詳しい日程は、センターのホームページに記載されています。
試験の申し込みは、消防試験研究センターのホームページから行う電子申請が便利です。ただし、科目免除を申請する場合は添付書類が必要なので、電子申請は行えません。全国の消防署で願書が配布されているので、必要事項を記入したうえで添付書類と共にセンターに郵送しましょう。
受験費用は、甲種:5,000円・乙種:3,400円・丙種:2,700円です。
勉強のコツ
危険物取扱者は、幅広い年代に人気がある資格のため、参考書や問題集もたくさん販売されています。特に、乙種4類は受験者も多いことから種類も豊富です。丙種や乙種を受験する場合は、参考書と過去問題集を購入して独学で勉強をしても十分に合格に必要な知識が身につけられるでしょう。漫画で描かれた参考書やスマートフォン用の問題集アプリも販売されています。テキスト形式の参考書にこだわらず、勉強しやすいものを使いましょう。
甲種の場合は範囲が広いので、通信教材を利用するのもおすすめです。市販の参考書よりも要点が効率よくまとめられており、模擬問題を送付すれば添削も行ってくれます。
なお、危険物取扱者の資格は国家資格の中では比較的取得しやすいというイメージがありますが、合格率は甲種が35%前後、乙種が38~50%前後、丙種が75%前後です。丙種以外は受験者の半数以上が不合格になるので、決して易しい試験ではありません。また、化学や物理の知識が全くない場合は、早めに勉強を始めましょう。
04. 危険物取扱者などに関する
よくある質問
Q.危険物取扱者の資格を取得していなくても、給油取扱所で働くことができますか?
A.仕事内容は限られますが、可能です。しかし、取得した方が仕事の幅が広がるでしょう。
Q.乙種4類以外の乙種を取得していても、給油取扱所では働くことはできませんか?
A.危険物取扱者として勤務することは不可能です。勤務する前に資格を取得しましょう。
Q.監督業務とは何ですか?
A.無資格者が危険物を取り扱う際、事故が起こらないように監視する仕事になります。セルフサービスのガソリンスタンドの監視員がこの仕事です。
Q.乙種は、2種類同時に受験することは可能でしょうか?
A.はい。できます。
Q.危険物取扱者の資格は、高校生でも取得可能ですか?
A.はい。問題ありません。
05. 給油取扱所
まとめ
今回は給油取扱所について解説しました。給油取扱所では、常に危険物取扱者を有している人を求めているので、資格を活用して働きやすい場所です。アルバイトでも、時給が無資格者より10~50円アップするでしょう。また、自分でガソリンスタンドを経営する場合も、危険物取扱者の資格は取得しておくといいですね。