「管工事施工管理技士の資格試験対策講習を受ける場合、どんな内容でどこに申し込めばいいのか」とお考えの方はいらっしゃいませんか? 管工事施工管理技士の資格試験対策講習を受けたくても、詳細が分からなければ困りますよね。実は、資格試験対策とは目的が異なる講習になりますが、管工事施工管理技士の資格保持者が一定の公的な講習を受けると、新たに別の資格を得ることができるケースもあるのです。
そこで今回は、管工事施工管理技士の試験対策講習と資格保持者のための講習についてそれぞれ詳しく解説しましょう。
- 管工事施工管理技士とはどんな資格?
- 管工事施工管理技士の資格試験対策講習とは?
- 管工事施工管理技士の資格保持者が受けられる講習は?
- 管工事施工管理技士の試験と勉強方法
- 管工事施工管理技士の試験や講習に関するよくある質問
この記事を読むことで、管工事施工管理技士の資格試験対策講習や資格保持者のための講習や受講方法に関することがよく分かります。管工事施工管理技士を取得済みの人・取得予定の人は、記事を読んでみてください。
1.管工事施工管理技士とはどんな資格?
最初に、管工事施工管理技士の資格について詳しく見ていきましょう。
1-1.施工管理技士資格のひとつ
管工事施工管理技士とは、建設業法に基づいて設置された施工管理技士資格です。施工管理技士は、建設工事に従事する人を対象に、施工技術の向上も目的に設置されています。管工事施工管理技士が担当する管工事は、主に以下のとおりです。
- 冷暖房設備工事
- 空調設備工事
- 給排水・給湯設備工事
- ダクト工事
- 浄化槽工事
- ガス配管工事
- 衛生設備工事
1-2.主な職務は管工事の施工計画作成や工程管理など
管工事施工管理技士の主な職務は、以下のとおりです。管工事を計画どおり、安全・確実に進めるための監督者の役割があります。
- 各種管工事における施工計画の作成
- 管工事の工程管理・品質管理・安全管理
1-3.1級と2級の2種類がある
管工事施工管理技士には、1級管工事施工管理技士および2級管工事施工管理技士の2種類があります。それぞれの内容は、以下をご覧ください。
- 1級:特定建設業の営業所における専任技術者や、工事現場の主任技術者および監理技術者になれる
- 2級:一般建設業の営業所における専任技術者や、工事現場の主任技術者になれる
未取得者は、2級の取得から目指すといいでしょう。
1-4.管工事施工管理技士を取得するメリットは?
管工事施工管理技士を取得すると、以下のようなメリットがあります。
- 転職に有利
- 専門性の高い仕事ができる
- 社内キャリアアップにより昇進・昇給につながる
管工事施工管理技士は、一般の工事会社が公共工事で入札する際、自社に多く抱えているほど有利になるためとても重宝されます。また、以下のような資格の受験資格を得ることが可能です。
- 1級:建築設備士試験(ただし2年の実務経験が必要)・社会保険労務士
- 2級:社会保険労務士
2.管工事施工管理技士の資格試験対策講習とは?
管工事施工管理技士の資格を取得するための、試験対策講習について詳しく解説します。
2-1.どんな講習が行われている?
管工事施工管理技士の試験対策講習は、1級もしくは2級管工事施工管理技士試験の合格を目指すためのものです。実際の試験内容に合わせたカリキュラムが組まれているため、効率よく受験準備を進めることができます。独学での取得が不安な人にも、大きなメリットとなることでしょう。
2-2.実際の試験に合わせた講習科目と内容
管工事施工管理技士の講習は、実際の試験に合わせた講習科目と内容に特化しているのが特徴です。通学で学ぶほかにも、最近では動画によるサテライト授業を配信するケースもあります。また、特に忙しい人やマイペースで学びたい人には、通信講座で受講することも可能です。
2-3.数日間・数万円程度~が費用目安
資格取得のための講習は、通学の場合で数日間・数万円程度が目安です。実施団体によって、また、受講内容によっても金額が異なるので事前にチェックしておきましょう。通学スタイルの場合、受講しない科目があっても返金されないことが多くなります。たとえば、特定の試験科目だけ集中して学びたい場合などは、通信講座などのほうが向いていることもあるでしょう。受講方法・費用・受講内容を総合的にチェックし、最も自分にメリットが大きいものを選んでください。
3.管工事施工管理技士の資格保持者が受けられる講習は?
すでに管工事施工管理技士の資格を保持している人が受講可能な講習にはどんなものがあるのか、見ていきましょう。
3-1.浄化槽設備士講習
管工事施工管理技士が受けられる講習のひとつに、浄化槽設備士講習があります。
3-1-1.浄化槽設備士講習の概要
浄化槽設備士講習とは、浄化槽工事に関して必要な知識や技能に関する講習のことです。国土交通大臣および環境大臣が認定した教育機関で講習が実施され、認定を受けた人が浄化槽設備士として活動できます。
3-1-2.浄化槽設備士講習の目的
浄化槽設備士講習の目的は、浄化槽工事を正しく安全に進めるために、必要な知識を持った人材を育成することです。浄化槽に不具合が発生すると、汚水が適切に処理できず水質汚染・悪臭の原因になり、環境に重大な影響を与えます。浄化槽工事を適切に進めることは、クリーンな産業活動と周辺環境の保全のためにも必要不可欠です。
3-1-3.1級もしくは2級管工事施工管理技士が受講可能
浄化槽設備士講習は、1級もしくは2級管工事施工管理技士の資格取得者が受講可能です。受講申請の際に、1級もしくは2級管工事施工管理技士合格証明書の写しが必要になるので、忘れずに準備してください。
3-1-4.浄化槽設備士講習の概要や費用は?
浄化槽設備士講習の概要や費用などは、以下のとおりです。
- 実施地域:東京・大阪・福岡
- 講習期間:5日間37時間
- 講習内容:浄化槽概論8時間・浄化槽施工管理法8時間・法規3時間・浄化槽の保守点検および清掃概論3時間・浄化槽の構造および機能15時間
- 受講費用:86,700円
なお、より詳しい内容は公益財団法人日本環境整備教育センターの浄化槽設備士講習案内ページを参考にしてください。
3-2.監理技術者講習
1級管工事施工管理技士は、監理技術者講習を受けて現場の監理技術者になることができます。
3-2-1.監理技術者に必要な知識を学ぶ
監理技術者講習は、監理技術者に必要な知識を学ぶための講習になります。監理技術者とは、現場の技術水準を確保するために配置される技術者のことです。建設業法に基づき、特定建設業者が元請けとして外注総額4,000万円以上の工事を発注者から直接請け負う場合、工事現場に監理技術者を置く義務があります。
3-2-2.監理技術者の育成が主な目的
監理技術者講習の目的は、現場における監理技術者を育成することです。特に、大規模な工事では、多くの人が作業に当たるため、工事品質の管理を徹底する必要があります。監理技術者として、豊富な専門知識と高い意識を持って職務に当たるためにも、監理技術者講習を受講する必要があるのです。
3-2-3.受講資格には1級管工事施工技術者などが必要
監理技術者講習の受講資格は、以下のとおりです。
- 1級管工事施工管理技士を含む1級国家資格者
- 大臣特別認定者
- 指定建設業以外の業種で特定の条件を満たした実務経験者
3-2-4.監理技術者講習の概要や費用は?
監理技術者講習の概要および費用などは、以下を参考にしてください。以下は、一般財団法人全国建設研修センターの例です。
- 実施地域:北海道から沖縄まで日本全国の指定会場
- 講習期間:1日6時間
- 講習内容:建設工事に関する法律制度・建設工事の施工計画の作成・工程管理・品質管理そのほかの技術上の管理・建設工事に関する最新の材料・資機材および施工方法
- 受講費用:郵送10,000円・インターネット9,500円
講習を実施する団体により、受講費用などが異なるので注意してください。
4.管工事施工管理技士の試験と勉強方法
管工事施工管理技士の試験内容や勉強方法をご紹介します。
4-1.1級・2級共に受験資格が必要
管工事施工管理技士試験を受験するには、所定の受験資格が必要になります。主な受験資格は、以下のとおりです。
1級
- 大学の指定学科を卒業後、3年以上の実務経験あり
- 大学の指定学科以外を卒業後、4年6か月以上の実務経験あり
- 高等学校の指定学科を卒業後、10年以上の実務経験あり
- 2級管工事施工管理技術検定に合格後5年以上経過ならびに5年以上の実務経験あり
- 専任の主任技術者として1年以上の実務経験あり
2級
- 大学の指定学科を卒業後、1年以上の実務経験あり
- 大学の指定学科以外を卒業後、1年6か月以上の実務経験あり
- 高等学校の指定学科を卒業後、3年以上の実務経験あり
- 技術検定合格者で4年以上の実務経験あり
なお、受験資格に関するより詳しい内容は、一般財団法人全国建設研修センターのホームページを参考にしてください。
4-2.管工事施工管理技士の試験概要
管工事施工管理技士の試験概要は、以下を参考にしてください。
1級
- 試験日程:毎年9月上旬に学科試験、12月上旬に実地試験を実施
- 試験地:札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・那覇
- 受験料:学科試験・実地試験それぞれ8,500円
- 申し込み方法:受験の手引き(1部600円)を入手後、必要書類を指定期日までに送付
- そのほかの注意点:実地試験は学科試験合格者だけ実施
1級の試験に関するより詳しい内容は、一般財団法人全国建設研修センター1級管工事施工管理技術検定試験のホームページも併せて確認してください。
2級
- 試験日程:前期は学科試験だけで毎年6月上旬、後期は学科・実地試験もしくは学科試験だけで毎年11月中旬
- 試験地:前期(札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・那覇)、後期(札幌・青森・仙台・東京・新潟・金沢・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・鹿児島・那覇)
- 受験料:学科・実地試験8,500円、学科試験だけもしくは実地試験だけの場合は4,250円
- 申し込み方法:受験の手引き(1部600円)を入手後、必要書類を指定期日までに送付
- そのほかの注意点:学科試験だけ受験の場合は、試験地に宇都宮も選択可
2級の試験に関するより詳しい内容は、一般財団法人全国建設研修センター2級管工事施工管理技術検定試験のホームページも併せて確認してください。
4-3.管工事施工管理技士の試験内容
管工事施工管理技士の試験内容は、以下のとおりです。学科ごとに試験時間が分かれているのではなく、指定時間内でまとめて受験することになります。
- 試験時間:1級(学科:午前と午後で合計4時間30分・実地:2時間45分)、2級(学科:2時間10分・実地:2時間)
- 試験科目:1級2級共に学科(機械工学・施工管理法・法規)および実地(施工管理法)
- そのほかの注意点:学科試験は択一式のマークシート方式、実地試験は記述式で解答
4-4.試験はやや高めの難易度
平成30年度における管工事施工管理技士試験の合格率は、以下のとおりです。
- 1級:学科試験33.2%/実地試験52.7%
- 2級:学科試験57%/実地試験40.4%
管工事施工管理技士の合格基準は、1級・2級共に学科・実地それぞれで60%以上の正答率が必要です。一定の受験資格が求められる試験かつ受験者のレベルが高いことを考えると、難易度はやや高いと言えるでしょう。なお、実地試験だけ不合格の場合は、翌年度に限り学科試験が免除され実地試験だけで受験できます。
4-5.過去問の攻略と苦手分野の克服がカギ
管工事施工管理技士試験の学科試験では、科目合格制度がありません。したがって、管工事施工管理技士に合格するためには、過去問の攻略と苦手分野の克服が必要不可欠です。過去問を攻略することで、自然と合格レベルの知識と解答パターンが身に付きます。また、苦手分野の克服を進めることで得点力がアップするため、合格できる可能性が高くなるでしょう。
5.管工事施工管理技士の試験や講習に関するよくある質問
最後に、管工事施工管理技士の試験や講習に関する質問に回答します。それぞれ参考にしてください。
Q.管工事施工管理技士試験は受験地を選べる?
A.はい。都合のいい受験地を選ぶことができます。居住区の近く以外でも、試験日程や試験会場の通いやすさで選んでもいいでしょう。
Q.実地試験が不合格だと翌年また学科試験を再受験する必要がある?
A.いいえ。翌年度に限り、申請によって学科試験が免除され、実地試験だけで受験することができます。ただし、免除申請を忘れると無効になるので注意しましょう。
Q.実務経験が長ければ現場の勘だけで合格できる?
A.いいえ。管工事施工管理技士試験に合格するには、実務経験の長さだけではカバーできません。試験に向けて基礎知識の確認と出題傾向に合わせた対策を進める必要があります。
Q.管工事施工管理技士は女性でも活躍できる?
A.はい。性別に関係なく活躍できます。女性の資格取得者が少ない今こそ、資格取得で大きくキャリアアップするチャンスと言えるでしょう。
Q.監理技術者講習修了証の有効期限は?
A.受講日から5年間です。監理技術者講習修了証の有効期限が切れる前に再受講し、新たに交付を受けてください。
まとめ
今回は、管工事施工管理技士の講習について詳しく解説しました。管工事施工管理技士は、管工事における施工計画作成や工程管理などを行う資格です。管工事施工管理技士には受験準備のためのもの以外にも、監理技術者講習や浄化槽設備士講習など、資格取得後の実務に深く関係する講習を受けることができます。まずは、それぞれの概要を確認し、必要に応じて受講しましょう。管工事施工管理技士としてのキャリアアップにつながり、昇進・昇給を期待できるほか、転職時にも有利になることでしょう。