少子高齢化がすすんでいる現在の日本は、医師・看護師・介護士などの医療・福祉関連における人手不足が深刻化しています。特に、医療業界の人手不足は深刻であり、看護師の需要が高まっているのです。就職・転職を考えている方もいると思いますが、看護師として働くためには国家試験にパスしなければなりません。受験を考えていても、合格率や試験内容など気になることがたくさんあるでしょう。そこで、本記事では、看護師の基礎知識や資格・合格率・試験方法・転職について説明します。
この記事を読むことで、看護師の合格率や国家試験について知り、就職・転職するために必要な知識を深めることができます。看護師として働きたい方はぜひ参考にしてください。
01. 看護師の基礎知識
看護師の資格を取得するためには、どんな職業なのか基礎知識を深めておかなければなりません。主な職務や種類・魅力・給料について説明します。
1-1.どんな職業か
看護師とは、科学的な知識や技術を用いて、人々の健康を守り、豊かな生活を支援する職業です。病院やクリニックでは、必ず看護師が存在しており、医師の指示に従いながら仕事をこなします。人の命を守るための大切な役職であり、人の役に立つ仕事といえるでしょう。
1-2.主な職務
看護師の職務は、多岐にわたります。一般的な仕事は、医師が患者の診療や治療を行う際の補助や病気・ケガの患者ケアを行う内容です。たとえば、血圧・体温・脈の測定、注射・点滴・採決などの治療補助、食事やお風呂など身のまわりの世話なども含まれます。また、次の看護師へ引き継ぐために、患者の記録をつけるなどの業務もこなしているのです。大手病院では、手術の補助を専門としている看護師もいます。
1-3.種類について
看護師の種類は、担当別に分けることができます。外来看護師・病棟看護師・オペ室看護師・ICU看護師などが代表的です。それぞれの特徴を以下にまとめてみました。
- 外来看護師:病気やケガ・健康異常を感じた人の診察・治療介助などを行う
- 病棟看護師:入院している患者の看護を行う臨床の場
- オペ室看護師:オペ室において、手術の介助を行う
- ICU看護師:ICUに入っている患者の集中治療介助・看護・観察などを行う
1-4.魅力とは
看護師の魅力は、人の役に立つ仕事ができることです。少子高齢化がすすんでいる日本において、看護師の需要が高まってきています。また、看護師は一般サラリーマンやOLよりも給料が高く、社会的な信用度が高いのです。クレジットカードや銀行ローンなどの審査にも強いといわれています。さらに、安定した収入が得られること、転職も成功しやすい点もメリット・魅力の1つです。
1-5.給料について
看護師の平均給料は、月30万円前後、年収450万~といわれています。一般的なサラリーマンやOLは、平均年収が400万円といわれているので平均よりも高めです。また、ボーナスは50万~100万円ぐらいでしょう。あくまでも平均的な値であり、勤務先によって大きく異なります。
02. 看護師の資格について
看護師の国家資格や資格の種類・キャリアアップにつながる資格について説明します。
2-1.国家資格について
看護師国家試験とは、日本の看護師免許を取得するための国家試験です。この試験に合格しなければ、看護師として働くことができません。国家試験の受験資格は、事細かく決められています。詳細に関しては、厚生労働省のホームページを確認してください。ほとんどの場合が、看護学校や専門学校・大学などの学校を卒業して取得しています。働きながら取得することもできますが、受験資格を得るためには、学校で最低3年勉強しなくてはならないのです。
2-2.資格の種類について
看護師の資格には、国家試験のほかにも、准看護師・保健師・助産師があります。それぞれの内容について、以下にまとめてみました。
- 准看護師:医師・看護師の指示のもとで看護を行うことができる資格。都道府県知事が交付する免許であり、国家資格ではない
- 保健師:病気の予防や衛生管理などを行う資格。保健師になるためには、看護師の国家資格が必要不可欠となる
- 助産師:妊娠・出産などの助産行為にたずさわる資格。看護師の資格が必要不可欠となる
2-3.キャリアアップにつながる資格とは
準看護師よりも正看護師のほうがキャリアアップにつながります。看護師として働き続けるためには、正看護師(国家資格)を取得したほうが良いでしょう。また、一般的な看護師よりも高度な知識を求められる「専門看護師」や「認定看護師」になるのも、スキルアップにつながります。専門看護師は、水準の高い看護ケアを提供するために、看護・老人看護など特定専門看護分野の知識・技術を深めた人のことです。認定看護師は、ある特定の看護分野において、看護技術・知識を用いて看護実践を行います。どちらも、看護師の高い専門スキルを身につけているのです。
03. 看護師の合格率について
看護師の合格率・難易度・最近の傾向・資格の取得方法について説明します。
3-1.合格率はどのくらいか?
看護師の国家試験は、合格率が約90%と高めです。出題範囲が広く、決して簡単な試験とはいえませんが、きちんと勉強すれば合格できる難易度といえます。国家試験よりも易しく、比較的取得しやすいのが準看護師です。ただし、専門看護師は約80%となっており、合格率が少し低くなります。合格率が高いといっても油断は禁物ですね。
3-2.難易度について
国家資格において、看護師は「やや易しい」となっています。しかし、「国家試験は難しい、大変」と耳にするのはなぜなのでしょうか。それは、受験者の多くが国家資格=難しいと思い込みすぎている点があります。また、看護師国家試験を受けるためには、看護学校へ通い、カリキュラムを卒業しなければなりません。国家試験の受験資格が得られるまでのプロセスが長いため、大変・難しいという印象がついています。
3-3.最近の傾向
近年は、看護師の国家資格を取得する方が増えています。少子高齢化で看護師の需要が高まっているからこそ、就職・転職しやすい仕事に就こうとしている方が増加しているのです。平成24年度の受験者数は53,702人でしたが、平成29年度は62,534人と、約5年でおよそ1万人増えています。
3-4.資格の取得方法について
資格を取得するためには、コツコツと勉強を続けなければなりません。まずは、看護学校に通う必要があります。独学では、国家試験の受験資格が得られませんので注意してください。看護学校で学ぶ期間は、最低3年ですが、働きながら資格を取得する場合は5年必要でしょう。たとえば、准看護学校に在学しながら看護助手として働き、看護専門学校に在学しているときは准看護師として働く方法です。准看護学校は、昼間定時制になっているところが多いので、働きながら取得できるでしょう。
04. 看護師の試験方法について
看護師の試験概要や勉強方法について説明します。
4-1.それぞれの概要
看護師の国家試験は、年に1回実施されています。毎年2月下旬の日曜日に実施されており、必修問題・一般問題・状況設定問題が午前と午後に分けられて行われる流れです。試験地は、北海道・青森県・宮城県・東京都・愛知県・石川県・大阪府・広島県・香川県・福岡県および沖縄県となります。准看護師試験の場合は、毎年2月中旬~下旬に行われており、都道府県によって試験地が異なるので注意してください。
4-2.勉強方法
看護師の勉強は、コツコツと地道に続けることが大切です。範囲が非常に広いため、1つずつをきちんと理解していかなければなりません。勉強ノートは、すぐに確認できるメモ帳と、調べたことを書き留めるノートを用意しておきましょう。自分が分かりやすいように、項目ごとにまとめてみてください。たとえば、疾患の定義や原因・症状・治療方法・看護のポイントなど、すべてをまとめておくと勉強しやすくなります。
05. 看護師の転職について
看護師の需要が高まっている今、転職に有利な資格です。求人やキャリアアップ・転職・経験者の声・転職のポイント・相談窓口について説明します。
5-1.求人について
看護師の求人は、年々増加しています。常に、人手不足になっている状態なので、多くの医療施設が看護師を求めているのです。厚生労働省によれば、看護師の有効求人倍率は2.5~3.0倍程度になっています。求人数が増える分だけ、さまざまな求人内容から条件に合ったものを選ぶことができるでしょう。
5-2.キャリアアップについて
看護師としての仕事を全うしたい方や働き続けたいと思っている方は、ぜひキャリアアップを目指してください。看護師としての知識や高いスキル・専門性を身につけておけば、より幅広い分野で働くことができます。また、自分がどんな分野で働きたいのか、どんな仕事に就きたいのか具体的にしておくと良いでしょう。たとえば、精神疾患に興味がある方は、精神看護の専門看護師を目指すことになります。目標をハッキリしておけば、スキルアップもしやすくなるでしょう。
5-3.転職について
スキルアップのために、転職をする看護師の方が増えています。また、看護師不足の現状を知り、看護業界に足を踏み入れたという方も増えているのです。看護師の転職を有利にすすめるためには、准看護師ではなく、正看護師(国家資格)を取得しておいたほうが良いでしょう。
5-4.経験者の声
実際に、看護師として働いている方や転職した方の声を聞きたいときは、病院・クリニックのホームページをチェックしてみてください。大手の医療施設では、現場で働いている人の声を聞くことができます。また、転職サイトなどでも経験者の声が記載されているので、利用すると良いでしょう。もし、近くに看護師として働いている方がいれば、直接尋ねてみるのも方法の1つです。
5-5.転職のポイント
転職を成功させる大きなポイントは、情報収集力です。転職で失敗した方の多くが、情報収集不足が要因になっています。快適な職場環境か、福利厚生が充実しているか、子どもがいる場合は保育所の有無なども確認しておかなければなりません。転職先を見つけるためには、給与や勤務時間など、優先順位を決めておきましょう。また、人間関係や職場の雰囲気を確認することも大切です。実際に、職場へ足を運び、ナースステーションや看護師の雰囲気をつかんでください。
5-6.相談窓口
看護師の就職・転職で悩んだときは、看護師専用の転職サイトを利用してください。ハローワークに相談する方もいますが、看護師専門の転職サイトのほうが具体的なアドバイスをしてくれます。看護師の就職・転職・求人に特化しているため、気軽に相談しやすいと評判です。
5-7.注意点
「看護師転職サイトに登録したけれど、良い求人が見つからない」というケースがよくあります。看護師転職サイト選びも大切なポイントになるので、注意しておかなければなりません。転職サイトを利用する前に、複数のサイトを比較したり、口コミや評判をチェックしたりしてください。また、スタッフの対応なども要チェックです。
06. 看護師に関してよくある質問
看護師に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。
6-1.看護師の就職・転職先とは?
一般的な職場は、病院やクリニックとなりますが、ほかにも看護師が活躍する場所はたくさんあります。たとえば、市町村保健センター・学校の保健室・助産院・海外での看護活動・企業の健康管理室・研究所・訪問看護ステーション・老人介護施設などです。特に、介護老人施設や訪問看護ステーションの需要が高まってきています。
6-2.正看護師と準看護師に給料の差はあるのか?
国家試験と都道府県による試験の違いは、給料の差にも大きく反映しています。正看護師の給料は月収30万円前後ですが、準看護師の場合は約28万円です。ボーナスの有無も関係してくるため、実際はもっと差が出ているでしょう。
6-3.都会と地方では、転職の格差があるのか?
都心と地方の転職状況の差は、条件の良い求人の有無に表れています。たとえば、設備が整っている病院で高スキルを身につけたい場合は、地方ではなかなか求人が見つかりません。大学病院など大手病院のある都会のほうが、求人が見つかりやすくなるでしょう。
6-4.夜勤は必ずしなければならないのか?
入院設備のある施設では、夜勤が必須業務となっているところがほとんどです。ただし、入院設備のないクリニックや訪問看護ステーションなどは夜勤がありません。夜勤に不安を抱いている方は、勤務時間が日中の求人を探してください。
07. まとめ
いかがでしたか? 正看護師として働く場合は、国家試験に合格しなければなりません。国家試験を受けるためには、受験資格が決まっており、学校で最低3年の学習が必要です。働きながら資格を取得することもできますが、3年以上の時間がかかるでしょう。最初は、准看護師の資格を取得して、現場経験を積みながら国家試験に挑戦する方もいます。スムーズに取得するためには、ある程度の知識を習得したうえで、取得のための計画を立てると良いでしょう。