建築物環境衛生管理技術者のテキスト選びとポイントを解説!

建築物環境衛生管理技術者の資格を取得するための勉強を始める場合、テキストを用意しなければなりません。しかし、本屋へ行くとたくさんのテキストにどれを選べばいいのか分からなくなるでしょう。インターネットで口コミをチェックしたとしても、自分に合っているのか分かりませんよね。そこで、本記事では、建築物環境衛生管理技術者のテキスト選びや勉強法などについて解説します。

  1. 建築物環境衛生管理技術者の概要をチェック!
  2. 建築物環境衛生管理技術者の勉強法は?
  3. 建築物環境衛生管理技術者のテキスト選びは?
  4. 建築物環境衛生管理技術者の試験内容は?
  5. 建築物環境衛生管理技術者に関してよくある質問

この記事を読むことで、建築物環境衛生管理技術者のテキスト選びなどが分かります。勉強を始めようと考えている方は、ぜひチェックしてください。

1.建築物環境衛生管理技術者の概要をチェック!

まずは、建築物環境衛生管理技術者がどのような資格なのか基本的な知識を習得していきましょう。

1-1.建築物の環境衛生を維持する国家資格

建築物環境衛生管理技術者は、通称:ビル管理技術者と呼ばれている国家資格です。建築物の環境衛生の維持管理に関する監督などを行います。建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法)に基づき、面積3,000㎡以上の特定建築物では、必ず選任しなければなりません。そのため、需要が高く、求人数が多い資格といえるでしょう。特に、大規模施設の設備点検などを行うビルメンテナンス業界では、非常に評価の高い資格です。

1-2.主な仕事は維持管理業務の計画立案など

主な業務内容は、大きく分けて4つの項目に分けることができます。それぞれの具体的な職務を以下にまとめたので、ぜひ参考にしてください。

  • 維持管理業務の計画立案:総合計画・個別計画・整備や改修計画の作成など
  • 維持管理業務の実施:計画に基づく実施状況の監督・安全管理・技術指導など
  • 測定・検査の実施とその評価:空気環境等の測定・水質検査・各種設備の整備など
  • 是正措置:問題点の改善・改善案の作成・意見の具申など

1-3.ビルメンテナンス業で需要が高い資格

建築物環境衛生管理技術者は、ビルメンテナンス業界で需要が高く、年々求人率が増え始めています。特に、オフィスビルや商業施設が立ち並ぶ地域で人手不足となっており、有資格者を積極的に採用している会社が多いのです。また、ビルメンテナンス業の責任者にもなれる資格なので、建築物を所有する企業の管財部門や総務部門の管理職に就ける可能性もあります。

1-4.転職・就職、給与面に大きなメリットがある

資格を取得すると、転職と就職に有利な立場となります。前述したとおり、ビルメンテナンス業で需要が高い資格で、大規模施設では選任が義務づけられているのです。そのため、無資格者よりも有資格者のほうを積極的に採用しています。また、基本給のほかに数千円の資格手当を出すなど、資格者を優遇しているところがほとんどです。給与アップやキャリアアップにもつながるので、資格取得のメリットはたくさんあります。

2.建築物環境衛生管理技術者の勉強法は?

資格試験に合格するためには、試験に合った方法で勉強することが1番の近道です。ここでは、試験傾向やおすすめの勉強法などを紹介します。

2-1.試験範囲が幅広い

建築物環境衛生管理技術者の試験は、範囲が幅広く全部で180問出題されます。試験時間は6時間にもおよぶので、忍耐力と集中力が必要になるでしょう。試験科目は以下のとおりです。

午前(試験時間3時間)

  1. 建築物衛生行政概論(20問)
  2. 建築物の環境衛生(25問)
  3. 空気環境の調整(45問)

午後(試験時間3時間)

  1. 建築物の構造概論(15問)
  2. 給水および排水の管理(35問)
  3. 清掃(25問)
  4. ねずみ・昆虫等の防除(15問)

2-2.難易度は普通、合格率は約15~25%

近年の合格率を見てみると、約15~25%が合格率です。2018年の試験では受験者数が11,096人で合格者数が2,339人、合格率は約21%でした。問題そのものは難しくないのですが、問題の言いまわしや表現が毎年異なるので、問題の理解力が大きなカギといえるでしょう。国家試験における難易度は「普通」となっているため、しっかり勉強すれば独学でも合格できます。

2-3.ライフスタイルに合った勉強法を選ぼう

建築物環境衛生管理技術者の試験は範囲が幅広いので、毎日コツコツと勉強を続けることが大切なポイントです。1日中勉強をするよりも、毎日数分でも勉強を続けたほうが必要な知識を頭の中にインプットできます。独学・スクール通学・通信講座とさまざまな勉強法がありますが、なるべくライフスタイルに合った方法を選びましょう。仕事と勉強の両立が困難な方は、すき間時間が活用できる通信講座がおすすめです。

2-4.出題数が多い科目で点を稼ぐ

試験に合格するためのポイントは、出題数が多い科目で得点率を稼ぐことです。「空気環境の調整」と「給水および排水の管理」は出題数が多いので、中心的に勉強して確実に点が取れる状態にしておきましょう。逆に、出題数が少ない「建築物の構造概論」と「ねずみ・昆虫等の防除」は、40%以上の正解率であれば問題ありません。

3.建築物環境衛生管理技術者のテキスト選びは?

勉強に必要なテキストの選び方を説明します。

3-1.理解しやすい内容か

1番大切なことは、自分にとって理解しやすい内容かどうかです。たとえ、友人からおすすめされたテキストでも、自分が理解しやすい内容でなければ意味がありません。どのテキストを選べばいいのか分からないときは、本屋でページをめくり、すぐに理解できるか確認してみましょう。特に、図解が記載されているテキストは万人に理解しやすいのでおすすめですよ。

3-2.試験の重要ポイントが記載されているか

理解しやすい内容と併せて、試験の重要ポイントが記載されているかにも注目しましょう。建築物環境衛生管理技術者の試験は範囲が幅広いので、すべてを完璧に覚えるのはほとんど不可能です。一発で合格している人の多くは、試験の重要ポイントだけを押さえて試験に臨んだからこそ資格が取得できています。必要な知識だけ習得できるように、重要ポイントが記載されているテキストを選んでください。

3-3.口コミと評判をチェックしよう

実際に、テキストを使用した人の口コミや評判をチェックするのも、テキスト選びの大事なポイントです。インターネットで「建築物環境衛生管理技術者 テキスト」と検索してみると、たくさんの種類が出てくるでしょう。口コミと評価がチェックできるので、選びやすくなります。

3-4.テキストは1冊で十分

テキストを何冊も用意して、すべてをマスターしたほうが合格に近づくわけではありません。合格のポイントは、テキストを1冊にしぼることも大切な要素です。1冊にしぼり、何度も読み返すことで必要な内容だけを頭の中に入れることができます。逆に、テキストを何冊も用意してしまうと、頭の中がゴチャゴチャしてしまい整理できなくなるでしょう。試験範囲が広いからこそ、試験に出るポイントだけ押さえてから挑んだほうが時間も有効活用できます。

3-5.テキストと過去問を上手に利用する

自分が理解しやすく、試験の重要ポイントが記載されているテキストを選んだら、過去問と一緒に活用していきましょう。最初にテキストで基礎知識を習得します。そして、ある程度の知識を身につけた後に、過去問に挑戦してください。過去問で間違った問題や分からない問題は、理解できるまで再度テキストを読みます。テキスト→過去問→テキストという流れで勉強を続ければ、試験の出題傾向も把握できるでしょう。過去問は日本建築衛生管理教育センターのホームページで無料ダウンロードできます。

4.建築物環境衛生管理技術者の試験概要は?

それでは、建築物環境衛生管理技術者の試験について説明しましょう。

4-1.受験資格は実務経験の証明ができる者

建築物環境衛生管理技術者の試験を受けるためには、定められた受験資格を満たさなければなりません。厚生労働省令で定められた建築物の用途部分において、同省令の定める実務に2年以上従事した者が受験資格を得ることができます。認められる主な実務内容は以下のとおりです。

  • 空気調和設備管理
  • 給水・給湯設備管理
  • 排水設備管理(浄化槽法第2条第1号に規定する浄化槽の維持管理を含む)
  • ボイラー設備管理
  • 電気設備管理(変電、配電等のみの業務を除く)
  • 清掃、廃棄物処理
  • ねずみ、昆虫等の防除

修理専業やアフターサービスとしての巡回などは、実務経験にならないので注意してください。また、実務に従事した建築物の用途も学校・旅館・ホテルなど定められています。詳細は、試験を行っている日本建築衛生管理教育センターのホームページをご覧ください。

4-2.試験は全国6か所で年に1回行われる

札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・福岡の6か所で試験が行われます。東京会場は2か所に分かれることもあるので、会場に注意してくださいね。また、試験は例年10月上旬の日曜日に実施され、年に1回しかありません。

4-3.受験料は13,900円で申し込みは郵送のみ

受験料は13,900円(非課税)で、申し込みは郵送のみとなります。申込受付期間は5月上旬~6月中旬ごろまでとなっているため、期間を過ぎないように気をつけてくださいね。

5.建築物環境衛生管理技術者に関してよくある質問

建築物環境衛生管理技術者に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.資格があれば独立も可能か?
A.はい。建築物環境衛生管理技術者の資格を取得すると、建築物清掃業や建築物環境衛生総合管理業などの事業を起こし独立することができます。知事の登録事業者の人的要件として必須資格となっているため、事業の登録に役立つでしょう。しかし、独立するためには、ある程度の実務経験とキャリアを持っておかなければなりません。また、資格を取得することで、空気環境測定実施者・貯水清掃作業監督者といった資格の講習を受けることができます。

Q.おすすめのテキストは?
A.どのテキストを選べばいいのか分からない方には、「完全突破!ビル管理技術者受験テキスト[第2版]」がおすすめです。簡潔に必要な知識がまとめられており、見開きで1テーマが掲載されているので非常に見やすいと好評を得ています。初心者が使うテキストとしては、「スーパー暗記法 合格マニュアル建築物環境衛生管理技術者」がおすすめです。暗記事項に関する語呂合わせが記載されているので、暗記しやすくなるでしょう。

Q.各科目の合格基準は?
A.総合で60点以上、各科目で40%の得点率が合格基準となります。よって、具体的な合格基準は以下のとおりです。

  • 建築物衛生行政概論(20問):合格基準8問以上
  • 建築物の環境衛生(25問):合格基準10問以上
  • 空気環境の調整(45問):合格基準18問以上
  • 建築物の構造概論(15問):合格基準6問以上
  • 給水および排水の管理(35問):合格基準14問以上
  • 清掃(25問):合格基準10問以上
  • ねずみ・昆虫等の防除(15問):合格基準6問以上

Q.講習会で資格は取得できるのか?
A.受講資格がある者なら、103時間の講習を受けることで資格を取得する方法があります。しかし、受講資格は国家試験の受験資格よりも厳しく、受講期間は約3週間・受験費用は約11万円が必要です。講習会が実施されるのは都内となるため、地方在住者は注意してください。

Q.独学の場合、勉強時間はどのくらい必要か?
A.1日の勉強時間や人によって異なりますが、最低でも3か月〜半年は必要でしょう。毎日確実に勉強時間が確保できるなら、3か月でも大丈夫です。しかし、勉強時間がなかなか作れない方は、半年を見て計画を立てたほうがいいでしょう。

まとめ

建築物環境衛生管理技術者は、試験範囲が幅広い傾向があります。国家試験における難易度は「普通」ですが、きちんと基礎知識を習得し、問題の理解力を身につけておかなければなりません。なるべく、試験の重要ポイントを押さえたテキストを1冊選び、何度も読み返しましょう。1冊のテキストを読み直すことで、必要な内容だけ頭の中に入れ整理することができます。

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