危険物取扱者の職業には何がある? 就職・転職事情も詳しく解説!

「危険物取扱者を取得するつもりだが、どんな職業に就くことができるのか」「資格取得後の就職・転職状況を知りたい」とお考えではないでしょうか。危険物取扱者は、指定の危険物の取り扱いができる国家資格であり、就職・転職に強いと言われています。しかし、実際にどんな職業に就けるのか、資格を生かすことができる仕事なのか、気になることでしょう。そこで今回は、危険物取扱者の職業について詳しく解説します。

  1. 危険物取扱者ができることは?
  2. 危険物取扱者が就く職業について
  3. 危険物取扱者の就職や転職事情
  4. 危険物取扱者の資格取得方法
  5. 危険物取扱者の職業に関するよくある質問

この記事を読むことで、危険物取扱者の職業についてよく分かります。まずは、記事を読んでみてください。

1.危険物取扱者ができることは?

最初に、危険物取扱者ができることを見ていきましょう。

1-1.危険物取扱者とは?

危険物取扱者は、消防法で定められた危険物を取り扱うことができる国家資格です。危険物取扱者には、甲種・乙種・丙種の3種類があります。危険物は、取り扱いを間違えると大きな事故につながり被害が拡大する恐れがあるため、取り扱いには専門知識が必要です。そのため、危険物を取り扱う際は、必ず危険物取扱者の資格が条件となります。

1-2.資格によって取り扱い可能な危険物の種類が異なる

危険物取扱者は、以下のように種類によって取り扱い・立ち会い可能な危険物の種類が異なります。

  • 甲種:すべての危険物の取り扱いや立ち会いが可能
  • 乙種:第1類~第6類までの危険物で資格取得済みのものに限り取り扱いと立ち会いが可能
  • 丙種:第4類の危険物のうちガソリン・灯油・軽油・第3石油類(重油・潤滑油・引火点130度以上のものに限る)・第4石油類および動植物油類の取り扱いが可能・立ち会いは不可能

なお、乙種がそれぞれ取り扱い可能な危険物については、以下を参考にしてください。

  • 乙種第1類:酸化性固体(塩素酸カリウム・過マンガン酸カリウム・次亜塩素酸ナトリウムなど)
  • 乙種第2類:可燃性固体(硫黄・赤リン・マグネシウムなど)
  • 乙種第3類:自然発火性物質および禁水性物質(ナトリウム・リチウム・黄リンなど)
  • 乙種第4類:引火性液体(ガソリン・灯油・軽油・エタノールなど)
  • 乙種第5類:自己反応性物質(ニトログリセリン・トリニトロトルエン・アジ化ナトリウムなど)
  • 乙種第6類:酸化性液体(過酸化水素・硝酸など)

2.危険物取扱者が就く職業について

危険物取扱者がどんな職業に就くことができるか、詳しく見ていきましょう。

2-1.どんな職業や職場がある?

危険物取扱者を取得すると、以下のような職場で働くことができます。

2-1-1.化学工場

危険物の製造工場や、原料に危険物を使用する工場では、危険物取扱者が必要不可欠です。それぞれの危険物の種類により、求める危険物取扱者の種類が異なります。乙種第4類以外の種類や甲種を取得することで、就職や転職に有利となるでしょう。

2-1-2.ガソリンスタンド

ガソリンスタンドでは指定数量以上のガソリン・軽油・灯油を取り扱っているため、甲種もしくは乙種第4類の危険物取扱者を置く義務があります。乙種第4類の危険物取扱者が立ち会い可能なことにより、セルフスタンドでもガソリンを取り扱うことができるのです。乙種第4類が人気なのは、ガソリンスタンドをはじめ、需要が特に高いからと言えます。

2-1-3.危険物貯蔵倉庫会社

危険物貯蔵倉庫会社でも、取り扱う危険物に応じて危険物取扱者を置くことになります。大量の危険物を安全に貯蔵するためには、正しい知識が必要です。大型免許を取得すれば、タンクローリーを運転し、倉庫への搬出入業務も可能になります。

2-1-4.石油会社

石油の製造や管理を行う会社では、甲種もしくは乙種第4類の危険物取扱者を必要とします。製造ラインや運搬業務などで、資格を生かした業務に就くことが可能です。

2-1-5.タンクローリーのドライバー

タンクローリーのドライバーも、危険物取扱者の資格が必要な職業です。ガソリンをはじめとする危険物を安全に輸送することが主な仕事となります。大型自動車免許も必要になるため、未取得の場合は取得しておきましょう。

2-2.適性や希望条件に合った仕事を選ぶ

危険物取扱者の職業は、以下のポイントチェックし、自分の希望に合ったものを選びましょう。面接で不明な点があるときは、きちんと確認しておくことが大切です。

  • 仕事の内容:資格を生かした仕事内容か
  • 勤務形態:昼間や夜間だけの勤務か・シフト勤務か
  • 休日:土日祝日休みか・土日祝日も交代制で出勤か
  • 給与・福利厚生:納得できる金額が得られるか・保険などの条件はどうか

なお、危険物取扱者の職業は、一定の危険を伴います。責任感を持って職務に当たることができる人が向いているでしょう。いい加減な気持ちで取り組むと事故やケガにつながります。自分に危険物取扱者としての適性があるか、じっくり考えてみてください。

3.危険物取扱者の就職や転職事情

危険物取扱者の資格取得のメリットや就職・転職事情を詳しく解説します。

3-1.就職や転職に有利などのメリットがある

危険物取扱者の資格取得には、以下のようなメリットがあります。

  • 就職・転職に有利
  • 年収アップにつながる
  • 専門性の高い仕事に就くことができる
  • 社内キャリアアップ・昇進に有利

3-2.危険物取扱者の就職・転職事情は明るい

危険物取扱者は、多くの企業から引く手あまたの資格です。大企業になるほど、危険物を取り扱う業務や機械が増えるため、社内に一定数の危険物取扱者を確保する必要があります。実際に、社員に危険物取扱者の取得をすすめる企業も多く、将来性の高い資格と言えるでしょう。求人数も安定しており、より条件のいい職場を求めて転職することも可能です。

4.危険物取扱者の資格取得方法

危険物取扱者の資格取得方法を詳しく解説します。

4-1.乙種・丙種には受験資格がない

乙種および丙種危険物取扱者には、受験資格がないため希望すれば誰でも受験することができます。甲種の受験資格については、以下を参考にしてください。

  • 大学・短大・高等専門学校などで化学に関する学科などを修めて卒業
  • 大学・短大・高等専門学校などで化学に関する科目を15単位以上習得済み
  • 乙種危険物取扱者を取得後、実務経験が2年以上
  • 乙種の中で次のうち4種類以上の免状を取得済み:
    ・第1類または6類
    ・第2類または第4類
    ・第3類
    ​・第5類
  • 修士・博士の学位を受け、化学に関する事柄を専攻した

なお、甲種の受験資格に関するより詳しい内容は、一般財団法人消防試験研究センターの危険物取扱者受験資格案内ページを参考にしてください。

4-2.試験は1~3か月に1回以上ある

危険物取扱者の試験概要は、以下のとおりです。

  • 試験日程:1~3か月ごとに1回以上
  • 受験地:全国47都道府県の一般財団法人消防試験研究センター支部
  • 受験費用:甲種6,500円・乙種4,500円・丙種3,600円
  • 申し込み方法:書面申請もしくは電子申請
  • そのほかの注意点:受験地は居住地以外でも選択可能

なお、より詳しい内容については、一般財団法人消防試験研究センターの試験案内ページを参考にしてください。

4-3.試験はマークシート方式の筆記試験だけ

危険物取扱者の試験内容は、以下を参考にしてください。

  • 試験時間:甲種2時間30分・乙種2時間・丙種1時間15分
  • 甲種試験科目:危険物に関する法令15問・物理学および化学10問・危険物の性質ならびにその火災予防および消火の方法20問
  • 乙種試験科目:危険物に関する法令15問・基礎的な物理学および基礎的な化学10問・危険物の性質ならびにその火災予防および消火の方法10問
  • 丙種試験科目:危険物に関する法令10問・燃焼および消火に関する基礎知識5問・危険物の性質ならびにその火災予防および消火の方法10問
  • 実地試験:なし
  • そのほかの注意事項:いずれもマークシート方式で、甲種と乙種は五肢択一式・丙種は四肢択一式

4-4.甲種と乙種第4類は4割弱の合格率

平成30年度に行われた危険物取扱者試験の合格率は、以下のとおりです。

  • 甲種:39.4%
  • 乙種:第1類66.5%・第2類69.3%・第3類69.5%・第4類39.3%・第5類66.4%・第6類63.6%
  • 丙種:52.6%

試験の合格基準は、全種類において各科目60%以上の得点率となります。受験資格が必要な甲種や人気の高い乙種第4類が約4割、丙種でも5割強の合格率です。半分程度の人は不合格と考えれば、決してやさしい試験とは言えません。難易度は、中程度と考えるのが妥当でしょう。

4-5.基本事項の暗記と過去問の活用がおすすめ

試験に合格する実力をつけ、正答率を高めるためには、通信講座などの教材による基本事項の暗記と、過去問の活用を並行して行うことがおすすめです。危険物取扱者試験は、マークシート方式による筆記試験だけであり、選択肢に必ず正解が含まれています。試験時間を有効に使うためには、分かる問題から確実にマークしていくことがコツです。分からない問題は後回しにし、最後に解きましょう。なお、出題形式に慣れ時間配分の感覚を身につけるためにも、過去問の活用は必要不可欠と言えます。過去問は、一般財団法人消防試験研究センターの過去に出題された問題ページからダウンロード可能です。

5.危険物取扱者の職業に関するよくある質問

最後に、危険物取扱者の職業に関する質問に回答します。それぞれ参考にしてください。

Q.実務未経験者が危険物取扱者として就職するコツは?
A.企業に入ったらやりたいことを具体的にアピールするといいでしょう。危険物取扱者として企業に貢献できることが伝われば、実務未経験者でも採用となる可能性が高まります。

Q.派遣社員やアルバイトでも危険物取扱者が必要?
A.必ずしも必要とは限りません。勤務先に甲種もしくは乙種取得者がいて立ち会いすれば、未取得者も危険物を取り扱うことができます。もちろん、資格取得をしたほうが望ましいことに越したことはありません。正社員を目指すなら、危険物取扱者の資格取得が武器になるでしょう。

Q.危険物取扱者として長く働くためには甲種を取得するべきか?
A.取得をおすすめします。甲種を取得したほうができることが多く、職業選択の幅が広がり、転職にも有利です。また、部下を持つ立場になったときにも役立つことでしょう。

Q.危険物取扱者で年収の高い企業の特徴は?
A.危険物取扱者の年収は、企業規模によるところが大きいのが特徴です。中小企業よりは大企業のほうが、同じ仕事内容・条件でも年収が高くなります。安定と高収入を目指すのなら、大企業への就職・転職がおすすめです。ただし、条件がいいだけに競争率が高くなることを承知しておきましょう。転職エージェントなどを活用し、非公開求人を紹介してもらうのもいい方法です。

Q.危険物取扱者の年収目安は?
A.平均年収は500万円程度が目安です。大企業の場合は、甲種取得者かつ実務経験が長い人で600万~700万円以上になることもあります。

まとめ

今回は、危険物取扱者の資格を生かした職業について詳しく解説しました。危険物取扱者を取得することで、危険物の取り扱いや立ち会いができるようになり、仕事の幅が広がります。また、上位資格を取得することで、昇進・昇給のチャンスが増えることでしょう。転職でよりいい条件の企業に移ることも夢ではありません。まずは、危険物取扱者試験に向けて、計画的に学習を進めてみてください。

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