冷凍機械責任者の役割と資格試験の難易度はどの程度?

冷凍機械責任者とは
どのような資格?
試験の難易度はどの程度?

冷凍機械責任者とは、高圧ガス製造保安責任者という資格の一種です。その名のとおり、冷凍に関わる高圧ガスを製造する施設において保安業務を行うことができる資格であり、業務用の冷蔵庫や冷凍庫のほか、業務用の空調の保安業務を行うことができます。知名度は決して高くありませんが、有資格者を求めている職場は豊富です。

そこで、今回は冷凍機械責任者の職務内容や種類・資格取得の方法を紹介しましょう。

この記事を読めば、冷凍機械責任者の試験対策についてもよく分かります。資格取得を目指している方も、ぜひ読んでみてくださいね。

01. 冷凍機械責任者の
基礎知識

はじめに、冷凍機械責任者の職務内容や有資格者を求めている職場などを紹介します。どのような職場に需要がある資格なのでしょうか?

冷凍機械責任者の定義

冷凍機械責任者とは、高圧ガス保安法に定められている、高圧ガス保安責任者の資格区分の一種です。

高圧ガスとは、圧縮ガスや液化ガスのことであり、私たちの生活に欠かせない都市ガスやプロパンガスも高圧ガスに分類されています。高圧ガスは、取り扱い方や保管方法を間違えると、爆発する危険性が高い危険な物質です。そのため、高圧ガス保安法によって高圧ガスの製造や販売・輸入・移動・貯蔵などは規制されています。

冷凍機械にも高圧ガスが使われており、大型なものは使われるガスの量も膨大です。そのため、冷凍機械責任者という資格が制定されています。なお、前述したように空調にも高圧ガスが含まれるので、業務用などの大型の空調は冷凍機械の一種に分類されるのです。

現在、空調は冷凍機械責任者の資格がなくても取り扱える製品が増えてきましたが、有資格者には高圧ガスの知識があるため、空調機械の保安監督業務を行う仕事に有資格者を求めるところは多いでしょう。

冷凍機械責任者の種類

冷凍機械責任者は、第一種から第三種まであります。第一種は、すべての冷凍機械で保安業務が可能です。第二種は、1日の冷凍能力が300t未満のもの、第三種は、1日の冷凍能力が100t未満の冷凍機械の保安業務を行うことができます。

冷凍機械責任者の職務

冷凍機械責任者の資格を活かして就職した場合、主に冷凍機械のメンテナンスや保守管理が通常の仕事になることが多いでしょう。また、第一種冷凍機械責任者の有資格者は、冷凍機械を製造する際の材料試験、耐圧試験・気密試験の検査員になることができます。そのため、冷凍機械の製造メーカーに就職しても、資格を活かして働くことができるでしょう。

なお、一定規模以上の冷凍設備を設置している施設では、冷凍機械責任者の有資格者の中から「冷凍保安責任者」を選任し、都道府県知事に報告することが義務づけられています。
冷凍保安責任者とは冷凍機械を保安監督する責任者であり、点検の立ち会いや、点検の結果の保管・無資格者が冷凍機械を運転する際の監督業務などが主な職務です。

冷凍機械責任者の資格を活かして仕事をする場合、冷凍保安責任者に選任されること多いでしょう。なお、冷凍保安責任者は、選任者が仕事ができなくなった時のことを考え、代理者も一緒に選任することが推奨されています。

有資格者を必要としている職場

冷凍機械責任者は、業務用の冷凍庫や冷蔵庫を設置してある会社はもちろんのこと、ビルメン(ビルメンテナンス業務)業界でも需要があります。また、百貨店やスーパーの冷蔵・冷凍ケースをまとめて管理している会社も、有資格者の需要が高いでしょう。

ちなみに、冷凍機械責任者の給与は300万円~で、上位の資格ほど給与がアップしやすくなります。そのため、第三種を取得した後、引き続き上位資格取得を目指して勉強に励む方も珍しくありません。

02. 冷凍機械責任者の
資格取得方法

この項では冷凍機械責任者の資格取得方法を解説します。受験資格などはあるのでしょうか?

資格を取得する方法

冷凍機械責任者の資格を取得するには、高圧ガス保安協会が主催している資格試験を受験し、合格する必要があります。なお、協会は講習会も同時に開催しており、講習会を受講すれば資格試験の一部が免除となりますので、資格を取得しやすくなるでしょう。

講習会は3日間かけて行われ、講習費用は15,700~20,500円です(電子申請した場合)。講習に受講資格は定められていません。学歴や性別・年齢にかかわらず誰でも受講することができ、修了試験に合格すれば試験の一部が免除されます。全く知識がない状態から試験に挑戦したいという方は、講習会に参加するのがおすすめです。なお、開催地や開催日程は協会のホームページを確認してください。

講習会が受講できない場合は、資格試験を全科目受験し、合格する必要があります。資格試験も受験資格は定められていません。

資格の難易度

冷凍機械責任者の試験に合格するには、

  • 第一種:大学の工学部を修了した程度の知識
  • 第二種:高等専門学校を修了した程度の知識
  • 第三種:工業高校を修了した程度の知識

が必要と言われています。いきなり第一種を受験しても構いませんが、知識がない状態で第一種の勉強を始めても、理解は難しいでしょう。講習会も同様です。ですから、文系の大学や専門学校などを卒業し、冷凍機械責任者の資格に挑戦する方は、第三種から取得を目指しましょう。

試験科目について

試験科目は、種類によって若干異なります。第一種・第二種は

  • 高圧ガス保安法に係る法令
  • 保安管理技術
  • 学識(応用化学・機械工学)

の3科目の試験です。第三種の試験には学識がありません。講習を受けた場合は、法令が試験免除となります。学識では計算問題が多く出題されるので、数学的なセンスも必要です。なお、第一種の学識試験だけ記述式になります(他はすべて択一式)。

合格率は、全科目を受験した場合30%~44%です。講習を受講した場合は70~80%ですので、講習を受講するメリットは大きいでしょう。特に、第三種を受験する方は講習を受講したうえで1科目だけ受験するのがおすすめです。

ちなみに、試験は6割以上の得点で合格になり、足切点や科目ごとの合格はありません。

試験の申し込み方法

試験の申し込みは、高圧ガス保安協会のホームページから電子申請を行う方法が便利です。平成29年度の試験概要はまだ発表されていませんが、例年通りですと11月に試験が行われ、1月に発表となります。
受験料は、第一種が12,400円・第二種が8,500円・第三種が7,900円です。これは電子申請を行った場合の値段であり、願書を送付する場合の受験料は協会のホームページを確認してください。

合格までのスケジュール

冷凍機械責任者の講習会は、毎年1,2月くらいに行われます。まだ、平成30年度の講習会スケジュールは発表されていませんが、高圧ガス保安協会のホームページを定期的に確認しておきましょう。講習を希望する方は、試験までかなり時間があるので、講習会の復習を忘れずに行ってください。

全科目受験をする方は、申し込みが8月くらいから行われますので、遅くとも申し込みを行ったら勉強を始めましょう。科目ごとの合格はありませんので、計画的に勉強をする必要があります。受験票が10月に届いたら、会場などの下見をしてもよいでしょう。

03. 冷凍機械責任者の
試験対策

この項では、冷凍機械責任者の試験対策について紹介します。ぜひ参考にしてください。

講習を受けてから試験を受ける場合

冷凍機械責任者の講習を3日間受講すれば、合格に必要な知識の大部分が身につきます。特に、大学や専門学校で工学系の学科を修了した方ならば、講習会の復習を行っていれば合格できるでしょう。テキストもついていますので、それを何度も読み返し、過去問題を解いて試験慣れをしていれば安心です。

独学で勉強する場合

冷凍機械責任者の試験を独学で全科目受験する場合は、書店などで参考書と過去問題集を購入し、勉強をしましょう。セーフティーマネージメントサービス株式会社(SMS)という会社でも、参考書を通信販売しています。第一種は、参考書が少ないので、この会社から購入してもよいでしょう。

第二種・三種の場合は、ナツメ社から刊行されている「トコトンわかりやすい! 第3種冷凍機械責任者試験 完全テキスト」や、オーム社から刊行されている「ゼロからはじめる2種冷凍試験」が人気です。

通信教材を利用する場合

冷凍機械責任者の参考書は数が少ないので、通信教材を利用しても良いでしょう。参考書を購入するよりも費用がかかりますが、模擬問題の解答を送付すれば、添削して送り返してくれます。また、メールで質問も受け付けてもらえるサービスを導入しているところもありますので、分からないところが出てきても安心です。

勉強のコツなど

全く知識のない状態から試験にチャレンジしたい場合は、講習を受講するのが一番おすすめの方法です。ただし、講習会の最後には修了試験があり、それに不合格になると試験が免除されません。ですから、受講する前に先にご紹介した参考書などを読んでおきましょう。そうしないと、文系の大学を卒業した方は、講習会についていけない可能性もあります。

試験勉強は、過去問を解くことを中心に行いましょう。参考書の内容を覚えたら、過去問題を解いて確認します。第二種・第一種は学識の計算問題がありますので、計算慣れをする意味でも過去問は重要です。時間の許す限り解いておきましょう。

試験は年に1回しかありませんので、確実に合格したい場合は講習会受講前から勉強を始め、受講後も知識を忘れないように復習しつづけることが大切です。仕事をしながら資格取得を目指す方は、通勤時間や昼休みも勉強時間にあてると時間を有効に使えます。

04. 冷凍機械責任者に関する
よくある質問

Q.冷凍機械責任者は、女性でも需要があるでしょうか?
A.はい。女性の有資格者は年々増加しており、活躍している方もたくさんいます。

Q.冷凍機械責任者の求人は、二種・三種がほとんどですがなぜでしょうか?
A.技術の進歩により、二種や三種の資格があれば大部分の冷凍機械は取り扱えるようになったためです。しかし、1種を取得していればより仕事の幅が広がるでしょう。

Q.平成29年度の講習は、まだ申し込めますか?
A.残念ながら、平成29年度の講習は終了しました。平成30年度以降の講習を受講しましょう。

Q.学生でも試験や講習を受けることはできますか?
A.問題ありません。

Q.講習を受講し、試験の一部が免除になった場合、免除期間はどのくらいですか?
A.有効期間はありません。試験を受け続ける限り免除されます。

05. 冷凍機械責任者
まとめ

いかがでしたか? 今回は、冷凍機械責任者の資格取得方法などを解説しました。資格を取得すれば、平均数千円の資格手当がつく職場も多いでしょう。また、転職にも役立ちます。特に、ビルメン業界に就職したい場合は、取得しておくと有利な資格です。学生でも取得できますので、工学部や工業高校に進学したら、夏休みなどを利用して勉強を行い、試験にチャレンジしてみるのもよいでしょう。

そのカテゴリーで訪れる価値のある場所
遠回りしてでも訪れる価値のある場所
そのために旅行する価値のある場所