公害防止統括者の職務や役割を解説!公害防止管理者との違いは?

公害防止統括者の
職務や役割を解説!
公害防止管理者との違いは?

公害防止統括者とは、20人以上の従業員が所属しており、ばい煙の発生が1日に4万立方m以上、かつ排水量が1日1万立法m以上の特定工場に選任が義務づけられている役職です。公害防止に関する資格としては、公害防止管理者や公害防止主任管理者がありますが、公害防止統括者はこれらを統括することが主な職務になります。

今回は、公害防止統括者の役割や選任方法・行政とのかかわりなどを解説しましょう。

この記事を読めば、公害防止対策のシステムもよく分かりますよ。公害防止管理者の資格取得を目指している方も、ぜひ読んでみてくださいね。

01. 公害防止に関する
基礎知識

公害って何?

公害とは、企業の活動によって排出されたばい煙・廃液・騒音・振動・ダイオキシン類が一般住民の生活に害を与えることです。昭和30年代後半から40年代にかけて、水俣病や四日市ぜんそくなど、全国各地で公害が発生しました。そのため、政府は1970年(昭和45年)に大気汚染防止法や水質防止法など公害を防止するための法律を制定します。企業内で公害防止活動をするために、特定工場内における公害防止組織の整備に関する法律も制定しました。この法律により、公害防止管理者や公害防止主任管理者という資格も作られたのです。

公害防止活動とは?

公害は一度発生すると、収束までに膨大な時間とお金がかかります。ですから、公害を発生させないように防止活動を行うことが大切です。現在、日本では

  • 製造業
  • ガス供給業
  • 電気供給業
  • 熱供給業

のいずれかの業務を行っており、

  • ばい煙
  • 粉じん
  • 汚水
  • 騒音や振動
  • ダイオキシン類

のうち、どれかを排出する設備を備えている施設を「特定工場」と定め、公害防止管理者の選任が義務づけられています。

公害防止管理者の職務

公害防止管理者は、

  • 大気関係(1種~4種)
  • 水質関係(1種~4種)
  • 騒音・振動関係
  • ダイオキシン類関係
  • 粉じん関係
  • 公害防止主任管理者

の13種類の区分がある資格です。有資格者は、定期的に水質や大気などの検査を行い、公害防止を目的とした活動を行います。
なお、公害防止主任管理者は、ばい煙の発生が1日に4万立方メートル以上、かつ排水量が1日1万立法メートル以上の施設に選任が義務づけられている資格です。

現在のところ、「取得すれば、どのような特定工場でも公害防止管理者として選任が受けられる」という資格は存在しません。職場で発生する公害の原因物質に合わせて資格を取得しましょう。

02. 公害防止統括者とは
どのような職務?

前項で、ばい煙の発生が1日に4万立方m以上、かつ排水量が1日1万立法m以上の施設(一定規模以上の特定工場)には、公害防止主任管理者の選任が義務づけられていると説明しました。公害防止統括者は、20人以上の従業員が所属している一定規模以上の特定工場に選任が義務づけられている役職です。

公害防止管理者や公害防止主任管理者は、有資格者しか選任を受けることはできません。しかし、公害防止統括者は無資格でも選任を受けることができます。ただし、工場長など従業員を統括できる立場にある方を選任することが一般的です。

公害防止統括者は、公害防止主任管理者や公害防止管理者を統括し、公害防止組織のトップとして公害防止活動を行います。なお、公害防止統括者を選任したら30日以内に都道府県知事あてに届け出を提出する必要があるので、忘れないようにしましょう。提出する書類は自治体によって異なりますので、詳しくは各自治体のホームページなどを確認してください。

公害防止統括者が職務を全うしていないと判断された場合は、その任を解かれます。一度任を解かれた方はその後2年間は公害防止統括者の選任を受けることはできません。

03. 公害防止管理者の
資格取得方法

この項では、公害防止管理者の資格取得方法を紹介します。ぜひ参考にしてください。

資格取得の方法

公害防止管理者および公害防止主任管理者の資格を取得する方は、産業環境管理協会が主催する試験に合格するか、認定講習を受講して修了試験に合格する必要があります。
認定講習は、技術士・薬剤師・衛生工学衛生管理者・ボイラー技士など一定の資格と公害防止に関する実務経験が必要です。講習を受講したい方は、協会に仮審査を申し込みましょう。審査に合格すれば講習を受けることができます。

資格試験は、受験資格が定められていません。性別・年齢・学歴・職歴問わずに受験可能です。試験は3科目~6科目の学科試験で、科目合格が認められています。1科目6割以上の得点で合格となり、3年間ですべての科目を合格すれば資格取得が可能です。合格率は資格区分によって異なりますが、平均で26%前後と国家資格の中では高くなっています。ただし、決して難易度が低いわけではありません。しっかり勉強しましょう。

なお、特定の資格を取得していたり、すでに公害防止管理者の資格を取得している方が別の資格区分を受験する場合は、試験科目の一部が免除になります。条件が複雑ですので、協会のホームページをよく読んで確認しましょう。

試験の申し込み方法

公害防止管理者の試験は毎年1度、10月に行われます。平成29年度は10月1日に実施されるので覚えておきましょう。申し込み方法は願書に必要事項を記入して、協会あてに郵送します。願書は協会や各自治体の環境課などで配布されており、郵送も行っていますので必要ならば申し込みましょう。電子申請は行っていません。受験料は6,800円の資格区分と6,400円の資格区分があります。ですから、申し込む際によく確認してください。

試験は全国10か所程度で行われますので、遠方の方は宿泊場所も確保しておきましょう。

勉強方法

公害防止管理者の試験勉強は、産業環境管理協会を活用しましょう。直前講習や通信講座、参考書や過去問題集の販売もおこなっています。アプリやeラーニングも販売していますので、自分に合ったものを購入するとよいですね。

仕事と受験勉強を両立させたい方は、1日30分でいいので勉強をしましょう。週末まとめて勉強するよりも、そちらの方が知識が身につきます。参考書・アプリ・eラーニングと、自分に合っている勉強方法を見つけることも大切です。

04. 公害防止統括者に対する
よくある質問

Q.従業員20名の中で、パートが18名ですが公害防止統括者の選任は必要ですか?
A.一定規模以上の特定工場ならば選任が必要になります。雇用形態は問いません。

Q.公害防止統括者に役職についていない社員を選任してもよいでしょうか?
A.どうしても役職がない方を選任しなければならない理由がない限り、やめてください。

Q.公害防止統括者は、公害防止に対する知識が全くなくても大丈夫ですか?
A.資格を取得しておく必要はありませんが、知識は身につけておきましょう。

Q.公害防止統括者は実際に公害防止のための検査などは行わないのでしょうか?
A.基本的に活動を行うのは公害防止管理者です。統括者は、公害防止管理者から意見を聞いて公害防止活動の方針を決めたりします。

Q.公害防止統括者の性別は男女どちらがよいでしょうか?
A.どちらでもかまいませんが、割合としては男性が多くなっています。

05. 公害防止統括者
まとめ

いかがでしたか? 今回は公害防止統括者について解説しました。統括者の選任が必要な職場は、かなり大規模な工場です。公害防止管理者も複数いる可能性があります。また、公害防止統括者だけは、2か所の工場の責任者を兼任している場合は公害防止統括者も兼任が可能です。公害防止管理者・主任管理者ともに公害防止活動を行う大切な役職なので、選任も慎重に行いましょう。

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