公害防止主任管理者とは、特定工場の中でばい煙の発生が1日に4万立方m以上、かつ排水量が1日1万立法m以上の施設に選任が義務づけられている資格です。公害防止管理者を統括し、指示をする役目を担うことができます。大規模な工場ほど需要が高いので、資格を取得しておくと転職などにも役立つことでしょう。
今回は、公害防止管理者の資格を取得する方法について解説します。
この記事を読めば、公害防止主任管理者になるための方法や資格の活用方法などもよく分かることでしょう。公害防止管理者の資格の資格取得を目指している方も、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。
01. 公害防止主任管理者の
基礎知識
はじめに、公害防止主任管理者の資格を取得すると行える職務や、公害防止管理者との違いについて解説します。どのような資格なのでしょうか?
公害防止管理者とはどのような資格?
公害防止管理者とは、
- 製造業
- ガス供給業
- 電気供給業
- 熱供給業
の内、いずれかの業務を行っており、
- ばい煙
- 粉じん
- 汚水
- 騒音・振動
- ダイオキシン類
のどれかを排出する設備を備えている工場に、選任が義務づけられている資格です。ちなみに、公害防止管理者の選任が義務づけられている工場を「特定工場」といいます。特定工場の条件を備えていれば、排出する量に関係なく有資格者の選任が必要です。公害防止管理者は、公害の発生を未然に防ぐために、特定工場の水・周辺の大気・ダイオキシン類・粉じんなどを定期的に検査し、基準値を超えている場合は対策を取らなければなりません。
なお、公害防止管理者は、大気関係・水質関係・騒音と振動・ダイオキシン類・粉じんと13種類の区分があるので、職場で必要とされる資格を取得しましょう。現在のところ、「これを取得すればすべての公害を防止するための活動を行える」という資格区分はありません。
公害防止主任管理者とはどのような資格?
公害防止主任管理者とは、特定工場の中でもばい煙の発生が1日に4万立方m以上、かつ排水量が1日1万立法m以上の施設に選任が義務づけられている資格です。このような特定工場を、「一定規模以上の特定工場」といいます。一定規模以上の特定工場には複数の公害防止管理者が選任されますので、公害防止主任管理者は、管理者を統括して指導するのが主な職務になるでしょう。
また、一定規模以上の特定工場でなおかつ従業員が20人以上所属している施設では、公害防止統括者の選任が必要です。公害防止統括者が選任されている施設では、公害防止主任管理者が統括者の補助も行います。公害防止統括者を頂点とし、公害防止主任管理者と公害防止管理者からなる組織を公害防止組織と言い、主任管理者が指揮を取って公害防止の活動を行うのです。また、公害防止統括者の選任が必要のない施設では、公害防止主任管理者が公害防止組織のトップに立ちます。
なお、公害防止管理者・公害防止主任管理者が選任されたら、すぐに都道府県に氏名と資格区分を届けなければなりません。
公害防止主任管理者の権限
公害防止主任管理者は、役職に言い換えると部長もしくは課長の職務に就くような方が選任されることを想定しています。ですから、有資格者であっても入社したての方が選任されることはまれでしょう。ただし、何年も公害防止管理者として経験を積んだ方が、その実績をかわれて公害防止主任管理者として転職することもあります。公害防止管理者より強い権限があり、施設によっては、経営者に公害防止にかんする意見を述べ、改善を促すこともあるでしょう。
02. 公害防止主任管理者に
選任される方法
公害防止主任管理者の選任を受けるには、公害防止主任管理者の資格を取得する必要があります。この項では、その方法を解説しましょう。
公害防止主任管理者の資格を取得する方法
公害防止主任管理者の資格を取得する方法は、2つあります。1つは、産業環境管理協会が主催する資格試験を受けて合格すること。もう1つが公害防止管理者の資格区分である、大気関係第1種か第3種と水質関係第1種か第3種を取得することです。つまり、公害防止管理者の資格区分のうち、大気と水質の両方の資格を取得すれば、自動的に公害防止主任管理者の資格もついてきます。
公害防止主任管理者になる方法
公害防止主任管理者の選任が必要な職場は、ばい煙が発生する設備と排水設備がある施設です。ですから、公害防止管理者を統括するならば、大気関係と水質関係の公害防止に対する知識があった方がよいでしょう。なお、公害防止主任管理者の試験には、受験資格が定められていません。性別・学歴・年齢を問わずに受験ができます。
そのため、公害防止主任管理者の資格だけを取得することも可能です。しかし、主任管理者の資格だけを取得しても職務をスムーズに行うことは難しいでしょう。公害防止管理者のいずれかの資格区分を取得した後で、公害防止主任管理者の資格を取得した方がよいですね。また、大気関係第1種か第3種と水質関係第1種か第3種を取得すれば、公害防止管理者と主任管理者のどちらでも働くことができます。
公害防止主任管理者の試験科目
公害防止主任管理者の試験科目は、
- 公害総論
- 大気・水質概論
- 大気関係技術特論
- 水質関係技術特論
の4科目、65問です。大気関係や水質関係の資格を取得していれば、公害総論など資格の一部が免除になります。1科目6割以上の得点で、合格です。公害防止主任管理者の資格試験は科目合格が導入されており、4科目すべてを3年以内に合格すれば資格取得できます。
認定講習について
技術士や計量士・薬剤師など特定の資格を取得して一定期間公害防止管理の実務経験を積んでいれば、産業環境管理協会が主催する認定講習を修了し、大気関係1種・3種や水質関係1種・3種の資格を取得できます。資格によっては、認定講習で大気関係と水質関係の公害防止管理者資格を取得することが可能です。認定講習の受講資格がある資格について詳しいことは、協会のホームページを確認してください。受講希望者は、協会に願書を出して仮申請をしましょう。それが通れば認定講習を受けることができます。
試験の申し込み方
公害防止主任管理者の試験は、毎年10月に開催されます。平成29年度は10月1日です。産業環境管理協会が現在願書を配布していますので、希望する方は配送してもらいましょう。配布している場所をホームページで確認し、自分で取りに行ってもかまいません。電子申請は受け付けていないので注意しましょう。すでに公害防止管理者の資格を持っている場合は、試験の一部が免除になることがあります。詳しくは協会のホームページを確認してください。
試験会場は、札幌・仙台・東京・愛知・大阪・広島・高松・福岡・那覇で行われます。試験会場は、移動することもあるので受験票をよく確認してください。遠方の方は宿泊場所も確保しておきましょう。受験料は6,800円です。
03. 公害防止主任管理者の
受験勉強方法
公害防止管理者及び主任管理者の受験勉強は、産業環境管理協会が主催している通信講座や受験講習会を利用しましょう。参考書や過去問題集も協会から発行されています。市販の参考書もありますが、協会が作成しているものが最もおすすめです。スマートフォン向けのアプリやeラーニングも販売していますので、スマートフォンを使っても勉強できます。
仕事と受験勉強を両立させている方は、通勤時間や休み時間などの隙間時間を使って勉強するのもおすすめです。公害防止主任管理者の試験は、参考書を読んで過去問を解くことをくり返せば大丈夫でしょう。近年の合格率は33.7%と、国家資格の中では平均的な合格率です。しっかり勉強していれば一発合格も可能でしょう。
04. 公害防止主任管理者に関する
よくある質問
Q.公害防止主任管理者は、一定規模以上の特定工場以外に選任義務はないのでしょうか?
A.はい。ありません。
Q.公害防止主任管理者と公害防止管理者を兼ねることはできますか?
A.いいえ。できません。
Q.公害防止管理者の試験は、一度に複数の資格区分を受験することは可能ですか?
A.試験日が1日しかないので、同時受験はできません。
Q.公害防止主任管理者の選任を受けたら、昇給は期待できるでしょうか?
A.資格手当が増える会社も多いと思います。
05. 公害防止主任管理者
まとめ
いかがでしたか? 今回は公害防止主任管理者の選任条件や取得方法を解説しました。特定工場にすべて必要な資格ではありませんが、取得しておけばいろいろと便利です。大気関係か水質関係の資格を取得している方は、もう1つ資格を取得して主任管理者の資格を取得しておくとよいでしょう。転職にも役立ちます。