ボイラー技士の資格に将来性はあるのか? 取得方法についても解説!

ボイラー技士は、ボイラーを安全に稼働させるために重要な役割を担う国家資格です。ビル・工場・商業施設などボイラーを設置しているさまざまな場所で活躍できます。資格を取得すれば、転職や就職にも有利になるでしょう。本記事では、そんなボイラー技士の将来性や資格取得の方法などについて解説します。

  1. ボイラー技士の概要を知ろう!
  2. ボイラー技士に将来性はあるのか?
  3. ボイラー技士の資格取得方法は?
  4. ボイラー技士取得のための勉強法
  5. ボイラー技士に関してよくある質問

この記事を読むことで、ボイラー技士の将来性や資格取得方法などが分かります。取得を考えている方は、ぜひチェックしてください。

1.ボイラー技士の概要を知ろう!

まずは、ボイラー技士がどのような資格なのか把握しておきましょう。

1-1.ボイラー技士はボイラーを安全に稼働させるための資格

ボイラー技士は、労働安全衛生法に基づく国家資格の1つです。そして、ボイラーを安全に稼働させるために必要な保守点検が行える資格でもあります。ボイラーは、学校・工場・ホテル・病院・オフィスビル・商業施設などさまざまな場所で使われているものです。高温・高圧の蒸気や温水が発生するので、正しく扱い保守点検を行わなければ爆発・破裂などの危険があります。不備で事故が起きると大変な事態になるでしょう。事故を防止するためには、ボイラーに関する知識を持っている有資格者が扱わなければならないのです。

1-2.ボイラー技士の区分は特級・一級・二級

取り扱うことができるボイラーの種類によって、ボイラー技士の区分が特急・一級・二級の3つに分かれています。それぞれの区分で扱えるボイラーは以下の通りです。

  • 特級ボイラー技士:すべての規模のボイラー
  • 一級ボイラー技士:伝熱面積の合計が500㎡未満(貫流ボイラーのみを取り扱う場合、その伝熱面積の合計が500㎡以上を含む)
  • 二級ボイラー技士:伝熱面積の合計が25㎡未満

小規模・小型ボイラーは資格を取得しなくても取り扱いができますが、中規模・中型ボイラーを扱うなら二級、大規模・大型ボイラーは一級の資格が必要です。

1-3.ボイラーの操作・点検・安全管理が主な仕事

ボイラー技士の主な仕事は、ボイラーの操作・点検および安全管理です。ボイラーは、正常に稼働しているか、不具合や不備が起きていないかなど細部までチェックしなければなりません。保守点検を怠ると事故が起きやすく、非常に危険な状態になります。ボイラーの異常を早期に見つけ、事故を未然に防ぐことが大切な業務です。また、建物の空気調節や水の管理も行います。

1-4.ボイラー技士の主な職場は病院・学校・工場などさまざま

私たちの生活に必要不可欠なボイラーは、あらゆる場所に設置されています。たとえば、病院・学校・工場・オフィスビル・銭湯などです。ボイラーがある場所が職場となりますが、所属する会社はビルメンテナンス会社・不動産・工場・プラント建設会社・ホテルなどたくさんあります。ボイラー技士の区分によって就職先が異なるため、注意が必要です。

2.ボイラー技士に将来性はあるのか?

ボイラー技士に将来性はあるのでしょうか。ここでは、現在の求人傾向や需要などについて解説します。

2-1.ボイラー技士の需要は安定傾向

最近、ボイラー技士の資格がなくても扱える熱源設備が普及していますが、法的に資格が不要な設備でも有資格者を求める傾向は根強いものがあります。ボイラーはどこにでもある設備なので、有資格者を必要としている企業はたくさん存在しているのです。しかし、求人数は地域差があります。オフィスビルや商業施設が多くある人口密度が高い地域ほど、ボイラー技士の需要が高まるでしょう。

2-2.平均給料は年収300万~400万円台

ボイラー技士の平均年収は、約300万~400万円台です。一般的なサラリーマンの平均年収が約400万円なので、それほど高くはありません。けれども、大企業などで管理職に就くと年収が600万円台になる可能性もあります。ボイラー技士の年収は、就職先によって大きく変わるのです。できるだけいい条件の求人を見つけたい方は、すべてのボイラーが扱える特級を取得することをおすすめします。

2-3.資格取得のメリットは全部で3つ

ボイラー技士の資格を取得するメリットは主に3つあります。それぞれについて詳しくチェックしておきましょう。

2-3-1.資格手当が基本給に加算される

1番のメリットといえるのが、資格手当が支給されることです。ボイラーを設置している建物では必要な資格なので、有資格者に基本給+資格手当を支給するところがほとんどでしょう。資格手当の額は企業で異なりますが、およそ3,000円~です。大企業ほど資格手当の額も大きくなります。

2-3-2.就職・転職に有利になる

資格が必要ないボイラーを設置している企業でも、なるべく有資格者を採用する傾向があります。大規模・中規模のボイラーを設置している建物は、ボイラー技士を必ず置かなければなりません。そのため、資格を取得しておけば、就職先の選択肢が広がり、上位資格ほど働きたい職場に就けるでしょう。

2-3-3.定年後も仕事が続けられる

一般的な企業は60歳の定年で退職することになりますが、ボイラー技士は定年後でも仕事を続けることができる資格です。体に負担がかかるような仕事ではないため、定年後に資格を取得する方もいます。ただし、一級ボイラー技士の仕事はほかの資格種類よりも危険度が増すので要注意です。

3.ボイラー技士の資格取得方法は?

それでは、ボイラー技士の資格はどのように取得すればいいのでしょうか。

3-1.受験資格は区分で違う

ボイラー技士の受験資格は、特級・一級・二級で異なります。

3-1-1.特級(次のいずれもの要件を満たす者)

  • 一級ボイラー技士の免許を有する者
  • 学校教育法による大学、高等専門学校でボイラーに関する講座又は学科目を修めて卒業した者。その後2年以上の実地修習を経たもの
  • 熱管理士免状(エネルギー管理士(熱)免状も該当)を有するもので、2年以上の実地修習を経たもの
  • 海技士(機関1・2級)免許を有するもの
  • ボイラー・タービン主任技術者(1種・2種)の免状を有するもので、伝熱面積の合計が500㎡以上のボイラーの取扱い経験者

3-1-2.一級

  • 二級ボイラー技士の免許を有する者
  • 学校教育法による大学、高等専門学校、高等学校等でボイラーに関する学科を修め卒業した者で、その後1年以上の実地修習を経たもの
  • 熱管理士免状(エネルギー管理士(熱)免状も該当)を有する者で、1年以上の実地修習を経たもの
  • 海技士(機関3級以上)免許を有するもの
  • ボイラー・タービン主任技術者(1種・2種)の免状を有する者で、伝熱面積の合計が25㎡以上のボイラーの取扱い経験者
  • 保安技術職員国家試験規則による汽かん係員試験に合格した者で、伝熱面積の合計が25㎡以上のボイラーの取扱い経験者

3-1-3.二級

  • 受験資格なし

また、受験資格があり試験に合格したとしても、免状交付要件を満たさなければ有資格者にはなれません。試験合格のほかに、各資格とも実務経験が必要となります。詳細は、一般社団法人 日本ボイラ協会のホームページをご覧ください。

3-2.特級は年1回、一級は年7回、二級は月1回試験が行われる

ボイラー技士の試験日時は、特級が年に1回、一級が年に7回程度、二級が月に1回程度です。北海道・東北・関東・中部・近畿・中国四国・九州と各地の安全衛生技術センターで試験を行っています。それぞれ地域で試験日程と開催頻度が異なるので注意してくださいね。詳細は、安全衛生技術試験協会のホームページを確認しましょう。

3-3.受験料は全共通6,800円、申し込み方法は郵送または持参

ボイラー技士の受験料は、全種類共通で6,800円(非課税)です。申し込み方法は、希望地の安全衛生技術センターに申請書を郵送するか窓口へ持参することになります。インターネットでの受付はないので注意してくださいね。また、申し込みは指定の書式を使用しましょう。

3-4.全4科目で特級と一級は試験時間が4時間、二級は3時間

ボイラー技士の試験内容は、特級・一級・二級すべて同じ科目です。全部で4科目、特級は各科目1時間で合計4時間、一級は午前と午後で合計4時間、二級は3時間の試験となります。また、実地試験はありません。以下の科目さえ押さえておけば、試験対策ができるでしょう。

  • ボイラーの構造に関する知識
  • ボイラーの取り扱いに関する知識
  • 燃料および燃焼に関する知識
  • 関係法令

また、各科目10問で100点満点となります。

3-5.難易度は上位資格ほど高い

ボイラー技士の難易度は、上位資格ほど高い傾向があります。特急の合格率は約20~30%、一級・二級は約50~60%です。最上級の資格となる特級はすべてのボイラーが取り扱える資格なので、試験範囲が幅広いですが、実務経験を重ねた上で試験を受けるので勉強すれば取得できるでしょう。

4.ボイラー技士取得のための勉強法

ボイラー技士取得のための勉強法を紹介します。

4-1.独学・スクール通学・通信講座

主な勉強方法は、独学・スクール通学・通信講座の3つがあります。時間の自由が利き、スケジュール通りに勉強できる人なら独学でも構いません。経済面に余裕があれば、スクールに通いながら学ぶのも方法の1つです。しかし、仕事をしながら通うのは大変でしょう。そんなときは、自分の好きな時間に勉強できる通信講座がおすすめです。ライフスタイルに合った勉強法を選んでくださいね。

4-2.毎日コツコツ勉強する

試験に合格するためには、毎日コツコツと勉強することが大切です。合格率が高い一級・二級でも一夜漬けで合格できる試験内容ではありません。毎日数分でもいいので、勉強を続けてください。また、自分にとって理解しやすいテキストを選ぶことも大切なポイントです。

4-3.参考書→過去問の流れをくり返す

参考書またはテキストで基礎知識を身につけたら、過去問を解いてみましょう。過去問で分からないところや間違った問題は、もう1度、参考書を読んで確かめてください。理解できるまで何度も参考書を読み込むことが大切です。参考書は数冊用意するよりも1冊だけ購入し、何度も読み込んだほうが必要な内容を頭の中に入れることができますよ。

5.ボイラー技士に関してよくある質問

ボイラー技士に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.ボイラー技士資格が役立つ仕事は?
A.ビルメンテナンスを行うために必要な資格として、二級ボイラー技士があります。二級ボイラー技士は、伝熱面積の合計が25㎡未満のボイラー取扱作業主任者になることができるので、ビルメンに役立つ資格です。

Q.ボイラー実技講習とは?
A.ボイラー取り扱いの実務経験を持っていない人が、二級ボイラー技士免許の交付を受ける場合に必要となる法廷講習のことです。二級の資格試験に受験資格はありませんが、免許の交付を受けるためには実務経験が必要となります。ボイラー実技講習の日程は3日間で、都道府県労働局長登録講習機関が定期的に開催している講習です。

Q.二級だけでは就職が難しいのか?
A.正直、二級ボイラー技士だけでは就職は困難でしょう。絶対に就職できないわけではありませんが、条件がいい求人では採用されにくい傾向があります。ボイラー技士として働き続けたい方は、第一級または特級の取得を目指してください。

Q.ボイラー技士試験の合格基準は?
A.総得点が満点中60%以上、各科目が満点中40%以上の得点率が合格基準です。総得点をクリアしていても、1科目でも40%以下になると合格できません。全科目が40%以上の得点率になるよう勉強することが大切です。

Q.テキスト・参考書の選び方は?
A.試験の重要ポイントが記載されているかチェックしてください。特に、仕事で忙しく勉強時間がない方は、試験のポイントだけを押さえることで合格に近づけます。

まとめ

ボイラー技士の資格は、特級・一級・二級と扱えるボイラーの伝熱面積によって異3つの区分に分かれています。近年は、資格なしでも扱えるボイラーを設置するところが増えていますが、保守点検が必要な大・中規模のボイラーがある施設は必ず有資格者を置かなければなりません。必須の資格となるため、ボイラー技士の上位資格は将来性があります。

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