ボイラー技士の資格は、就職や転職に有利に働くという理由から、最近人気が急上昇しています。企業で使用するボイラーの取り扱いは、専門知識を持った人材が行うことで安全に進めることができるからです。今回は、今注目のボイラー技士の資格を取りたい人のために、資格試験合格のコツを中心に知っておくべきことをまとめました。資格取得を目指す人には、必見の内容ですよ。
記事を読むことで、ボイラー技士について深く理解し、資格試験合格のコツもつかむことが可能です。本気で資格取得を望む人には、損になる内容はありません。合格するためには、何よりも資格について理解することが大切です。まずは、最後までじっくり目を通してください。
01. ボイラー技士って
どんな仕事?
最初に、ボイラー技士資格の基本を確認しておきましょう。種類や職務など、知っておくべきことを解説します。
ボイラー技士とは?
ボイラー技士とは、建物や施設において空調および温水ボイラーを操作する資格を有する者のことです。ボイラーを取り扱うためには、労働安全法に基づく国家試験に合格するか、規定の講習を受ける必要があります。ただし、取り扱うことができるボイラーの種類は、資格の種類によって異なるので注意しましょう。
ボイラー技士の種類を解説
ボイラー技士には、4つの種類があります。
- 特級ボイラー技士:すべての規模のボイラー取扱作業主任者となることができる
- 一級ボイラー技士:伝熱面積の合計が500平方メーター未満のボイラー取扱作業主任者となることができる
- 二級ボイラー技士:伝熱面積の合計が25平方メーター未満のボイラー取扱作業主任者となることができる
- ボイラー取り扱い機能講習終了者:小規模ボイラーに限り取扱作業責任者となることができる
種類によって、取り扱うことができるボイラーの規模が異なります。より大規模のボイラーを取り扱うためには、上級資格の取得を目指しましょう。ボイラー取り扱い機能講習終了者に限っては、国家試験を受ける必要はありません。
ボイラー技士の職務は?
- ボイラーを安全かつ確実に操作すること
- ボイラー設備の点検・保守を行うこと
ボイラーは、高温になる性質があるため、間違った取り扱いは大きな事故につながりやすくなります。ボイラーの危険性をきちんと理解し、安全に業務を進めることが大切な職務となるのです。
ボイラー技士に関連する資格について
ボイラー技士に関連する資格としては、次の2つがあります。
- ボイラー整備士: ボイラーの整備を行うことができる国家資格
- ボイラー溶接士:ボイラーの溶接を行うことができる国家資格で、特別ボイラー溶接士と普通ボイラー溶接士の2種類がある
ボイラー技士の資格取得を考えている人は、ボイラー整備士やボイラー溶接士の取得も考えてみましょう。業務範囲が広がりますよ。
02. ボイラー技士の職場や
就職について
ボイラー技士の職場や就職について解説します。資格取得後は、どのような職場で働くことになるのかなどを知ってください。
ボイラー技士の主な職場について
- ビル管理会社
- ビル設備会社
- 建設会社
- プラント建設会社
- 工場
- 温泉施設
- 病院
ボイラーを使用している企業や施設は想像以上に多いものです。そのため、職場を探すときは業種を超えて幅広く探すといいでしょう。
ボイラー技士の就職や求人はどう?
ボイラー技士は国家資格であり、ボイラーの取り扱いに欠かすことができません。そのため、就職状況は明るく、求人数は比較的多いと言えます。また、中高年世代にも広く門戸が開かれているため、転職や再就職にも有利です。将来を考え長く働きたいと考えたときに、ボイラー技士の資格は必ず役に立つでしょう。
03. ボイラー技士の
資格について
ボイラー技士の資格について学びましょう。資格取得のメリットや難易度・合格率にも触れます。
ボイラー技士の資格概要
ボイラー技士は、労働安全法に基づく国家資格です。資格取得のためには、国家試験に合格する必要があります。国家試験合格で取得できるのは、特級・一級・二級の3種類です。3種類の中では、二級が最下位資格となるため、まずは二級の取得から挑戦するといいでしょう。
ボイラー技士の資格取得のメリット
ボイラー技士資格を取得すると、以下のようなメリットを得ることができます。
- ボイラーの取り扱いが可能になって仕事の幅が広がる
- 就職・転職・再就職に有利になる
- 昇給・昇進に有利になる
ボイラーを取り扱う企業にとって、ボイラー技士は貴重な人材となります。就職難の時代であっても、安定した条件で仕事ができるでしょう。
ボイラー技士試験の難易度や合格率について
- 特級ボイラー技士:2割から3割程度
- 一級ボイラー技士:5割から6割程度
- 二級ボイラー技士:5割から6割程度
やはり、難易度が高い特級ボイラー技士の合格率が最も低くなっています。そのほかの種類でも、約半数が不合格と考えると甘くありません。
04. ボイラー技士の
資格取得について
ボイラー技士の資格取得について解説します。受験資格や試験概要など、重要な内容ですからしっかり確認してください。
ボイラー技士の受験資格
資格の種類ごとの受験資格については、下記をご覧ください。
- 特級ボイラー技士:一級ボイラー技士免許を受けた者など5区分
- 一級ボイラー技士:二級ボイラー技士免許を受けた者など6区分
- 二級ボイラー技士:受験資格は特に無し
二級は、誰でも受験することができます。実務経験が無い人でも、資格試験を受けて合格することが可能です。ただし、免許を申請するためには実務経験を積むか、規定の実技講習を受ける必要があります。なお、特級と一級の受験資格に関して詳しいことは、下記を参考にしてください。
ボイラー技士の試験概要
ボイラー技士の試験概要を確認して、忘れずに申し込むようにしましょう。
- 試験日時:特級は年に1回・一級は年に7回程度・二級は毎月1回程度
- 試験場所:安全衛生技術センター各支部(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国四国・九州)
- 受験料:6,800円(種類問わず)
- 申し込み方法:受験希望地の安全衛生技術センターに受験申請書を直接持参するか郵送する
- そのほかの注意点:受験申請書は所定の書式を使用すること
より詳しい試験概要に関しては、下記を参考にしてください。
公益財団法人安全衛生技術試験協会の受験申請から資格の取得まで解説ページ
ボイラー技士の試験内容
試験内容に関しては、下記を参考にしてください。
- 試験科目:各種類とも4科目(ボイラーの構造に関する知識・ボイラーの取り扱いに関する知識・燃料および燃焼に関する知識・関係法令)
- 試験時間:特級は各科目1時間の合計4時間、一級は午前と午後で合計4時間、二級は4科目で合計3時間
- 実地試験:無し
なお、各種類とも試験は筆記試験だけとなり、実地試験はありません。
ボイラー技士の試験に関する注意点
ボイラー技士の試験は、マークシート方式の筆記試験となります。せっかく解答が合っているのにもかかわらず、マークの仕方が悪いと機械が読み取ることができません。解答は、きちんと指定通りにマークしましょう。また、わからない問題でも空欄にしないでください。わからない問題に関しては、とりあえず解答をしておき、すべての問題を解き終わった後で再度考えるようにしましょう。なるべくわかる問題を先に解いて、わからない問題は後回しにすることも、得点力を上げるコツです。
05. ボイラー技士の
実技講習について
ボイラー技士の実技講習について、理解しておきましょう。概要・内容・申込先などについて解説します。
ボイラー技士の実技講習について
ボイラー技士の実技講習は、二級ボイラー技士試験を受験しようとする人もしくはすでに受験して合格している人で、実務経験が無い人のために実施しています。二級ボイラー試験は受験資格が無いため、誰でも受験可能です。しかし、試験に合格しても免許を申請するためには実務経験が必要になります。そこで、二級ボイラー技士試験を受ける条件を満たすために、実技講習が存在しているのです。
ボイラー技士の実技講習の概要
- 申し込み方法:各都道府県の指定会場へ窓口・郵送・FAXにて申し込み
- 講習日程:平日の 3日間で合計20時間、月に1回から2回程度開催
- 講習場所:全国47都道府県の指定会場にて実施
- 受講料金:東京都の場合は21,600円(各都道府県により異なる)
より詳しい内容については、下記をご覧ください。
ボイラー技士の実技講習の内容
ボイラー技士の実技講習は、下記の5科目の内容で進めていくことになります。
- 点火:60分
- 燃焼の調整:420分
- 附属設備および附属品の取り扱い:360分
- 水処理および吹き出し:60分
- 点検および異常時の処理:300分
実際には、2日間の学科講習と1日間の実地講習です。なお、講習を終えると、ボイラー実技講習修了証を受け取ることができます。免許を申請するときに必要になるので、大切に保管してください。
ボイラー技士の実技講習の申込先について
ボイラー技士の実技講習を受けたい人は、受講を希望する都道府県の一般社団法人日本ボイラ協会支部に申し込みましょう。実際の講習日程や料金を知りたいときも、同様です。詳しくは、下記を参考にしてください。
06. ボイラー技士の
勉強法について
ボイラー技士試験に合格するためには、効率よく学習することが大切です。学習のコツやおすすめの参考書のほか、過去問などについてもご紹介しましょう。
ボイラー技士の学習方法のコツ
ボイラー技士の資格試験に合格するには、何より計画的に学習を進めることが大切です。働きながらの取得を目指している人は、毎日のすき間時間を使うことをおすすめします。たとえば、仕事から帰ってすぐの20分や、通勤電車の中の10分でも構いません。毎日コツコツ続けることが、合格レベルの知識につながるのです。また、苦手分野から逃げずにきちんと対策を取りましょう。苦手分野の克服には、市販の参考書などが役に立ちますよ。
おすすめの参考書を紹介!
ボイラー技士資格取得に向けて、おすすめの参考書を3冊ご紹介します。いずれも受験生に好評ですよ。
詳解2級ボイラー技士過去6回問題集
2016年に出た「詳解2級ボイラー技士過去6回問題集」は、過去問を6回分にわたり分析した問題集です。試験問題がジャンル別に分類してあるので、苦手分野だけを集中して学習するなど、便利な使い方ができますよ。
最短合格2級ボイラー技士試験 技術科目
2014年に出た「最短合格2級ボイラー技士試験 技術科目」は、日本ボイラ協会が編集した受験参考書です。重点ポイント方式の採用で、効率よく学習を進めることができるため、合格への道を開いてくれます。
1級ボイラー技士教本
2016年に出た「1級ボイラー技士教本」は、日本ボイラ協会が編集した信頼の教本です。一級ボイラー技士合格を目指す人には、ぜひ手に取ってほしい内容となります。試験のポイントを完全網羅しているので効率よく学習できるでしょう。
ボイラー技士の過去問について
ボイラー技士試験を突破するためには、過去問を活用することが重要です。過去問の傾向を知って対策をすることで、合格率が格段に上がります。まずは、過去問を入手して実際の試験の制限時間内で回答してみることから始めましょう。過去問は、市販の参考書や教材から入手可能となるほか、下記からも入手できます。
ボイラー技士の勉強法に関するそのほかのこと
もしも、周りにボイラー技士試験を受ける仲間がいるのなら、一緒に学習するのも良い方法です。まったくの独学で進めるよりも、仲間がいると心強いですからね。お互いの苦手分野を教え合うなど、時間を有効に使ってください。ただし、馴(な)れ合い過ぎると逆効果となります。あくまでも、試験合格に向けた学習であることを忘れないでください。
ボイラー技士の勉強法に関する注意点
ボイラー技士試験に関しては、計画を立てて進めることが大切です。ただし、中間地点で計画通りに進んでいるのかチェックすることも忘れないでください。最初は順調でも、何らかの理由によって予定より遅れることはよくあるものです。最終的に試験当日までにすべての学習計画を終えることができるように調整しましょう。
07. ボイラー技士に関する
よくある質問
最後に、ボイラー技士の資格取得に関するよくある質問に回答します。確実に合格するためにも、疑問や不安は解消しておきましょう。
Q.ボイラー技士の資格は更新義務がありますか?
A.資格の更新義務はありません。ひとたび取得した後は、免許を受け取った級のボイラー技士を名乗り、職務に当たることができます。なお、更新義務はありませんが、指名など書き換えが必要になったときは、速やかに変更手続きをしてください。
Q.女性でもボイラー技士資格を生かして就職できますか?
A.今は、男女の区別無く仕事に就く時代です。確かに、現時点では男性が多く活躍しています。しかし、今後は女性もどんどん参入してくるはずです。また、女性の取得者が少ない今だからこそ、ほかの志望者との差別化につながります。ぜひ、積極的にアピールして就職に結び付けてください。
Q.ボイラー技士のほかに取得しておくと良い資格はありますか?
A.ボイラー技士以外の資格についても知識を身に付けておくと、昇給・昇進・さらには転職にも役に立つのでおすすめです。たとえば、関連資格としてボイラー溶接士やボイラー整備士の資格取得をしておくと業務範囲が広がります。また、乙種第4類危険物取扱者を取得すると何かと便利です。
Q.ボイラー技士としてスキルアップする方法は?
A.ボイラー技士と言っても、職場によって求めるものが違います。もしも、現在の職場に何かしらの不満がある場合は、転職することも考えてみましょう。さまざまな業種や企業を経験することによって、スキルアップが可能となります。また、年収アップを希望するのなら、大企業を中心に活動してみてください。大企業には、人材育成システムが整っているところも多く、結果的にスキルアップに役立つことも多いものです。
Q.将来的に一級や特級を取得するべきですか?
A.二級ボイラー技士に合格した人は、ぜひ、一級や特級にチャレンジしてください。二級でももちろん、業務に生かすことはできます。しかし、一級や特級を取得することで取り扱うことができるボイラーの規模が大きくなるため、さまざまな職場で活躍できるチャンスが広がるのです。自分自身の可能性を高めるためにも、ぜひ積極的に考えてみてください。
08. ボイラー技士
まとめ
ボイラー技士は、今、多くの企業で需要が高まっています。ボイラー技士になるには、国家試験に合格することが大切です。そのためにも、資格について詳しく理解すると同時に、試験に向けて効率よく学習しましょう。ひとたび資格を手に入れることができれば、就職や転職でとても有利になります。比較的高齢になっても求人があるため、長く働き続けることも可能です。資格を取得するためにも、試験当日まで気を抜かないようにしっかり対策しましょう。