ビルメンに必要な資格にはどのようなものがあるかご存じでしょうか? ビルメンとは「ビルメンテナンス業務」の略で、この仕事に就くためには「ビルメン4点セット」と呼ばれる資格を取得するべきです。この4つは国家資格であり、取得しておくとビルメン業界への就職や転職に大変有利になるといわれています。この記事では「ビルメン4点セット」と呼ばれる4つの資格についてご紹介しましょう。
この記事を読むことで、ビルメンの仕事に就くにあたって必要な資格についてわかるはずです。資格取得を目指している人は、ぜひ参考にしてください。
01. ビルメンとは?
まずは、ビルメンという仕事について解説しましょう。
1-1.ビルメンの定義
正式名称は「ビルメンテナンス」または「ビル管理」といいます。主にオフィスビルや病院・ホテル・商業施設などの維持管理が仕事です。空調や電気・水道などの設備にトラブルが発生しないように管理し、万が一トラブルが発生した場合は適切な対処をします。就職や転職先としても人気がある業種のため、ビルメンに有利な資格を取得する人も増えてきているのが現状です。
1-2.仕事内容、職務
ビルメンの主な仕事内容には、以下のようなものがあります。
- ビル設備の保守点検
- テナントや業者とのやり取り
- オーナーとテナントの橋渡し
電気や空調などの設備にかんする知識はもちろん、コミュニケーション能力も求められる仕事です。
1-3.必要性
ビルメンという仕事の目的は、その建物を利用する人たちが快適に過ごせるようにすることです。オフィスビルや商業施設などには、多くの人が出入りしています。そのため、確実に管理する必要があるのです。定期的に点検をし、汚れや老朽化が目立つ場合は清掃や補修を行うことで、利用者が不都合を感じることなく利用できるようにする必要があります。
1-4.魅力と将来性
ビルメンの仕事に就く場合、職場はビル以外にも病院やホテルなどさまざまな場所があります。こういった施設は日本中にたくさんあるため、将来仕事がなくなる心配はまず必要ないでしょう。実際に、ビル管理の求人は非常に多く、資格を持っていると就職や転職にも非常に有利なことで知られています。年収については経験や技術によって変わってきますが350~600万円程度が平均です。
02. ビルメン4点セットとは?
ビルメンの仕事に就く上で有利になる資格についてご紹介します。
2-1.資格の重要性、必要性
ビルメンは資格がなくても業務に就くことができます。しかし、幅広い知識が必要になるため、特に未経験者は資格を取得しておくのがおすすめです。無資格だとできる仕事が限られてしまうでしょう。資格を持っていると仕事の幅を広げることができるだけでなく、職場によっては資格手当がもらえることもあります。
2-2.ビルメンテナンスに有利な資格4つとは?
ビルメンに有利な資格は、以下の4つです。
- 二級ボイラー技士:ボイラーの扱いに必要な資格
- 第二種電気工事士:一般用電気工作物の電気工事にかかわることができる資格
- 第三種冷凍機械責任者:冷凍にかかわる高圧ガスを管理できる資格
- 危険物取扱者乙種第4種:引火性液体の取り扱いができる資格
それぞれの資格について、以下で詳しく解説していきましょう。
03. 二級ボイラー技士について
二級ボイラー技士の資格取得に必要な情報をまとめました。
3-1.資格概要
労働安全衛生法に準拠した国家資格です。ボイラーを扱う上で必要な資格であり、二級ボイラー技士は小規模ボイラーから伝熱面積25平方m以内の範囲で業務が可能になります。
3-2.職務
二級ボイラー技士の主な就職先には、ビル管理会社やビル設備会社・建設会社・ホテル・病院・温泉施設・工場などがあります。基本的にはボイラーの運用だけでなく、管理やメンテナンスまで行うのが仕事です。ボイラーの監視・調整・点検などを行い、常に正常な運用を維持することが最大の目的となります。
3-3.試験概要
二級ボイラー技士の資格試験について、受験資格や申し込み方法などをご紹介します。
- 受験資格:不問
- 試験実施日:都道府県によって異なる(月1回)
- 試験科目:構造・取り扱い・燃料および燃焼・関係法令
- 申し込み方法:安全衛生技術センターに申込書を郵送または持参する
- 難易度:やや易しい(合格率50~60%)
04. 危険物取扱者乙種4類について
危険物取扱者乙種4類の資格についてご紹介します。
4-1.資格概要
消防法で定められた危険物の取り扱いができる国家資格です。乙種4類はガソリンや灯油・軽油などの危険物を取り扱うことができます。
4-2.職務
ガソリンスタンドや化学メーカー・研究所などで生かすことができます。引火性の燃料を大量に使用・保管するところで必要な資格であり、具体的な職務は危険物の取り扱いや定期点検・保安監督です。
4-3.試験概要
危険物取扱者乙種4類の資格試験についてまとめました。
- 受験資格:不問
- 試験実施日:都道府県によって異なる
- 試験科目:危険物にかんする法令・基礎的な物理学および化学・危険物の性質並びにその火災予防および消火の方法
- 申し込み方法:消防試験研究センターに申込書を郵便または持参する。電子申請も可能
- 難易度:中くらい(合格率40%前後)
05. 第二種電気工事士について
第二種電気工事士の資格についてご紹介します。
5-1.資格概要
自家用電気工作物または一般用電気工作物の工事を行うことができる国家資格です。第二種電気工事士は600ボルト以下で受電する設備の工事に従事できます。
5-2.職務
電気工作物とは、一般家庭や商業施設など電気を使う施設で使用されている電気設備のことです。配線工事を不用意に行うと電気がショートする危険があるため、国家資格である電気工事士の資格が必要になります。そのほかにも、コンセントの増設や分電盤内の工事を行うこともあるでしょう。
5-3.試験概要
第二種電気工事士の資格試験についてまとめました。
- 受験資格:不問
- 試験実施日:都道府県によって異なる(年2回)
- 試験科目:基礎理論・配線設計・電気機器、配線器具・材料、器具、工具・施工方法・一般用電気工作物の検査方法・保安にかんする法令・配線図
- 申し込み方法:電気技術者試験センターに申込書を郵送またはホームページから電子申請
- 難易度:やや難しい(合格率40%前後)
06. 第三種冷凍機械責任者について
第三種冷凍機械責任者の資格についてご紹介します。
6-1.資格概要
高圧ガス製造保安責任者という資格の一種であり、冷凍にかかわる高圧ガスを製造する施設で保安業務を行うことができます。第三種冷凍機械責任者は、1日の冷凍能力が100トン未満の冷凍機械において保安業務を行うことができる資格です。
6-2.職務
冷凍機械のメンテナンスや保守管理が主な職務になります。そのほかにも、高圧ガスを安全に使用するための指導や災害発生の防止・予防活動などを行うこともあるでしょう。冷凍業務を行っている企業にとって必要不可欠な資格といえます。
6-3.試験概要
第三種冷凍機械責任者の資格試験についてまとめました。
- 受験資格:不問
- 試験実施日:都道府県によって異なる(年1回)
- 試験科目:法令・保安管理技術
- 申し込み方法:高圧ガス保安協会に申込書を郵送または持参。電子申請も可能
- 難易度:やや難しい(合格率30%前後)
07. そのほかビルメンに有効な資格について
「ビルメン4点セット」と呼ばれる上記の資格以外にも、ビルメンに有効な資格があります。
7-1.ビル設備管理技能士
施設の空調システムや衛生管理・電気システムなどのトラブルを未然に防ぐため、点検業務を行うのが主な仕事です。1級と2級があり、いずれも資格試験を受けるためには実務経験が必要になります。比較的難易度の高い試験ですが、取得しておくと就職や転職において確実に有利になるでしょう。
7-2.ビルクリーニング技能士
ビル内の環境を快適に保つことが主な仕事です。ビルメンテナンスやクリーニングにかんする基礎知識が必要であり、受験資格には実務経験のほか、職業訓練指導員の免許を保持していることなども挙げられます。この資格を持っていると清掃作業監督者になることが可能です。
7-3.マンション管理士
マンション管理組合のコンサルタントに必要とされる資格です。マンション管理にかんする相談や指導を行います。比較的新しい資格ですが需要が伸びてきており、他業種から転職する人も増えているのが現状です。
08. ビルメンに必要な資格にかんするよくある質問
「ビルメンに必要な資格について知りたい」という人が感じる疑問とその回答をまとめました。
8-1.ビルメン4点セットの中で最も取得しておいたほうがよいのは何の資格ですか?
A.第二種電気工事士の資格でしょう。この資格を持っていることが条件の求人が特に多く、ビルメン以外にも生かす道が多いため、おすすめです。
8-2.危険物取扱者乙種4類の試験は、なぜ難易度が低いわりに合格率が低いのですか?
A.ほかの類と比べて受験者数が多いためです。特別試験が難しいというわけではありません。
8-3.第二種電気工事士に合格するための勉強方法を教えてください。
A.筆記試験は過去問題から出題されるため、過去の問題集を繰り返し解きましょう。実技試験にかんしては、参考書を購入して何度も練習することが大切です。
8-4.ビルメン4点セットの資格はどのような順番で取得すればよいですか?
A.第二種電気工事士・第三種冷凍機械責任者・危険物取扱者乙種4類・二級ボイラー技士の順番がおすすめです。
8-5.「ビルメン5点セット」というのは何ですか?
A.ビルメン4点セットに「消防設備士乙種4類」を加えたものが「ビルメン5点セット」と呼ばれています。この資格を持っていると感知器や発信機の点検・整備ができるため、緊急時の対応が可能です。
09. まとめ
いかがでしたか? ビルメンに必要な資格について詳しくご紹介しました。ビルメンテナンス業界は将来的な安定もあり、人気の職業となっています。就職や転職を検討しているなら、「ビルメン4点セット」と呼ばれる資格について知っておく必要があるでしょう。ぜひこの記事を参考にして、将来に向けてどのようにすすんでいくべきか考えてみてください。