第一級陸上特殊無線技士とは、無線従事者の資格区分の一種です。陸上にある無線局で、無線通信設備を技術的に操作する際に必要な資格であり、近年は特に携帯電話の基地局の増加によって需要が増加し続けています。資格取得を目指し、勉強に励んでいる方もいるでしょう。
今回は、第一級陸上特殊無線技士の資格取得の方法や勉強のコツなどを解説します。
この記事を読めば、第一級陸上特殊無線技士の有資格者が行える仕事や、資格の活用方法までよく分かるでしょう。第一級陸上特殊無線技士の資格取得を目指している方は、ぜひ読んでみてください。
01. 無線通信と
無線従事者について
無線通信とは、電波を使って画像や音声をやり取りする通信手段のことです。テレビ・ラジオ・携帯電話・無線LANも無線通信の一種になります。無線通信に用いられる電波は、電波法という法律で厳密に周波数や空中電力が決められており、好き勝手に行うわけにはいきません。無線通信を行う基地局で無線機器を技術的に操作するためには、無線従事者の資格が必要です。
なお、1990年に電波法が改正されてからは、主任無線従事者の監督下ならば、無資格者でも限られた無線機器操作を行うことができるようになりました。しかし、モールス信号などは有資格者しか発信できないため、無線通信の仕事を行うためには資格を取得しておいたほうが何かと便利です。
無線従事者には総合・陸上・海上・航空・アマチュアの資格区分があるため、資格を取得したい場合は、それぞれの区分について下調べをしておきましょう。
02. 第一級陸上特殊無線技士
について
この項では、第一級陸上特殊無線技士の資格について解説します。取得すると、どのような職務を行うことができるのでしょうか?
第一級陸上特殊無線技士の資格について
第一級陸上特殊無線技士とは、陸上無線従事者の資格区分の一種です。陸上無線従事者とは、陸上にある無線局同士で無線設備を用いて通信を行える資格であり、以下のような資格区分があります。
- 陸上無線技術士(第一級・第二級)
- 陸上特殊無線技士 (第一級~第三級)
- 国内電信級陸上特殊無線技士
陸上特殊無線技士は陸上無線通信士の下位資格として制定されており、第一級は、30MHz以上の電波を使用する空中線電力500kW以下の無線機器を取り扱うことが可能です。ただし、放送局の無線設備を扱うことはできません。また、陸上にあっても、船舶や航空機と通信する基地局で無線設備を操作するには、海上無線従事者・航空無線従事者の資格が必要です。
第一級陸上特殊無線技士の需要について
第一級陸上特殊無線技士は、前述のとおり、携帯電話の基地局やテレビの中継局など、比較的小規模な基地局で無線設備を操作することができます。このような小規模基地局は、近年数が増しているため、有資格者の需要も増加傾向が続いているのです。資格を取得していれば、就職や転職に役立つことでしょう。
また、この資格を取得するだけの知識があれば、陸上無線技術士の資格も取得可能です。そうすれば、さらに仕事の幅が広がることでしょう。
アマチュア無線技士との違い
アマチュア無線技士も、無線設備を操作して無線通信を行うことができる資格です。しかし、アマチュア無線技士はアマチュア無線局として届けられた施設でしか、無線通信を行うことができません。ですから、無線通信を仕事としたい場合は、アマチュア無線技士の資格を取得していても、ほかの無線従事者の資格区分を取得する必要があります。
主任無線従事者について
主任無線従事者とは、無資格者が無線設備を操作して無線通信を行う際、監督業務を行うことのできる資格です。第一級陸上特殊無線技士の資格を取得し、3か月以上の実務経験があれば講習会を受講することで資格を取得できます。第一級陸上特殊無線技士の資格を取得したら、挑戦してみるといいでしょう。
03. 第一級陸上特殊無線技士の
資格取得方法
この項では、第一級陸上特殊無線技士の資格取得方法や勉強のコツを紹介します。ぜひ、参考にしてください。
資格を取得する方法
第一級陸上特殊無線技士の資格を取得するには、養成課程を修了して修了試験に合格する方法と日本無線協会が主催する資格試験を受け、合格する方法があります。
養成課程は、大学や短大・専門学校・高校などで電気通信かんする学科を卒業する、第二級・第三級の総合無線通信士の有資格者・航空無線通信士の有資格者、などの受講条件があるのでまずは協会のホームページを確認してください。なお、第一級陸上特殊無線技士の選抜試験に合格しても、受験資格が得られます。養成課程は全国で受講することができ、eラーニングでも受講可能です。養成課程は54時間で、受講料は69,548円になります。詳しい日程などは協会のホームページを確認してください。
試験については、次の項で詳しく説明します。
資格試験について
第一級陸上特殊無線技士の資格試験は、無線工学・法規の2科目の学科試験です。受験資格はありません。学歴や職歴・年齢・性別問わずに受験可能です。しかし、無線工学は120点満点中75点、法規は60点満点中40点以上が合格となっているため、合格率は決して高くはありません。問題数が少なく1問当たりの配点が大きいため、1問の間違いが合否を左右します。
養成課程の受講資格がある人でも、試験を受験することは可能です。
なお、別区分の無線従事者の資格を取得していると、試験の一部が免除になります。詳しいことは協会に問い合わせてください。
資格試験の申し込み方法
第一級陸上特殊無線技士の資格試験は、年に3回、2月・6月・10月に開催されます。試験は、札幌・仙台・東京・長野・金沢・名古屋・大阪・広島・松山・熊本・那覇で行われるため、遠方の人は宿泊の準備も必要です。申し込みは、日本無線協会のホームページから電子申請が便利でしょう。受験料は5,362円です。
試験勉強のコツ
第一級陸上特殊無線技士の資格試験は、独学で勉強するか通信教材の利用して勉強しましょう。参考書は、東京電機大学出版局やオーム社から何種類か発売されています。ただし、参考書は電気通信や電気の知識がある人を前提として作られているものが、ほとんどです。ですから、全く知識のない状態から受験する場合、独学では少々厳しいでしょう。電気工事士や電気主任技術者など、電気関係の資格を取得している人ならば、大丈夫です。参考書を読んで必要なことを覚えたら、過去問題を解いてみてください。知識が身についていれば解けるはずです。
また、インターネット上にも試験問題の解説サイトなどがありますので、利用してみてもいいでしょう。
独学に自信がない方や、独学で試験に挑戦して残念な結果になってしまった方は、通信教材の利用がおすすめです。模擬試験問題を送付すれば添削してくれますので、独学で勉強するより理解も進みやすいでしょう。メールで質問を受けつけてくれる教材もあります。
無線従事者の試験に初めて挑戦する場合は、まず二級・三級の陸上特殊無線技士資格を取得してから、第一級にチャレンジするのも一つの方法です。陸上無線技術士の下位資格とはいえ、決して試験が易しいわけではありません。試験は年に何回か開催されますので、順調に行けば1年で二級・一級とステップアップしていくことも可能です。
04. 第一級陸上特殊無線技士に
対するよくある質問
Q.海上・航空など、異なる資格区分の無線従事者の資格と第一級陸上特殊無線技士の資格を同時に有することはできますか?
A.問題ありません。時間をかけて取得する方もいます。また、第一級陸上特殊無線技士の資格を取得したら総合無線通信士の資格を目指してもよいでしょう。
Q.アマチュア無線技士の資格を取得している場合、資格試験の科目は免除されますか?
A.いいえ。科目免除はありません。
Q.全く電気通信や電気にかんする知識がない場合、合格は難しいでしょうか?
A.無線工学の試験の中で電気回路や電気通信にかんする問題が出題されます。全く知識がない状態で受験しても、合格は難しいでしょう。通信教材などを利用して知識を身につけることが大切です。
Q.養成課程は年に何回実施されますか?
A.2回程度で、地域により実施時期が異なるので、日本無線協会のホームページを確認してください。
Q.30代以降でも取得して資格を活用することができるでしょうか?
A.電気工事士などの資格を併せ持てば、仕事の幅が広がります。
05. 第一級陸上特殊無線技士
まとめ
いかがでしたか? 今回は、第一級陸上特殊無線技士について解説しました。知名度がある資格ではありませんが、取得していれば何かと便利でしょう。特に、電気関係の仕事に就く場合は取得しておくと有利です。通信関係の仕事をしたいという人も、取得を目指してみてください。就職や転職に有利になるでしょう。