衛生管理者の関係法令について知りたい! 得点率アップのコツは?

「衛生管理者の取得を目指しているが、関係法令を詳しく知りたい」「試験で得点率をアップする方法を知りたい」とお考えではありませんか。衛生管理者試験において、関係法令を攻略することは、確実に合格するためにも必要不可欠です。そこで今回は、衛生管理者の関係法令について詳しく解説します。

  1. 衛生管理者の関係法令とは?
  2. 衛生管理者試験における関係法令の問題
  3. 関係法令で有害業務に係るもの以外の重要項目
  4. 関係法令で有害業務の係るものの重要項目
  5. 関係法令を効率よく勉強する方法やコツ
  6. 衛生管理者試験の試験概要
  7. 衛生管理者の関係法令に関するよくある質問

この記事を読むことで、衛生管理者の関係法令についてよく分かり、効率よく学習できます。まずは、記事を読んでみてください。

1.衛生管理者の関係法令とは?

最初に、衛生管理者の関係法令の基本を見ていきましょう。

1-1.労働安全衛生法が主な関係法令

衛生管理者の主な関係法令は労働安全衛生法で、労働者が安全かつ衛生的な環境で働くことを目的とした法律です。さらに、労働安全衛生施行令と労働安全衛生規則を合わせ、労働関係衛生法令と呼びます。衛生管理者は、労働関係衛生法令に基づいて職務に当たるのです。

1-2.労働安全衛生法施行令や労働安全衛生規則で補完

労働安全衛生法は、労働者の安全衛生に関する基本的な決まりであり、実務に必要な細かい部分までカバーすることができません。そのため、労働安全衛生法施行令や労働安全衛生規則で補完しています。衛生管理者は、労働安全衛生法と共に、労働安全衛生法施行令や労働安全衛生規則についても正しく理解しておく必要があるのです。

2.衛生管理者試験における関係法令の問題

衛生管理者試験では、関係法令の問題の得点率が合否を左右します。

2-1.第一種は関係法令全般が試験範囲

第一種衛生管理者の関係法令については、以下をご覧ください。

  • 有害害業務に係るもの10問(80点)
  • 有害業務に係るもの以外のもの7問(70点)

第一種衛生管理者試験は、上記の関係法令17問を含み、44問(合計450点)を3時間で解答することになります。

2-2.第二種は有害業務に係るもの以外が出題範囲

第二種衛生管理者の関係法令は、以下が出題範囲となります。

  • 有害業務に係るもの以外のもの10問(100点)

第二種衛生管理者試験は、上記の関係法令10問を含み、30問(300点)を3時間で解答します。

2-3.第一種と第二種の違いは有害業務の有無

第一種と第二種の出題範囲の違いは、有害業務に係るものの有無です。第一種衛生管理者は、有害業務に係るものが出題範囲に入るため、難易度が上がります。有害業務は、一歩間違うと大きな事故につながるため、正しい知識を深く知る必要があるのです。

2-4.衛生管理者試験における関係法令の重要性

衛生管理者試験では、第一種・第二種共に、関係法令が全体の3分の1を占めています。そのため、関係法令を正しく理解することが合格するために必要不可欠です。苦手意識がある人は、早めに取り組んで克服するようにしましょう。

3.関係法令で有害業務に係るもの以外の重要項目

衛生管理者の関係法令のうち、有害業務に係るもの以外の重要項目を詳しく解説します。

3-1.衛生委員会

常時50人以上の労働者を使用する事業場では、業種に関係なく毎月1回衛生委員会を実施することが必要です。衛生委員会では、以下のような議題を取り扱います。

  • 安全衛生に関する規程の作成
  • 危険性もしくは有害性などの調査や結果で、衛生に関するもの
  • 安全衛生に関する計画の作成・実施・評価および改善
  • 衛生教育の実施計画の作成
  • 有害性の調査と結果における対策
  • 作業環境測定の結果や評価に基づく対策
  • 定期および臨時の健康診断・医師の診断や診察もしくは処置の結果に関する対策
  • 労働者の健康保持増進を図るための対策
  • 長時間労働者の健康障害の防止を図るための対策

なお、衛生委員会の記録は3年間の保存義務があります。

3-2.健康診断

労働者には、健康診断を適切に受けさせる必要があります。詳しくは、以下をご覧ください。

  • 雇い入れ時の健康診断の省略:健康診断後3か月以内ならば、診断結果証明書類を提出で省略可能
  • 健診結果報告:常時50人以上の労働者を使用する事業者は、遅滞なく定期健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署長に提出する
  • 医師からの意見聴取:異常所見のある労働者の措置について、健康診断から3か月以内に医師からの意見聴取を行う
  • 健診結果通知:健康診断を受けた労働者には、遅滞なく結果を通知する

3-3.手続きや届け出

規定の期日までに、以下のような手続きや届け出をする義務があります。

  • 総括安全管理者・衛生管理者・産業医:事由が発生してから14日以内に選任し、遅滞なく届け出る
  • 安全衛生推進者:事由が発生してから14日以内に選任
  • 作業環境測定結果:一定期間保存・届け出は不要
  • 健康診断結果:従業員が50人以上の場合は必要(雇い入れ時の健康診断を除く)
  • 4日以上の休業災害:所定の報告書の提出が必要
  • 衛生委員会の議事:3年間保存・届け出は不要

3-4.事業所衛生基準規則

事業所の衛生管理は、以下の基準を守ることが必要です。

空気調和設備

  • 供給空気の清浄度:浮遊粉じん1㎥につき0.15mg以下・一酸化炭素 100万分の10以下・二酸化炭素 100万分の1000以下・ホルムアルデヒド1㎥につき0.1mg以下
  • 室内空気の基準:気流は毎秒0.5m以下・室温17~28℃以下・相対湿度40~70%以下
  • 作業環境測定:室温・湿度・一酸化炭素・二酸化炭素について2か月以内に1回以上定期的に測定

燃焼機器

  • 異常がないか日常点検を行う

そのほかの点検など

  • 機械による換気のための設備:2か月以内に1回以上定期的に実施(3年間記録を保存)
  • 照明設備:6か月以内1回以上定期的に実施

3-5.雇い入れ時の安全教育

従業員を雇い入れたり作業を変更したりした場合は、安全衛生に関する教育を行う義務があります。具体的には、以下のような内容です。林業・鉱業・建設業・運送業・清掃業・各種卸売業・小売業・旅館業・製造業などは、省略せずすべての内容を教育する必要があります。

  • 機械・原材料などの危険性や有害性および取り扱い方法(製造業など以外は省略可)
  • 安全装置・有害物抑制装置・保護具の性能および取り扱い方法(製造業など以外は省略可)
  • 作業手順に関すること(製造業など以外は省略可)
  • 作業開始時の点検に関すること(製造業など以外は省略可)
  • 業務で発生する恐れのある病気の原因と予防に関すること
  • 整理整頓や清掃の保持に関すること
  • 事故が起きた際の応急措置および退避に関すること

3-6.有害業務に係るもの以外でそのほかの関係法令

そのほかにも、以下のような関係法令を理解しておく必要があります。

  • 衛生管理体制・衛生管理者の選任
  • 医師による面接指導
  • 派遣労働者の労働災害について
  • 労働安全衛生法の目的
  • 労働時間
  • 産前産後の就業制限
  • 休日
  • 賃金
  • 有給休暇
  • 解雇
  • 就業規則・寄宿舎規則

4.関係法令で有害業務の係るものの重要項目

衛生管理者の関係法令で、有害業務の係るものの重要項目を詳しく解説します。

4-1.特殊健康診断

有害業務に当たる従業員に対し、雇い入れや配置転換などの際に以下のような特殊健康診断を実施し、一定期間記録を残す必要があります。

  • 歯科医師による健康診断:塩酸・硫酸・硝酸・亜硫酸・フッ化水素・黄リンなどのガスや蒸気・粉じんを発する場所での作業者に対して半年に1回
  • 高気圧:高圧室内業務または高気圧業務の潜水業務従事者を対象に、肺活量検査や聴力・鼓膜の検査などを半年に1回
  • 電離放射線:放射線業務に常時従事し管理区域に立ち入るものに対し、白血球数・白血球百分率・皮膚の検査などを半年に1回

上記以外にも、四アルキル鉛・電離放射線・特定化学物質・有機溶剤 ・鉛などを取り扱う作業者に対してそれぞれ必要な検査を行う義務があります。

4-2.作業環境測定

労働安全衛生法施行令第21条に基づき、特殊環境で一定期間ごとに測定し、記録を保持する必要があります。対象となる作業や作業場とは、以下のようなものです。

  • 特定粉じん作業
  • 暑熱・寒冷・多湿の屋内作業場
  • 著しい騒音を発する屋内作業場
  • 放射線業務を行う作業場
  • 特定化学物質などの製造や取り扱いを行う屋内作業場

4-3.特別教育

危険もしくは有害業務に労働者を当たらせる場合は、安全衛生に関する特別教育を行う義務があります。対象となる主な有害業務は、以下を参考にしてください。なお、特別教育の記録保存義務は3年間です。

  • チェーンソーによる立ち木の伐採
  • 空気圧縮機を運転する業務
  • 高圧室内作業に関連する作業室への早期調節バルブ・コックの操作業務
  • 酸素欠乏危険場所における作業
  • エックス線装置・ガンマ線照射装置による透過写真の撮影業務
  • 特定粉じん作業
  • 石綿障害予防規則に掲げる作業

4-4.作業主任者

以下のような有害業務に当たる場合は、作業主任者を選任する必要があります。主な該当作業と選任するべき作業主任者については、以下をご覧ください。

  • 高圧室内作業:高圧室内作業主任者
  • 放射線業務に係る作業:エックス線作業主任者
  • ガンマ線照射装置による透過写真の撮影作業:ガンマ線透過写真撮影作業主任者
  • 特定化学物質を製造・取り扱う作業:特定化学物質等作業主任者
  • 四アルキル鉛等業務:四アルキル鉛作業主任者
  • 酸素欠乏危険場所における作業:第1種・第2種酸素欠乏危険作業主任者
  • 鉛業務:鉛作業主任者
  • 有機溶剤を製造・取り扱う業務:有機溶剤作業主任者
  • 石綿を取り扱う業務:石綿作業主任者

上記のうち、高圧室内作業主任者・エックス線作業主任者・ガンマ線透過写真撮影作業主任者は免許が必要となります。そのほかの作業主任者は技能講習を受けることで選任可能です。

4-5.衛生管理体制

作業場の衛生管理を適切に行うため、衛生管理者・産業医を以下のような基準で選任する義務があります。

衛生管理者

常時50人以上の従業員がいる職場では、従業員数に応じて衛生管理者を選任することになります。

  • 50~200人:1人
  • 201~500人: 2人
  • 501~1,000人:3人
  • 1,001~2,000人:4人
  • 2,001~3,000人:5人
  • 3,001人以上:6人

なお、農林水産業・鉱業・建設業・製造業などの指定業種は、第一種衛生管理者・衛生工学衛生管理者・医師・歯科医師・労働衛生コンサルタントから選任する必要があります。

産業医

  • 常時50人以上の労働者を使用するすべての作業場で1人の選任義務がある
  • 常時3,000人以上の作業場では2人の選任義務がある
  • 常時1,000人以上の労働者を使用する事業場、もしくは一定の有害業務に常時500人以上の労働者を従事させる場合は専属の産業医である必要がある

4-6.衛生基準

有害業務の職場における主な衛生基準は、以下のとおりです。

  • 休憩設備:有害業務に当たる場合は作業場外に休憩の設備を設置する
  • 騒音:騒音発生場所の明示・伝ぱ防止・保護具を準備する
  • 有害な作業環境:自然換気が確保できない場所では内燃機関の使用禁止・立ち入り禁止場所の明示
  • 坑内の気温:37℃以下
  • ふく射熱からの労働者保護:屋内に溶解炉などがある場合は、加熱された空気を屋外に逃がすなどの措置が必要

4-7.有害業務に係るそのほかの関係法令

このほかにも、有害業務に係る関係法令には、以下のようなものがあります。

  • 定期自主検査
  • 譲渡等の制限
  • 健康管理手帳の交付
  • 計画の届け出
  • 有機溶剤中毒予防規則
  • 特定化学物質等障害予防規則
  • 製造等の禁止物質
  • 石綿障害予防規則
  • 酸素欠乏症等防止規則
  • 電離放射線障害防止規則
  • 粉じん障害防止規則
  • じん肺法
  • 労働基準法(有害業務に関する部分)

5.関係法令を効率よく勉強する方法やコツ

衛生管理者の関係法令の勉強方法で、おすすめのものを詳しく解説します。

5-1.市販の問題集や教材で頻出問題を暗記

衛生管理者試験の関係法令は、暗記力が勝負です。市販の問題集や教材などを使用し、頻出問題を多く解けば自然と重要ポイントが暗記できるでしょう。実際の試験は五肢択一のマークシート方式なので、必ず正解が含まれています。基本が身についていれば、解答できるはずです。通勤時間や朝起きた後などのすき間時間を活用し、関係法令の暗記に充てると効率よく学習できます。

5-2.過去問の活用で得点率を高める

衛生管理者試験に合格するためには、過去問の活用も欠かせません。過去問を繰り返し解くことで、試験の傾向をつかみ、出題形式に慣れることができます。確実に合格するためには、本番で実力を出しきることが必要です。実際の出題形式に慣れ、時間配分を考えながら解くことで、得点率を高めましょう。

6.衛生管理者試験の試験概要

衛生管理者試験の試験概要を解説します。

6-1.受験には一定の学歴や実務経験などが必要

衛生管理者試験を受けるには、以下のような受験資格が必要です。

  • 大学・短大・高等専門学校を卒業後、労働衛生の実務経験が1年以上
  • 高校・中学を卒業後、労働衛生の実務経験が3年以上
  • 労働衛生の実務経験が10年以上
  • 外国で14年以上の教育を受けた後、労働衛生の実務経験が1年以上

なお、受験資格に関するより詳しい内容は公益財団法人安全衛生技術試験協会の受験資格案内ページを参考にしてください。

6-2.受験申請書を郵送もしくは持参する

衛生管理者試験を受験するには、受験申請書を受験する地域の安全衛生技術センターに郵送もしくは持参する必要があります。受験申請書は、公益財団法人安全衛生技術試験協会本部・各安全衛生技術センター支部などに直接出向いて受け取るか、郵送で請求してください。郵送で請求する際は、宛名を書いた返信用封筒(請求部数に応じた料金の切手を貼る)の同封を忘れないようにしましょう。より詳しいことは、公益財団法人安全衛生技術試験協会の受験申請書の請求ページをご覧ください。

6-3.全国7か所の会場で月1回以上実施

衛生管理者試験は、全国7か所の安全衛生技術センターで月1回以上実施となります。関東や関西などは、毎月複数回の受験チャンスがあるため、都合のいい日程を選びやすいのもメリットです。受験地は自分で選べるため、必ずしも地元で受ける必要もありません。

6-4.第一種・第二種共に中程度の難易度

平成29年度の衛生管理者試験の合格率は、以下のとおりです。

  • 第一種:45.0%
  • 第二種:54.9%

受験資格が必要な試験であることを考えれば、中程度の難易度と言えるでしょう。ただし、試験では各科目とも40%以上・合計で60%以上の得点率で合格できます。しっかり準備をすれば、合格することは十分可能です。

7.衛生管理者の関係法令に関するよくある質問

最後に、衛生管理者の関係法令に関する質問に回答します。それぞれ参考にしてください。

Q.暗記が苦手なので関係法令の受験が不安なのですが?
A.必要以上に不安になることはありません。衛生管理者試験の関係法令は、出題パターンがある程度決まっています。繰り返し過去問などを解けば自然と頭に入るでしょう。

Q.第二種取得者が第一種を受験する際の科目免除は?
A.申請により、労働衛生(有害業務に係るもの)・関係法令(有害業務に係るもの)だけの受験が可能になります。

Q.第一種の関係法令を勉強すれば第二種の範囲もカバーできる?
A.できます。ただし、第二種だけを受験する場合は、有害業務の係るもの(第一種の範囲)を勉強する必要はありません。

Q.関係法令が満点なら合格できる?
A.そのほかの科目の得点率が最低でも40%以上必要です。関係法令が満点であっても、そのほかの科目が40%未満では不合格となるので注意してください。

Q.関係法令の得点率が40%以上なら、次回の試験で科目免除になる?
A.衛生管理者試験では科目合格制度はないため、次回も改めて受け直す必要があります。

まとめ

今回は、衛生管理者の関係法令について詳しく解説しました。衛生管理者の関係法令は、労働安全衛生法を基本とし、労働安全衛生法施行令や労働安全衛生規則で補完しています。衛生管理者は、関係法令を正しく理解し、職務に当たる必要があるのです。第一種・第二種共に、試験では関係法令を攻略することが合格のカギと言っても過言ではありません。試験に向けて計画的に基本事項を暗記し、過去問の活用による得点力アップを目指しましょう。

そのカテゴリーで訪れる価値のある場所
遠回りしてでも訪れる価値のある場所
そのために旅行する価値のある場所